超臨界二酸化炭素を使用したディーゼル燃料添加剤の新規合成法


成果の概要

  超臨界二酸化炭素を化学品合成に利用する試みは、その興味ある溶媒特性とともに地球環境保全の観点から近年注目を集めている。(財)化学技術戦略推進機構と物質工学工業技術研究所は共同で、超臨界二酸化炭素と環状エーテル化合物(プロピレンオキシド等)とを反応させ、デイーゼル排ガス中の黒煙(粒子状物質)の抑制に有効なカーボネート化合物(プロピレンカーボネート)を高収率、高選択的に合成することに成功した。
 この方法の最大の特徴は、従来法で使用されていた猛毒のホスゲンや一酸化炭素を必要とせず、二酸化炭素を溶媒および原料として使用する「脱有機溶媒反応」であることである。加えて、ほぼ100%の転化率、選択率が得られるので蒸留精製を必要としない、反応速度も大きい、触媒は超臨界二酸化炭素中で回収および再利用できる、等の特徴がある。
 この手法が実用化されれば、従来法に比べて低コストでカーボネート化合物を合成することができるので、カーボネートのデイーゼル燃料添加剤としての利用が可能になり、デイーゼル排ガスのクリーン化に大きく貢献できるものと期待される。あわせて、二酸化炭素の有効利用にも寄与する技術である。また、得られた環状カーボネートはエステル交換反応により、ポリカーボネートの原料であるジメチルカーボネートに容易に変換することもできる。
 本研究は、通商産業省工業技術院ニューサンシャイン計画のもとで、(財)化学技術戦略推進機構が「超臨界流体利用技術先導研究開発」として、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)より委託を受けて、物質工学工業技術研究所と共同で、平成12年度の国家プロジェクト化に向けて研究開発を遂行しているものである。

 今回開発した方法
 
 

従来の合成反応
 
 

超臨界流体とは

  気体は圧力をかけると液体になるが、ある温度(臨界温度)以上ではいくら圧縮しても液化せず、液体と気体の中間の性質を持つ流体になる。これが超臨界流体であり、液体のように多くの物質を溶解でき、気体のように高い流動性を示す。二酸化炭素では温度31.4℃、圧力73気圧以上で超臨界状態となる。 超臨界流体を利用した技術としては、超臨界二酸化炭素を用いたノンカフェインコーヒーの製造や、香料、色素等の天然物の抽出等への応用が実用化されている。近年はさらに、この超臨界流体の特徴を利用した新規な化学反応プロセスの開発に大きな期待が寄せられている。