ライナス
イナダ組第26回公演

〜作・演出〜
 イナダ

〜キャスト〜
松永竜一(大人)/音尾琢真 松永竜一(子供)/江田由紀浩 松永春夫/大泉洋 安西徹男/森崎博之
松永伸子/出口綾子 松永まなみ/山村素絵 松永千明/小島達子 小坂淳子/庄本緑子
ジュンちゃん/川井”J”竜輔 ハッチ/岩尾亮 ペコ/野村千穂 松永陽子/棚田佳奈子
ゴロ子/加藤和也 シュウ子/赤川修平    

〜あらすじ〜
 松永竜一(音尾)は妻(出口)、思春期の娘(山村)と暮らす四十代前半。
 三十年近く前、母校の中学校に埋めたタイムカプセルが掘り出されると聞いた瞬間、
 竜一は、中学の一時期だけ町を離れ、東京・三鷹に暮らした日のことを思い出す。
 幼くして両親が離婚、母(棚田)に死なれた自分(子供時代・江田)と姉・千明(小島)を、
 十年も音信不通だった父(大泉)が呼び寄せた時の記憶だった。
 再会した父は女装し、安西という男(森崎)と暮らしていた。
                          (2003,8,1 北海道新聞・夕刊より)

〜テーマ曲の歌詞〜
 『夢のはてまで』
   何も変わらない あなたの家も 町並みも 耳をすませば 風の音
   忘れない 忘れない この空は いつか見た青さ 遠く遠く 夢の果てまで連れていって
   耳を傾けては 遠い昔 季節はめぐり 記憶はうすれ
   思いでの欠片を つなぎ合わす 明日の空は何色だろう
   何もかわらない カフェから見せる風景も 目をつぶれば 光の雨
   帰らない 帰れない この空は いつか見た青さ 高く 高く 空の果てまで連れていって
   耳を傾けては 遠い昔 季節はめぐり 記憶はうすれ
   思い出の中を ただよい遊び 明日の空は 何色だろう
    曲/飛渡健次郎 詞/イナダ

〜感想〜
 2003,7,26 19:30〜 in道新ホール
 この日は、「ぽっぷこーんシネマ」の公開収録があったので、早く街入りをしてました。
 公開収録終了後から開場までの間、大通り公園でお昼寝。
 気持ち良かったなぁ〜。

 今回のイナダ組は、フライヤーで 「父さんは、憎かった。母さんの事は、嫌いだった。
 心のよりどころは、古ぼけた一枚のブランケットだった。」 と
 「忘れてしまった大切な何かを探す旅が今、始まる。」なんて書かれて、
 2003年 さっぽろたうん7月号では、
 「数年ぶりに再会したお父さんが、お母さんになっちゃった!?」と
 「ゲイバーを舞台に、歌やショーもやってしまう」なんて書かれたら、いつも以上に興奮していました!!

 会場に入って、席に座ってみたら、やっぱり近かった。
 「改FEVER」で3列目で、今回は5列目。
 近いってわかってたけど、近かった・・・。
 やる前は近くてラッキーって思ったけど、やった後はもうちょっと引きで見たかったかも・・・、
 なんて贅沢を思ったりもしました。

 で、開演10分前くらいに、ロビーでイナダ組の昔の公演のチラシを貰いに行ったら、
 スタッフの人が、「前説始まりますので、会場にお入りくださ〜い」といつも以上に言うので、
 どうしたのかと慌てて会場に戻り、席について待っていたら、今回の前説はなんとSKGの飯野さんと菅野さんでした!!
 前回公演「アイドル03」に出てたってのもあるのでしょうが、
 8月の教育文化会館でやるお芝居のPRも兼ねて来たようです。
 pan-danの「チオチモリンS」で飯野さんのファンになっていた私は、ビックリしてしまい、固まっていました(笑)
 そのあとは、もう興奮してしまい、ず〜っと飯野さんを見ちゃってました・・・。
 前説では、携帯電話のこと。
 1回鳴るごとに、1人1500円罰金だそうで、今回は2人で前説ということなので、1回鳴ると3000円だそうです。
 罰金を儲けるほど、携帯が鳴るのは無くならないっていうのは、寂しいことですよね。
 あと、物販の説明をしました。
 この2人の物販の説明で、ラーギットのビデオも説明してたのですが、
 「ほとんど写っててお買い得!!」と言われ、帰りに買ってしまいました・・・。
 買わないつもりで会場に来たのに・・・、誘惑に弱いやつです。

 感想は、簡単にいうと、「感動」でした。
 もう大号泣!!
 多分、今まで見た演劇の中で1,2位を争うくらい号泣してました。
 (ちなみに争っているのは、RUSH!!の「DEARY」です。あれも泣きました☆)
 なんだろう、竜一の過去が分かっていき、彼の閉じ込めてた思いが分かってきたとき、
 もう涙がツーッと頬を流れていき、気付いたときには大号泣!!
 この日、不覚にもハンカチとティッシュを忘れてきてしまって、開演中、ず〜っと流しっぱなしでした(笑)
 (終演したら、すぐに友達にティッシュをもらって、拭きましたよ!!)
 
 この話は、私には2つの問題がからみあってるように感じました。
 1つ目は、春夫が家を出て行った後の、竜一のこと。
 2つ目は、春ちゃん(春夫)とてっちゃん(徹男)の問題。
 あえてもう一つあげれば、千明ちゃんのことかなぁ〜。

 まず、竜一のことですが、
 私が見る前から気になっていたのは、もちろんブランケットの意味でした。
 で、竜一がブランケットを持っていた意味は、離婚して出ていった父親が愛用していたもので、
 嫌なことがあると、それを被っていれば何にでもなれたからという事だったんです。
 で、なぜブランケットに頼るようになったかというと、
 父が家を出た後、子どもたちのために働いてた陽子は、疲れとストレスのあまり、竜一に折檻をしてしまっていた。
 それを誰も助けてくれなかった。
 春夫はもちろん、姉の千明も。
 彼は、母を嫌いにならないようにするために、母の嫌いなところを忘れようとしました。
 そうしたら、母を全部忘れてしまった。
 母の顔さえ思い出せないくらいに。
 彼は必死に生きようとしていた。
 そして、誰かにいつも助けを求めていた。
 でも、誰も自分のことを助けてくれなかった。
 みんな、「竜一のことを考えてた」というけれど、誰も自分のことを気にもしてくれなかった。
 みんな、自分のことで精一杯で・・・。

 竜一が、このことを話したとき、私は幼い時のことを思いだしました。
 私は、折檻を受けたことはありません。
 でも、折檻とまで行かなくても、子供が母親の態度を見て、母親に嫌われないようにするところは、
 昔の自分によく似てるなぁ〜と思いました。
 母に嫌われないように、母の顔色を見ながら、生活していたように思えます。
 そして、竜一と同じように、嫌なことがあったら、タオルケットを被って、楽しかった時の事を思い出す。
 そんなに沢山あったわけではありませんが、なかったわけでもない。
 今では、もうそんなことはなくなりましたが、
 親にほぼ対等に意見が言えるようになるまでは、母や父の態度を見ていました。
 これって、どの子供にも共通することなんじゃないかと思います。
 幼い頃ほど、親に嫌われて、気にしてもらえないことほど、怖いことはなく、必死に親に好かれようとする。
 だから、折檻を受けても、親の元から逃げられないんですよね。
 そのことが、この舞台を見て、改めて感じました。

 また、ここで同時に千明ちゃんのことも書いておこうと思います。
 千明ちゃんが、竜ちゃんの折檻をわかっていても、助けられなかったこと。
 これって、虐めの問題も訴えていると、私は感じました。
 助けたいのに、助けることができずに、自分も親(虐めの場合はいじめっこ)から嫌われないように、
 必死に違うことに逃げる。
 千明ちゃんの場合は勉強でしたが・・・。
 千明ちゃんは、助けられなかったことを責めると同時に、
 どうやって、自分は生きていくかを考えさせられたと思います。
 この演劇では、この時に気付いてあげなければならないんだということを、訴えてたように感じました。
 千明ちゃんが、春ちゃんを責めたのは、助けてほしかったことを訴えて、こんな形になったんだと思います。
 私には、そう見えました。

 で、つぎに春ちゃんとてっちゃんの問題ですが、 なぜ春ちゃんが女に目覚めたのかは、
 ストーリーに入ってなかったので、わからなかったです。
 まぁ、そこのところはあまり問題ではなく、本当の問題は、春ちゃんとてっちゃんの関係。
 2人は恋人同士。
 だけど、2人は将来のことを考えて、てっちゃんは自分の家庭に帰り、
 春ちゃんは子供を引き取ってやり直すという別れの結論を出していました。
 だから、竜ちゃんと千明ちゃんを呼び戻したというわけ。
 2人は話し合いの結果、ちゃんと納得したはずだけど、
 春ちゃんは、引き取った子供とうまくいかず、てっちゃんとの別れをなかったことにしようとする。

 このいざこざを見て、てっちゃんに抱いた感情は、
 「自分の事のために、春ちゃんと子供たちを再会させて、自分はいいことしたんだぞ〜、って思いたいんじゃないの?」
 って思っちゃいました・・・。
 てっちゃんは、いつも冷静で、言っていることは正論なのかもしれないんだけど・・・。
 何だろう?
 上手く言い表せないんだけど、「てっちゃんって、本当に血の通った人間?」って思っちゃう。
 人間って、感情的になって当たり前だし、それだから気持ちを伝えられるような気がする。
 ず〜っと感情的じゃ困るんだけど・・・。
 感情的になってぶつかり合っている人達を止めるときは、冷静で、正論な人がいたほうがいいと思うけどね。

 で、春ちゃんに抱いた感情は、普通に女の人だなぁ〜って思った。
 てっちゃんとのいざこざも、私は正論を言っているてっちゃんよりも、春ちゃんの方が共感できた。
 私も、女だからだと思うけど・・・。
 女の人だなぁ〜って思ったけれど、最後の方で女(オカマ)から、父親に戻ったとき。
 なんだろう、父親として、息子と向き合った姿は、現代には少ない光景だと思いました。
 (オカマから戻ったことじゃなく、息子と向き合うって事ですよ!!)
 父親が、息子や娘に向き合っていることってないんじゃないかなぁ?って。
 今は、向き合うってことは少なく、琢ちゃん演じる竜一(大人)の様に、母親任せで、
 自分は、息子・娘の話をちゃんと聞かずに、叱ること、反対することしかないんじゃないかなぁ?
 その対比を伝えたかったのでは?と思いました。
 でもね、春ちゃんがす〜っごく良い父親って訳じゃないですけどね。
 だって、どんな理由があったにしろ、母親が死んだ後、子供たちに連絡をとらなかったのは、良い父親ではないと・・・。

 と、2人のことを色々言ってきましたが、
 春ちゃんとてっちゃんが寄り添ってるシーンは、カップルのように見え、なんかいいなぁ〜
 って思いましたよ。
 なんか、てっちゃんと春ちゃんは、感情的にも、お互い寄り添ってるっていうか。

 あと、ラストについて。
 最後に竜一が、30年間連絡を取ってなかった父・春夫に電話するシーン。
 あのあと、2人がどうなっていくかは、私達、観劇者が考えることなのですが、
 そのラストが、私をさらに泣かせた要素でした。
 彼らが、どうなっていくかはわかりませんが、電話をかけたことが、
 2人の関係の更なる一歩な様な気がしました。

 あと、このシーンで、竜一自身が春夫に連絡するって事が、
 私には、竜一の選択ができるようになったというのを表しているように感じました。
 もしかしたら、とっくの昔に克服してたのかもしれませんが、私達、観劇者には、ここで知ることができるのだと。

 ここまで物語について色々書いてきましたが、ここからは細々と感じたことを。
 1番目に感じたことは、江田さんの演技がスゴイ!!
 セリフが後半まで全然無い。
 後半にもほとんど無い。
 最後のクライマックスだけってぐらいに、セリフがないんです。
 でも、それがとっても彼の心情を表しているんです。
 それがとても伝わってきて、江田さんの演技に感動しました。
 
 2番目に感じたことは、やっぱり歌っていいねぇ〜。
 伝えたいこととかを、わかりやすく、そして感動的に伝えてくれる。
 今回は、春ちゃんの「夢のはてまで」と、
 ハッチとペコとてっちゃんのハッスルな歌。(曲名は忘れました)
 後者の歌はともかく、春ちゃんの「夢のはてまで」はとってもいい曲v
 ラーギットの時もそうでしたが、終演後もうろ覚えで歌ってましたぁ〜(笑)
 終演後の会場にも流れていて、友達とちょっと聞き入ってました。
 このCD、でないかなぁ?

 3番目に感じたことは、洋ちゃん、女装似合うなぁ〜って。
 足もキレイで、細いし、なんか女性の服着こなしてたしv
 私より女らしいんじゃないかい?!
 でも、足大丈夫かなぁ?って思いました。
 ヒールって、結構辛いですよね・・・。
 男の洋ちゃんには、とっても辛かったのではないかと思います。

 4番目に感じたことは、モリの抑えた演技。
 本当は、ろっ骨(軟骨)が折れて、抑えた演技になったそうですが、
 それが、今回の演劇ではGооdに働いてた!!
 あれで、いつもの大きな演技だったら、違う演劇に感じてただろうし、意味が変わってくるような気がするなぁ〜。
 あと、モリの抑えた演技、私的に結構好きだったりするv
 落ち着いた大人って感じで!!

 終った後、思った感想が、やっぱ、演劇っていいなぁ〜って。
 これからも沢山の演劇を観たいなぁ〜って思いました。
 イナダ組もだけど、他のところも色々。
 新境地も開拓したいな、と。
 やっぱりイナダ組は、私の演劇好きをさらに高めてくれることはわかりました(笑)
 それにしても、もう1回見たかったなぁ〜、「ライナス」
 ビデオ買ったので、2度は無理だった(涙)
 「ライナス」のビデオ出るかなぁ?

 余談
  「ライナス」の意味をチラシもらったときもわからず、終演後もわかりませんでした・・・。
  で、全公演終了3日後くらいにSKGのHPで江田さんの書き込みを見て、
  やっと意味を知ることができました・・・。
  私、スヌーピーのこと全然知らないんですよ。
  キャラは見たことあるけど、それくらいで・・・。
  なんか多くの皆さんは知っていたみたいで、ちょぴり恥ずかしいです。