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■『忘れられた人々』(‘50/メキシコ) LOS OLVIDADOS 【★★★★☆】 監督・脚本:ルイス・ブニュエル 脚本:ルイス・アルコリサ 撮影:ガブリエル・フィゲロア 音楽:ロドルフォ・ハルフター 【カンヌ映画祭監督賞】 〜REVIEW〜 ■ルイス・ブニュエルの中期を代表するシリアスな一作。この作品では怪作・珍品をたくさん生み出した才人ブニュエルの違う側面を見せるような懐の深さが伺えると思う。 貧困ゆえに劣悪な環境と化したメキシコのスラムシティが舞台で、感化院から出所してきたばかりの青年ハイボが少年たちを束ねて悪行の限りを尽くしやがては破滅していく過程を描出する。 ■ボス的な存在としてハイボが先導し、障害者や盲人をも狩りの対象にしていく少年たちの日常が描かれ、また彼は自分を感化院に送り込んだ密告者だとして真面目に働くフリアンという青年を撲殺する。一方、ハイボに相棒にされ、そのせいで悪に染まりきっていない少年ペドロは愛する母親からも冷たく突き放されることになり、さらにはハイボがペドロの職場から売り物のナイフを盗んだのが原因となり感化院に送り込まれてしまう。2人の姿が少しずつ善悪の構図として明確になっていく過程で、まともな生き方を模索するペドロが不本意にも社会的制裁を受ける結果となるのが冷徹な視線で描かれている。貧困ゆえに教育が受けられず、ゆえに働くことを強いられ、しかしスラム化した環境では犯罪に手を染める少年たちが生まれ、彼らが社会的弱者を駆逐していく。この悪循環から抜け出せないメキシコの現実には考えさせられるものがある。資本主義社会繁栄の陰で、まるで笊から振い落とされた残り粕のような現実だからだ。 ■メキシコの貧困を背景にした少年犯罪の悪化は『ピショット』や近作『シティ・オブ・ゴッド』でも描かれているが、本作ではスタイリッシュな演出や微かな希望は排してやり場のない悲しみだけが残るラストが用意されている。〈無惨にもハイボに岩で殴り殺されたペドロが、崖下のゴミ捨て場に放り投げられて終わるショッキングな幕切れ〉、このシーンが目に焼きついて離れない。やはりブニュエルを語る上では欠かせない作品だと思う。 |