| ジンジャー・パン |
| 「四つずつ。」と、メアリー・ポピンズがいいました。「つまり、十二。一ダースいただきます。」 「パン屋の一ダースにしとこうよ―――十三、おとり。」と、コリーおばさんは、たのしげにいいました。 そこで、ジェインとマイケルは、ひらたいジンジャー・パンを十三えらびました。その一まい一まいに、金色 の紙でできた星がついているのです。ふたりの手は、おいしそうな、茶色のお菓子でいっぱいになりました。 マイケルは、がまんできなくて、一つ、はじのほうを、ちょっとかじりました。 「おいしいかい?」とコリーおばさんが、キイキイ声でききました。そして、マイケルがうなずいたのを見る と、スカートをつまみあげて、うれしくてたまらないというようすで、ハイランド・フリング踊りを、二あし、三あ し、踊りました。 「フレー、フレー、すてきだ、フレー!」コリーおばさんは、細い金切り声をあげるとやがて、踊りをやめて、し んけんな顔つきになりました。 「だけど、忘れちゃいけないよ―――あげちゃうわけじゃないんだから。払ってもらわなくちゃね。おねだん は、ひとりぶん三ペンス。」 (中略) それからふたりは、ジンジャー・パンをはじからかみとっては、いろいろな形――人だの、花だの、お茶のポ ットだの――をつくるのに夢中になって、その、とてもおかしなことを、すっかり忘れてしまいました。 『風にのってきたメアリー・ポピンズ』 P・L・トラヴァース作 林 容吉訳・岩波少年文庫 |
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| 子供のときにいちばん好きだった本の一つに、いとこのお姉さんに譲ってもらった「風に乗ってきたメアリー・ポピンズ」があります。あまりにも気に入って、何度も何度も読み返し、とうとう母に続編のシリーズを買ってもらったものです。 子供の頃の私は、メアリー・ポピンズが東の風に乗ってバンクス家に現れてから西の風に乗って去っていくまでに起こった不思議な出来事に胸を躍らせると同時に、はじめて触れる英国の習慣や文物に夢中になりました。子供は両親とではなく、ナニー(子守り)と毎日を過ごすこと、クリスマスには子供も大人のためにプレゼントを買うこと、子供でもジュースではなくお茶を飲むこと、セント・ポール寺院にいるというトリのおばさん・・・。見たこともない外国のお菓子にもどきどきしました。最高級さとう製のペパミント・キャンディーやバタをつけたパン。このコリーおばさんのジンジャー・パンも、その一つです。 大きくなってから、それがパウンド・ケーキの一種であるジンジャー・ブレッドだとわかったのですが、どのレシピを見ても、この本にでてくるような紙の星をはったひらたいお菓子としては紹介されていません。もしかしたら、このコリーおばさんのものが特別だったのかもしれませんが、ジェインやマイケルがこのことを不思議とも思わず、ジンジャー・パンを端からかみとって遊ぶ場面や、紙の星を隠す場所の話をする場面があるのを見ると、イギリスではパウンド・ケーキ型のもののほかに、薄く切って駄菓子のように売られているものがあるのかもしれません。 不勉強で、結局このジンジャー・パンの謎は私の中では謎のままなのですが、今回は本の挿絵を元に、ジンジャー・パンをひらたくスライスして、折り紙の星をつけてみました。もし真相(?)をご存知の方がいらっしゃったら、ぜひ教えてください。 |
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材料 |
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薄力粉 125g 全粒小麦粉 50g ジンジャーパウダー 小さじ2 シナモンパウダー 小さじ1 重曹(ベーキング・ソーダ) 小さじ1/2 たまご 1個 牛乳 大さじ1 |
トリックル(モラセス) 50g ゴールデンシロップ(はちみつで代用) 50g ブラウン・シュガー 75g バター 75g しょうがの砂糖漬け(なくてもよい) 75g コリーおばさん風にするには 金色の折り紙 数枚 |
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作り方 |
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1 薄力粉、全粒小麦粉、ジンジャーパウダー、シナモンパウダー、重曹をあわせてふるい、ボールに入れる。 2 鍋にトリックル、はちみつ、ブラウンシュガー、バターをいれ、バターが溶けるまで火にかける。 3 1に、2とほぐしたたまごに牛乳大さじ1を混ぜたものを加え、全体をよく混ぜ合わせる。 4 しょうがの砂糖漬けを粗くきざみ、3に加える。 5 型にクッキングシートを敷いて(側面も覆っておくこと)、4を流しいれ、表面を平らにならす。 6 あらかじめ170度に温めたオーブンで約50分焼く。竹串をさして、生地がついてこなければ、焼き上がり。 |
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7 コリーおばさん風にするには、さましたジンジャー・パンをうすめにスライスし、折り紙で作った金の星をはります。 |
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このお菓子には、イギリス特有の材料がいくつか使われています。 トリックルやゴールデンシロップというのは、英国独特の糖蜜 |