■アナトミー
2002年4月4日 シネマメディアージュ(お台場)

 ホラー映画の特集上映「SHOCKING MOVIE PROJECT」第2弾作品。原題『ANATOMIE』。英語題『ANATOMY』。監督&脚本:ステファン・ルツォヴィツキー。音楽:マウリス・ルーランド。2000年、ドイツ映画(製作:コロンビア映画)。カラー・シネスコ。SDDS&ドルビー・デジタル。上映時間99分。2002年3月30日から4月12日までシネマメディアージュにて、4月18日から22日まで新宿東映パラス2(現:廃館)にて公開。配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント。配給協力:メディアボックス。
 2000年のドイツが舞台。全独2位の成績を納めた女子医学生パウラ(フランカ・ポテンテ)は、ハイデルベルグにある名門医科大学の解剖学教室に入学することを認められた。医学博士としてドイツ医学会の発展に寄与したパウラの祖父(ヴェルナー・ディーゼル)は、そのことを喜ぶ。だが、臨床医であるパウラの父(リュティガー・フォークラー)は、彼女のハイデルベルグ行きに反対だった。パウラの母(バーバラ・マグダレーナ・アーレン)に見送られてハイデルベルグに向かったパウラは、その途中の電車で全独1位の成績を納めた医学生グレーチェン(アンナ・ロース)と出会う。彼女の目的地もパウラと同じ名門医科大学の解剖学教室であった。そんな2人の前に心臓肥大症のダーヴィド(アルンドゥト・シュヴェリング=ゾーンレイ)が現れる。心停止状態に陥った彼をパウラは救った。ハイデルベルグに到着したパウラとグレーチェンは、彼女たちと同様、グロムベック教授(トラウゴット・ブーレ)の解剖学教室に入学を認められた女子医大生ガービー(アントニア・ケシリア・ホルフェルダー)と知り合う。色恋沙汰は勉強の邪魔と断じるパウラ。そんな彼女を尻目に、グレーチェンはハイン(ベンノ・フュルマン)と、ガービーはフランツ(アンドレア・ギュンター)と付き合い始める。やがて、パウラも彼女に対して好意を示すカスパー(セバスチャン・ブロムベルグ)と付き合うようになった。そんな矢先、グレーチェンはハインからフィル(ホルガー・スペックハーン)に乗り換える。ハインを慰めているところをカスパーに見られたパウラは、カスパーにハインとのことを誤解されたと思い、誤解を解くべくカスパーの部屋に向かった。しかし、部屋にカスパーの姿は無く、ルームメイトのルートヴィヒ(オリバー・K・ヴヌク)も彼の居場所を知らないと言う……。
 上記の「あらすじ」だけを読むと、まるでドイツ版『ビバリーヒルズ青春白書』という感じ(苦笑)。だが、「AAA!(アンチ・ヒポクラテス連盟)」という秘密結社が出てくるに至って、物語は急にサスペンス性を持ち始める(まじ)。とにかく、この「AAA!」という組織がスゴイ(苦笑)。医学者たちによる秘密結社なのだが、治療を目的とする「ヒポクラテス主義」に反対し、研究のためだけに生きている人間を切り刻むこと「是」とする「ド外道」組織なのである。
 「AAA!」ほどではないが、治療よりも研究に重きを置いている組織は確かに存在する。例えば、国立がんセンター。2002年から国立がんセンターは初診患者に対して「同意文書」を配布するようになった。この「同意文書」とは、検査や手術で採取した患者の血液や組織などの試料やカルテなどを医学研究に使用する「包括的な同意」を当該患者から得るものである。患者の権利を守るという視点で見るならば、一定の評価は可能だ。しかし、裏を返せば、2001年までは患者の了承も無く、組織標本を解剖したり、他の医者に分けていたということになる。さて、この「同意文書」に対し、280人が同意し、8人が不同意だった(1ヵ月間の数字)。私は、この「同意文書」に同意しなかった8人をスゴイと思う。なぜなら、これから治療してもらう相手(医師)の不興を買うかもしれないのに自分の意思を押し通したからだ。同意した280人の中には、同意したくなかったが、同意しないと「手抜き」治療をされるかもしれないと思い、同意した人もいただろう。患者の立場が弱いことをいいことに、自分たちの意向を押し付けようとする医者の存在のほうがホラー映画よりも怖いと感じた(まじ)。
 閑話休題。標本化された遺体のグロテスクさは、なかなかのものだった。以前、国立科学博物館の特別展示でホルマリン漬けにされた様々な「死体」を見学したことがある。人間の輪切りや奇形児などを見て、私は「面白い」と感じた。そんな私を悪趣味だと思う人もいるかもしれない。だが、人は「死体」というものに対して、多かれ少なかれ興味を持っているものだ。なぜなら、「死体」が「死」の象徴だからである。未だ「死」を体験したことのない我々が、「死体」に好奇心を刺激されるのも、「死体」を通じて「死」という現象を知りたいという欲求があるからではなかろうか?

●おすすめ対象
 グロい映像が好きなら必見だっ(苦笑)!!

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●一言で言えば……
 現代に甦るドイツ版『海と毒薬』!?


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