2002年米国アカデミー賞最優秀作品賞ほか4部門受賞。原題『A BEAUTIFUL MIND』。原作:シルビア・ネイサー。脚本:アキバ・ゴールズマン。監督:ロン・ハワード。2001年、アメリカ映画(製作:ドリームワークス映画&ユニヴァーサル映画&イマジン・エンターテインメント)。カラー・ビスタ。SDDS&DTS&ドルビー・デジタル。上映時間134分。2002年3月30日より全国東宝洋画系にて公開。チェーン・マスターは日比谷スカラ座1。配給:UIP映画。興行収入成績:19億9000万円。
1947年、アメリカはニュージャージー州にあるプリンストン大学から物語は始まる。大学院の数学科に優秀な成績で入学したジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニア(ラッセル・クロウ)は、講義や課題提出を「時間のムダ」と断じ、勝手な思索に耽っていた。そんな彼の態度にヘリンジャー教授(ジャド・ハーシュ)は戸惑いを隠せない。だが、同級生のハンセン(ジョシュ・ルーカス)が、次々に論文を発表するのに対し、ナッシュは何一つ発表できる論文を作成できないでいた。いらつく彼をルームメイトのチャールズ(ポール・ベタニー)だけが励ます。そんなある日、ナッシュは後に『ゲーム(の)理論』を発展させる『ナッシュ均衡』と呼ばれる論文を発表。これで認められたナッシュは悲願であったウィーラー研究所への入所を認められる。ソル(アダム・ゴールドバーグ)とベンダー(アンソニー・ラップ)を伴って研究所に移動したナッシュだったが、時々、暗号解読などで軍に協力をする程度の毎日。講師として大学の教壇に立つのが主な仕事だった。「もっと、アメリカに貢献したい」というナッシュの思いは空回りするばかり。そんな矢先、NSAのスパイだと名乗るパーチャー(エド・ハリス)が、彼に接触してくる。パーチャーからソ連スパイへの暗号を解読するよう命じられたナッシュは、愛国心に燃えながら懸命に任務をこなしていった。その一方、自分の授業の受講生であったアリシア(ジェニファー・コネリー)と結婚。仕事も家庭も充実し、まさに幸せの絶頂と思っていた時、事件は起こった。その日、講演のため大学を訪れたナッシュはチャールズとチャールズの姪マーシー(ビビアン・カードン)に迎えられる。しかし、そんな親友との再会を喜ぶナッシュを冷酷な目で見つめる男たちがいた。男たちを指揮しているのは医者のローゼン(クリストファー・プラマー)。彼の手には麻酔用の注射器が握られていた……。
【松下怜之佑教授(失笑)の特別講座1時限目「『ゲーム(の)理論』とは?」】……はい。どーも、松下です。私、本当は法律が専門なのですが、僣越ながら『ゲーム(の)理論』について「あっさり」と説明させて頂きます(「特別講座」の部分は映画の感想ではないので口調を「です・ます調」にしています)。えー……、まず、『ゲーム(の)理論』というのを一言で説明すると「利害対立を含む複数主体間の行動原理をゲームの形で一般化した理論」となります。……はい。何のことかサッパリ分かりませんねぇ(苦笑)。では、この理論の歴史について語ってみましょう。この理論の創始者は映画の主人公になっているジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニアではありません。ジョン・フォン・ノイマンとオスカー・モルゲンシュテルンという2人のアメリカ人です(彼らより先にフランスのエミール・ボレルが『ゲーム(の)理論』に関する論文を発表していますが、優先権はノイマンたちにあるようです)。ところで、この「ノイマン」という名前、どこかで聞いたことがありませんか?SFファンなら「非ノイマン型コンピュータ」というフレーズでピンッとくるでしょう。そう。彼こそ「ノイマン型コンピュータ」の発明者なのです!!……えっ?「ノイマン型コンピュータ」とは何かって?……貴方の目の前にあるじゃないですか!!そう。所謂、「ムネオハウス」……じゃなかった、「パソコン」のことですよ!!ちなみに、このノイマン、悪名高き「マンハッタン計画」に加担し、いわゆる「長崎型原爆」と呼ばれる爆縮型原爆(プルトニウム239の周りにTNT火薬を配置し、火薬の爆発による圧力と熱で核融合を起こさせる原爆。現在ある核兵器の原型とも言えるモノ)を実用化した人物としても有名です。閑話休題。このノイマン博士とオスカー博士がプリンストン高等研究所にいる時、発表したのが『ゲームの理論と経済行動』という論文。彼らは「有限の条件のもと2人でゼロサムゲーム(一方が勝てば他方は負けるというゲーム)を行う場合、〈合理的な策〉が必ずある」と考えました。「有限・2人・ゼロサムゲーム」の場合、プレイヤーは相手の最大利得を最小にしようと行動します。これに対して、相手側プレイヤーは自分の最小利得を最大にしようと行動します。この両者の行動が極限に達すると「最大利得の最小(ミニマム)」と「最小利得の最大(マックス)」がイコールになる(均衡する)ことを彼らは証明しました。これを『ミニマックス定理』と呼びます。この『ミニマックス定理』こそ彼らが求めた「有限・2人・ゼロサムゲーム」の〈合理的な策〉の存在を示すものでした。この理論は経済・社会・軍事など各方面に大きな影響を与えています。
【松下怜之佑教授(失笑)の特別講座2時限目「『ナッシュ均衡』とは?」】……ところで、ノイマンたちの『ゲーム(の)理論』に関する研究は、ほとんど「協力ゲーム」についてでした。「協力ゲーム」とは「3人以上のプレイヤーのうち全員ではない複数が協力関係にある」状況での「ゲーム」のことです。この反対が「非協力ゲーム」というもので「プレイヤーは互いに協力関係を持たない」状況で「ゲーム」をします。ノイマンたちの研究のうち唯一の「非協力ゲーム」は「有限・2人・ゼロサムゲーム」でした。これは『ミニマックス定理』で〈合理的な策〉が存在することが証明されています。ここで、映画の主人公であるジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニアの登場です。彼は「非協力ゲーム」の方面に突き進み、「有限・2人・非ゼロサムゲーム」にも〈合理的な策〉が存在することを証明しました。そして、「全ての《有限・2人ゲーム》には必ず《均衡点》がある」と発表しました。これが『ナッシュ均衡』です。ナッシュの論はノイマンの『ゲーム(の)理論』を発展させました。これが評価され、1994年にナッシュはノーベル経済学賞を受賞したのです。後に『ナッシュ均衡』の矛盾点が指摘されますが、彼が「非協力的なゲーム理論の発展」に貢献したことは動かしようのない事実でした。……以上、甚だ簡単ではありますが『ゲーム(の)理論』と『ナッシュ均衡』の説明を終わります。
さて、映画についてだが、特殊メイクが素晴らしい!!ラッセル・クロウが見事なジジイになっていく様子は、メイクとは思えない出来である(ちなみに、ラッセル・クロウ自身の演技は普通だった)。これには素直に脱帽!!だが、映画の出来は及第点ギリギリといったところか。ストーリーは「実話」だから文句の付けようがない。しかし、「ブロンドの姉ちゃんのいる合コン(苦笑)」で『ナッシュ均衡』を説明しようとするなんて完全に観客をミスリードするものだ(怒)。映画のチラシに「(前略)……『ゲーム理論』の土台を完成させ、その後の経済学に大きな影響を及ぼしたノーベル賞学者、ジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニア……(後略)」とあったが、この文章を書いた人はもちろん、所謂、「映画評論家(批評家?)」たちの書いた評論も完全にナッシュが『ゲーム(の)理論』の創始者だと誤解しているモノばかりである。もっと勉強しろっ、アホ評論家ども(激怒)!!ちょっと調べれば、すぐ分かることだろうがっ!!……まあ、デートで彼女と観た後、「『ゲーム(の)理論』の本当の創始者はノイマンとオスカーなんだぜ!」と語ったりすれば、彼女から「まあ、モノ知りな方。素敵……(うるうる)」と尊敬の眼差しで見られること請け合い(失笑)!?ちなみに、『化粧師/KEWAISHI』みたいな作品だから(ネタバレ?)。
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米国アカデミー賞崇拝者だけが観れば(皮肉)?
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●一言で言えば……
えっ!?ラジー賞の間違いじゃないの(皮肉)!?