■BROTHER
2001年2月15日 AMCイクスピアリ16(現:シネマイクスピアリ)

 北野武監督作品第9弾。第57回ベネチア国際映画祭特別招待作品。脚本&編集&監督:北野武。プロデューサー:森昌行&ジェレミー・トーマス(『御法度 GOHATTO』ほか)。音楽監督:久石譲。衣装デザイン:山本耀司。2000年、日本=イギリス合作(製作:オフィス北野ほか)。カラー・ビスタ。ドルビー・デジタル。上映時間114分。配給:オフィス北野&松竹。興行収入成績:8億8800万円。
 2000年のアメリカ、ロサンゼルスから物語は始まる。山本(ビートたけし)は、弟であるケン(真木蔵人)を探しにこの街へとやって来た。そんな山本の前に観光客専門のカツアゲ屋デニー(オマー・エプス)が現れる。因縁を付けるデニーの目を突き、返り討ちにした山本。ようやくケンと再会を果たしたが、彼はデニーやアメリカの仲間たち(ロイヤル・ワトキンズ&ロンバルト・ボイヤー)と麻薬の売人をしていた。ケンが上納金を納めにヒスパニック・グループと会いに行っている間、山本は東京での出来事を思い出す。山本は東京で花岡組という広域指定暴力団の幹部をしていた。だが、抗争により組長が死亡。警察幹部(大竹まこと)の圧力もあり、組は解散させられてしまう。山本の兄弟分だった原田(大杉漣)は、抗争相手であった久松組の組長・久松(六平直政)の子分になって舎弟たちを守ろうとするが、外様であったため信用されていなかった。そこで久松が原田に命じたことは兄弟分である山本を殺すこと。原田は山本に遠くへ身を隠すよう懇願した。その後、原田は何とか自前の組を持つまでに至ったが、大親分(渡哲也)の前で忠誠心を疑われたため、切腹してしまう……。タバコを買いに表に出た山本は、偶然、ケンがヒスパニック・グループから上納金を巡って暴行を受けている現場に遭遇した。ケンを守るためヒスパニック・グループを叩きのめした山本。これを契機にヒスパニック・グループのシマを手に入れる。そんなある日のこと、デニーの母親の誕生パーティーに招かれたケンたちは、そこでデニーの妹(タティアナ・M・アリ)と出会った。その後、山本を慕って渡米してきた舎弟・加藤(寺島進)の加入で山本組は巨大化し始める。加藤は組織をより大きくするため、日本人街のボスである白瀬(加藤雅也)を仲間にしようと、白瀬とその舎弟(石橋凌)の前で自決。しかし、信頼していた加藤を失い、山本組は暴走を始める。それは崩壊への序章に過ぎなかった……。
 北野武のカラーを残しつつ、うまく大衆化することに成功した作品と言える。何より日本でも北野作品がヒットしたことは喜ばしい限りだ。
 さて、映画では暴力団の世界を丁寧に描いている(ちゃんと、杯を交わす儀式のシーンもある)。今まで、海外に行く度、北野監督はプレスから「ヤクザ」について質問攻めに遭っていた。それを防ぐため、外国人に「ヤクザ」をレクチャーする目的で作ったのが『BROTHER』だと聞く。だが、昔のヤクザ映画を知らない私のような若者には、それが逆に新鮮だった。また、映画全編に貫かれている自分の暴力が最後には自分に返ってくるという哲学に、とても共感した。
 暴力表現はとても痛々しいものだ。「ヤクザ同士が殺し合うのだからOK」と映倫は一般指定にしているが、海外では厳しいレーティング規制を受けている。正直言って『バトル・ロワイアル』より、こちらのほうが子供に観せたくない。なぜなら、観終わると「気分はギャングスター(ヤクザ)」になってしまうからだ。口より先に手が出てしまうのは既に私で実証済(冷汗)。ところで、頭に血が昇っている時に、腰の辺りに差し込むようなヘンな痛みを感じるのだが、あれはアドレナリンのせい?我に返った後、足がガクガク震えて立っているのがしんどいのは何度経験しても嫌な感じだ。閑話休題。久石譲の音楽だけで涙がこぼれそうになるのに、寺島進演じる加藤が自己を犠牲にしてまで山本のために尽くす場面は号泣モノ(涙)。ラストで死地へと赴くビートたけし演じる山本の後ろ姿に嗚咽を漏らさずにはいられない(泣)。兄貴ーっ(号泣)!!

●おすすめ対象
 漢〈おとこ〉だったら必ず観るべし!!

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●一言で言えば……
 滅びゆく漢〈おとこ〉たちの美学。


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