■コラム 困った人の話・その2
 これは、とある試写会場であった出来事である。
 感動のラストシーンを迎え、エンドクレジット(スタッフロール)になった途端、多くの人々が席を立ち始めたのだ。
 映画ファンなら、当然、分かっていることだと思うが、エンドクレジットを最後まで観ずに席を立つのはマナー違反である。なぜなら、エンドクレジットでキャストやスタッフをチェックしている人や、映画の余韻に浸りたい人もいるからだ。また、暗い劇場内を動き回るのは危険極まりない。
 もちろん、何らかの理由で最後まで観ることが出来ず、席を立たなければならないこともあるかもしれない。だが、そのような場合であっても、観ている人たちの邪魔にならないよう頭を低くして退席するのが、最低限のルールだ。しかし、今回は、それすら守られていなかったのである。
 しかも、その席を立つ恥知らずな行列にいた若い女性が私の足を踏みつけたのであった。「すみません」と謝罪するのかと思いきや、彼女の口から出た言葉は「失礼な人(怒)」。
 他の人がまだ映画を観ている最中に前を横切り、人の足を踏んでも謝罪せず、捨てゼリフを吐いて去っていった彼女と、足を投げ出していたわけでもないのに踏みつけられてしまった私とでは、どちらが「失礼な人」なのだろうか?
 悪いことは重なると言うように、その日の災難は、それで終わりでは無かった。観客のマナーに憤慨していた私を次に襲ったのは、背後からの傘による暴行。驚いて振り返ると、髪の毛を金色に染めた頭の悪そうな男が怒鳴っている。
金髪男「おめーに言ってんだよ!」
 突然の暴行に怒りを覚えた私だったが、怒りを抑えつつ言った。
私「何をするんだ!暴行罪だぞ!警察呼ぼうか!」
 すると、金髪男は、たじろぎ、こう叫んだ。
金髪男「おめえ!男かよ!」
 意味不明だ。アホ金髪男が言う「男」というのは、人をいきなり背後から殴るような卑怯者のことだろうか(失笑)?第一、暴力をふるえば犯罪だ。私は深夜2時まで警察署に留め置かれた上、後日呼び出しを喰らうなど、貴重な経験をしたことがある(苦笑)。だから、すぐさま1発お見舞いしてやりたい気持ちを抑えて睨みつけた。
 訳が分からん。すると、金髪男の連れと思われる女性が間に入ってきた。謝罪を繰り返す彼女が言うには、私の頭が邪魔で金髪男は映画が楽しめなかったとのこと。一応、断っておくが、私は周りより頭が飛び抜けるほど座高が高かったわけではない。むしろ、隣の女性と同じ高さになるよう、小さくなっていたほどだ。なぜなら、試写会場となったヤマハホールは前後の座席間に高低差がほとんど無いからである。そのため、私だって前の人の頭が邪魔だなと思いつつ観ていたのだ。閑話休題。だが、私の頭が邪魔だったということと、傘による背後からの暴行が、どうして繋がるのか分からない。すると、女性は金髪男が私の頭を引っ込めさせようとイスの背を蹴り上げたり、女性にムニュムニュと文句を言っていたのだが、私に無視されたからだと語った。
 確かに、上映中、イスの背を蹴り上げたり、モゴモゴと呟いている奴が後ろにいた。女性によると、それが、私の頭が邪魔だという金髪男のアピールだったと言うのだ。でも、ちょっと待って欲しい。ここで読者の方に質問をしたい。映画上映中ずっと、後ろの人がイスの背を蹴り上げたり、呟いていたとする。さて、皆さんは後ろの人が、どんな人間だと判断するだろうか?おそらく「あぶない人」だろう。「あぶない人」に対する普通人の対応は「無視」である。
 もし、私の頭が邪魔であるなら、ちょいと肩を叩いて「大変申し訳ないが、少し頭を下げて頂けませんか」とお願いすれば良い。本当は、人の頭を下げさせるなんて、とても失礼なことなのだが、その場合は右に寄ってもらうなり左に寄ってもらうなり方法はある。しかし、金髪男はそういうことは一切せず、イスの背を蹴り上げたり、ブツブツと呟いたりしただけで、私に無視されたと主張するのだ。
 前置きしておくが、私は超能力者ではない(失笑)。普通人が持つコミュニケーション能力しか有していないのだ。だから、自己中金髪男がイスを蹴り上げたり、口の中でモゴモゴと悪態をついていようと、面と向かって言われない限り、自分に対して発せられているメッセージだなんて判るはずがない。
 金髪男の連れの女性が、かわいそうなぐらい謝罪しているのを見て、私は告訴するのも、私的制裁(違法行為です。マネしないように)を加えるのも止めた。女性に連れられて金髪男は退場していったが、突然、暴行を受けた私は、とても気分が悪かった。

 エンドクレジットで席を立つ人や金髪男など、最近、自己中心的な人たちが増えている。特に金髪男などは、完全にコミュニケーション能力が欠如していた。連れの女性がいなかったら、警察に突き出していたところだ。
 さて、前回のその1が好評だったこのコラム。良心的な映画ファンとして、拙者は、これからも困った人達を斬り捨てていくつもりなので、ご期待下され!!
トップメニューに戻る