2000年カンヌ国際映画祭パルムドール&主演女優賞(ビヨーク)受賞。監督&脚本&カメラオペレーターを担当したのはラース・フォン・トリアー。2000年、デンマーク映画。カラー・シネスコ。上映時間140分。配給:松竹。興行収入成績:24億2000万円。
2000年のアメリカが舞台。チェコ移民のセルマ(ビヨーク)は、遺伝性の病気で視力を徐々に失いつつあった。彼女にとっての生きがいは、ミュージカルと一人息子のジーン(ブラディカ・コスティック)だけ。しかし、遺伝性の視力障害は息子ジーンにも受け継がれてしまっていた。息子の視力回復手術のため、表向きはチェコに残した父親オールドリッチ・ノヴィ(ジョエル・グレイ)に送金するためだとして、金を貯めるセルマ。もっと金を稼ぐため、内職を増やし、夜間勤務まで始めたセルマを、親友のキャシー(カトリーヌ・ドヌーヴ)や、セルマに想いを寄せるジェフ(ピーター・ストーメア)、工場長のノーマン(ジャン・マルク・バール)は心配する。そんなある日、住居としてトレーラーハウスを貸してくれていた警察官ビル(デビッド・モース)がセルマの家にやって来た。浪費家の妻リンダ(カーラ・セイモア)が遺産を喰い潰し、家を銀行に取られそうだと打ち明ける彼に、セルマは息子のために手術費用を貯め込んでいることを教えてしまう……。
全編家庭用デジタルビデオカメラで撮影されているそうだ。デジタルビデオの映像がカンヌを征したというのは、エポック・メイキングな出来事である。将来、映画はフィルムではなく、デジタルビデオカメラによって撮影されることが主流となるだろう。これは、ゲームデザイナーや漫画家など、異業種分野の才能の参入を容易にし、映画界の活性化に繋がるから歓迎したいところだ。さて、この作品の映像は、ドキュメンタリー・スタイルとミュージカル・スタイルの二つに分かれる。ドキュメンタリー・パートは、手持ちカメラによる素人っぽい映像であるのに対して、ミュージカル・パートを撮影したのは『ブエナビスタ・ソシアルクラブ』のロビー・ミュラー。彼の手によるミュージカル・パートは、ビンセント・パターソンによる振り付けや、ビヨークの歌声と相まって、圧巻の一言である。
だが、どのシーンからも寂しさや切なさや悲しみばかりが溢れてくる。歌声だけでなく、歌詞からも悲壮感が漂っていた。また、ストーリーも救いようが無いくらい重くて暗くて苦しい。母子家庭&音楽性の高い作品と言うと『ミュージック・オブ・ハート』が思い出される。『ミュージック・オブ・ハート』が「陽」の作品だとすると、さしずめ『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は「陰」の作品か。しかし、これを、正月から観せられるほうは、たまったものではない。もし、精神的に参っている人が、この作品の予告編の雰囲気に騙され「正月に映画でも観て元気でも出すか」と、この作品を選んだら……。絶望のあまり、電車にでも飛び込みかねない(まじ)。
それほど、救いの無い映画だ。暗い。暗すぎる。デンマーク国民は、こんなにも暗い国民なのか(失笑)?かなりキツイ内容なので覚悟して観に行かねばならない。予告編の「ほんわか」雰囲気に騙されると、ひどい目に遭うよ。それにしても、正月から、このようにヘビーな作品を全国公開する松竹には疑問。また、オープニングにある3分30秒もの映像無しシーンは必要があったのだろうか?
●おすすめ対象
精神的に余裕がある人限定。
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●一言で言えば……
泣けるけど、観ると死にたくなる作品。