脚本:四騎の会(市川崑&黒澤明&木下恵介&小林正樹)。監督:市川崑。脚本完成から30年後に、ようやく映画化された娯楽時代劇である。2000年、日本映画(製作:日活ほか)。全国東宝邦画系にて公開。チェーン・マスターは日劇東宝(現:日劇2)。配給:東宝。興行収入成績:14億円。
舞台は江戸時代の日本、とある小藩。参勤交代で江戸に出ている殿の密命を受け、望月小平太(役所広司)は、町奉行に着任した。ところが、いつまで経っても奉行所に出て来ないうえ、とんでもない道楽者とのウワサが流れる。それで、付いたあだ名が「どら平太」。ウワサを気にした友人・安川半蔵(片岡鶴太郎)は、小平太に「ウワサを流しているのは小平太の幼なじみで大目付のセンバ(宇崎竜童)だ」と忠告する。だが、小平太は顔色を変えずに「俺がそういうウワサを流すよう頼んだ」と言い放った。意味が解らぬ安川に、小平太は現状を説明する。今まで何人もの町奉行が「壕外(ほりそと)」と呼ばれる無法地帯の浄化に努めてきた。しかし、必ず途中で横ヤリが入り、辞めさせられてしまっている。どうやら、「濠外」を仕切っている灘八(菅原文太)、才兵衛(石橋蓮司)、太十(石倉三郎)と言う3親分と、城の中にいる城代家老の今村(大滝秀治)ら重職たちが、裏で繋がっているようなのだ。そこで、小平太は「酒とバクチと女遊びが大好きな無能者のフリをして汚職の調査をしている」と告白するが……。
悪役が全員どこかとぼけていて、何となく憎めない。小平太を封じ込める話し合いを重職たちがしている場面があるのだが、途中で健康談義に話がすり変わっていったりするのだ(笑)。また、才兵衛と太十の親分は、小平太のノリに負けて兄弟の杯を交わしてしまったりする(笑)。そんな豪快な男として描かれる小平太も、江戸から追いかけてきた芸者こせい(浅野ゆう子)には頭が上がらなかったりするのだから面白い。奉行所の書記官たち(うじきつよし&尾藤イサオ)が、毎日「お奉行は未だ出てこない……」と書き綴るのも、何となく笑えた。
さて、時代劇と「チャンバラ」シーンは切っても切れない関係だが、本作品では「チャンバラ」よりも「徒手格闘」場面のほうが多く、血は出ない。ウリである「50人斬り」シーンでは、刀の刃の付いていないほうで、敵を倒していく(所謂「峰打ち」である)。従って、ここでも血は出ない。血や人殺しをテレビや映画で見慣れた最近の人々には物足りないかもしれない。だが、刀で人を斬ると、骨に当たって刃こぼれはするし、人間の油ですぐに斬れなくなってしまうものだ。そのため、「峰打ち」のほうが多人数相手の闘いでは理に適っていると言えよう。
ところで、役所さんは「若い人にも観て欲しい」と仰っていたが、言葉づかいが時代劇初心者向きではなく、いきなり観ても意味が分からない人が多いかもしれない(言っている意味が解らないのは、片岡鶴太郎や浅野ゆう子ら俳優たちの時代劇的なセリフ回しがヘタだからという説もあるが……)。大胆かもしれないが、言葉づかいを今の言葉に直したほうが万人向け作品になったと思う(それはそれで時代劇ファンの怒りを買うと思うが……)。
●おすすめ対象
時代劇ファン向け。初心者にはチトつらいか?
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●一言で言えば……
いつの時代でもマジメな奴が苦労する……(トホホ)。