1日目(2000年11月3日)
場所は新宿……?

 ロケ地は横浜ビジネスパーク。だが、映画では新宿のシーンで使われると言う。相鉄本線天王町駅から徒歩10分。朝7時集合のため眠い。しかも、天気は今にも雨が降りだしそうな曇り空。ビルからの風が体温を奪っていく。寒い。ガタガタと震えていると、スタッフからおにぎりと暖かいお茶の差し入れ。朝食は食べてきていたのでお茶だけいただく。生き返った。ありがたい。
 あまりに風が強いので、風が避けられる場所(水のステージの回廊)に移動。そこに、女性スタッフが現れ、30歳以上の女性を募った。十数人が前に出る。すると、女性スタッフが「はい。皆さんは宍戸錠のファンです」と一言。沸き起こる笑い声。次に適当に十数人が選ばれ、オープンカフェの客とされた。私を含め残りの人達は「その他いろいろ」とされた。出番が来るまで待つよう指示される。「その他いろいろ」という役割に不安を覚えつつ待つと、先程の女性スタッフが現われ、来てくれと言われた。

新宿サメ?

 女性スタッフに連れてこられた場所には鮫の銅像が立っていた。その名を「新宿サメ」。異様な銅像の傍に、全身を紫色で包みウエスタンブーツを履いた金髪の怪しい大男がいた。彼こそ、この映画の主演俳優、椎名桔平である。私の役は、彼からピンクチラシを受け取りたいけど受け取らない役だと指示された。練習、カメラテストと椎名桔平と接近遭遇。ツバが飛んでくるほど近くまで彼と絡んだが、本番前に監督の一言でカットされる。がっかり。
 椎名桔平から離れると彼の後にある案内標識も撮影のために設置されたものだとわかった。椎名桔平は「ムー大陸です!優良店ですよ!」と客引きを続けている。がっかりしていた私に次にふられたのは、通行人の役。鮫の像の傍を通り過ぎるのだ。

身代金?

 鮫の像「新宿サメ」の傍を通り過ぎる時、身代金と思われる袋を抱えた老俳優が像の前にやってくるのが見えた。聞いたところ、4000万円が入っている設定とのこと。身代金?この映画は誘拐劇なのか?そんなことを考えながら、ぼんやりと鮫の像をながめていると、ゆらゆらと鮫がゆれている。なんと、ビルからの風で銅像が倒れそうになっているのだ。実は、この鮫の像、樹脂で作られた偽物だったのだ。いつ、老俳優に像が倒れてこないかハラハラ(汗)。ゆれている様子がカメラに収められていないことを祈るばかりだ。
 ところで、朝からずっと探しているのだが、監督の姿が見えない。スピーカーを通して声だけが聞こえるだけだ。監督というものはカメラの横に座っているものだと思っていた私には驚きである。

ロケ弁当

 昼ごろになると、雨が降り出した。撮影は一旦中止され、昼食となった。昼食はハンバーグ弁当、串カツ弁当、チンジャオロース弁当の3種類。私はチンジャオロース弁当を頂いた。おいしかった。食事中、監督の誕生日を祝う声が聞こえてきた。ケーキが振る舞われたが、エキストラの分は無かった。しょんぼり。監督さん、おめでとうございます。
 水のステージの回廊で雨が止むのを待っているうちに、睡魔が襲ってきた。朝が早かったうえ、お腹が満たされたからだ。出番もないので、ウトウトしていると、お呼びがかかった。今度はオープンカフェの背景を歩く通行人の役だ。しかし、寒い中、待ち続けるが出番はなかった。

仲間由紀恵、現わる!

 夕方頃、今回のロケでは出番の無いヒロイン、仲間由紀恵が現われた。出番が無いので来ないと思っていたが、律儀にも挨拶に来たのだ。彼女はサングラスをかけていたが、かえって目立っていた。意外と小柄な方だった。
 午後5時を過ぎると急激に暗くなった。この日の撮影はここで終了。私は交通費(2000円)とポストカードをもらい帰途についた。初めての体験だったので、ヘトヘトに疲れていた。帰りに天王町駅でヤクザ役の人々と遭遇。強面の彼らが電車に乗るために切符を買っている様子は、なんだかユーモラスだった。


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