日本&韓国&米国の3ヵ国合作劇場用長編アニメーション。以前テレビ東京で放映されていたTVシリーズの設定とは異なる物語が楽しめる。英語題『ESCAFLOWNE』。原作:矢立肇&河森正治。監督&脚本:赤根和樹。脚本:山口亮太。音楽:菅野よう子&溝口肇。キャラクターデザイン&アニメーションディレクター:結城信輝。メカニカルデザイン:山根公利。セットデザイン:武半慎吾。色彩設計:中山しほ子。作画監督:逢坂浩司。メカ作画監督:佐野浩敏&杉浦幸次。美術監督:東潤一。音響監督:亀山俊樹。撮影監督:桶田一展。演出:武井良幸。主題歌:坂本真綾「指輪」(ビクターエンタテインメント)。アニメーション制作:サンライズ。制作協力:BONES(ボンズ)。2000年、日本=韓国=アメリカ合作(製作:サンライズ&バンダイビジュアル&A.F.D.F&スターマックス&バンダイ・エンタテインメント)。カラー・ビスタ。ドルビー・デジタル。上映時間95分。2000年6月24日、日本公開。配給:オメガ・プロジェクト。製作総予算:3億円。
2000年の日本、東京が舞台。神崎ひとみ(声:坂本真綾)は、自分の未来に希望が持てず、いらつく気持ちを友達にぶつけ、自分一人が孤独で悲劇のヒロインだと思い込んでる暗い女子高生。陸上部を辞めたひとみを心配する親友のゆかり(声:飯塚雅弓)に「うざいから消えちゃえよ」と言い放つ始末だ。そんなひとみの前に不思議な恰好をした男が現れる。彼の名はフォルケン(声:中田譲治)。フォルケンはひとみを地球とは別の惑星ガイアに招く。次の瞬間、ひとみの姿は消えていた。舞台は変わって惑星ガイア。空に地球そっくりの星が浮かんで見えるこの世界で、黒竜族による他種族の虐殺が行われていた。黒竜族に滅ぼされた部族の1つである竜族の王バァン(声:関智一)は、黒竜族の飛行艇に単身潜入。目的は、彼らが輸送している「鎧」と呼ばれる巨大なパワード・スーツ(ロボット)、エスカフローネであった。かつて、ガイアを消滅させたという伝説の「鎧」エスカフローネの奪取に成功したバァンは、中から不思議な恰好をした少女が出てきたことに驚く。少女の名前は「ひとみ」。バァンが身を寄せるアバハラキの団長アレン(声:三木眞一郎)は、ひとみを「翼の神」だとする占い師モグラ(声:茶風林)の意見には半信半疑であったが、ミラーナ姫(声:武田亜希)に彼女の世話を頼む。しかし、バァンと行動をともにする獣人のメルル(声:大谷育江)は、ひとみが「翼の神」であることには懐疑的。一方、ひとみがアバハラキのもとにいることを獣人であるソラ(声:飯塚雅弓/兼役)の神通力で知ったフォルケンは、ディランドゥ(声:高山みなみ)に「翼の神」を奪取してくるよう命じる……。
日本、韓国合作と聞くと『ガンドレス』の悪夢を思い出してしまうが(苦笑)、これは大丈夫。アメリカ公開も考えているのかオープニングクレジットは全て英語。何だか新鮮な感じがする。さて、TV版とは人物設定などが大きく変更されての映画化というと『少女革命ウテナ』などがあったが、『エスカフローネ』のヒロイン、ひとみの変化は賛否両論なのでは?口の悪さはまるで電波少年の「箱男」。性格もシンジくん(大ヒットアニメ『エヴァンゲリオン』の主人公)の女バージョンとでも言うべきイジけように、私はイライラし、蹴りでも入れてやろうかと考えたほどだ(失笑)。
まあ、ストーリーは置いといて、TVシリーズでも好評だったビジュアルセンスのほうに目を向けてみよう。今回、私が一番関心をもったのが、コスチュームデザインだ。TV版では、中世ヨーロッパ風のコスチュームだったが、映画版ではアジア的テイストが加味されており、オリジナリティがアップしている。陣羽織や兜をかたどった甲冑は、何ともカッコいい!また、獣人女性の恰好がチマ・チョゴリ(朝鮮の民族衣装)をベースにしたドレスであったのも可愛らしかった。ふと思ったのだが、獣人の服装が朝鮮風なのは、何か意味があるのではないだろうか。物語の中で、獣人は平和を愛する森の民として描かれているが、黒竜族の虐殺にあったり、戦争の駒として利用されてしまう悲しい立場に置かれている。実は、黒竜族をアメリカ、戦争に敗れた竜族を日本とすると、面白い状況が見て取れるのだが、これ以上は賢明な読者の想像する通りなので言うまい。
ところで、「鎧」と呼ばれる巨大ロボットが動くには、操縦者の血液が必要であるようだ(日本赤十字社の献血キャンペーンとタイアップしたら面白かったのに)。劇中、バァンは針を6本も打ち込まれ、そこから血液をエスカフローネに供給していた。私が献血する場合、1本の針で400cc(献血の限界値)の献血を終えるのに20分ぐらいだから、6で割れば3分強が限界か。ん?3分?どこかで聞いたような制限時間だな……(苦笑)。
●おすすめ対象
ファンはなつかしい気持ちで観られるのでは?
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●一言で言えば……
『新世紀エヴァンゲリオン』の亜流(と断ずるには惜しいが……)。