■陽はまた昇る
2002年6月11日 渋谷東映(現:渋谷TOEI1)

 日本発の世界標準規格〈VHS〉の誕生までを描いた真実の物語を映画化。原作:佐藤正明『映像メディアの世紀 ビデオ・男たちの産業史』(日経BP出版)。脚本:西岡琢也。監督:佐々部清。2002年、日本映画(製作:東映&JVCピクチャーズ&東映ビデオ&シチエ&加賀電子&日本出版販売)。カラー・ビスタ。ドルビーSR。上映時間108分。2002年6月15日より全国東映邦画系にて公開。チェーン・マスターは丸の内東映(現:丸の内TOEI1)。配給:東映。興行収入成績:4億2000万円。
 1970年代前半の日本、東京から物語は始まる。日本ビクター開発室長であった加賀谷静男(西田敏行)は、副社長の金沢紀之(石橋蓮司)から横浜工場にあるビデオ事業部への出向を命じられた。加賀谷は専務の渡会信一(津嘉山正種)から「これは出世だよ」と励まされる。だが、これが左遷人事であることは明白だった。意気消沈する加賀谷を妻である圭子(真野響子)は心配する。ビデオ事業部長に〈出世〉した加賀谷は、翌日から横浜工場へ通うことになった。加賀谷を出迎えたのは、次長の大久保修(渡辺謙)と技術者の平井(中村育二)である。初出勤早々、加賀谷の所へ怒鳴り込んでくる者がいた。高卒の技術者たち(田山涼成ほか)である。その中に本社の方針でリストラされた技術者である新田泰介(蟹江一平)の姿もあった。同じ高卒技術者だった加賀谷は、彼らを守りたいと思う。しかし、独立採算性に移行したビデオ事業部に金は無かった。そんなビデオ事業部に新たな左遷組が送り込まれてくる。左遷組の中には開発室時代の部下であった江口涼平(緒形直人)もいた。「大所帯になったビデオ事業部を維持するには新製品の開発しかない」と考える加賀谷。だが、本社は25パーセントの人員削減を命じてきた。このままでは開発どころではない。誰の首も切りたくない加賀谷は、大久保に決算書の粉飾を指示。武田壮吉社長(夏八木勲)には、ウソの販売実績報告を送り続けた。全て部下たちを守るためである。それでも、技術者たちに慣れない営業を強いることになった。加賀谷の気持ちを知らない技術者たちは、居酒屋の女将(倍賞美津子)に愚痴をこぼすようになる。そんな中、江口は「松下電器からヘッドハンティングされた」と恋人であるソニーの技術者である柏木夏佳(篠原涼子)に打ち明けた。そんなある日のこと、門脇工業の社長である門脇光蔵(井川比佐志)が、加賀谷の所へ殴り込んでくる。自社の社員を守ることばかり考えていた加賀谷の前に、協力企業、所謂〈下請け〉の問題が立ちはだかった。ここに至って、加賀谷は「事態の打開には新製品の開発しかない」と再度、決意。技術者であった小野俊夫(加藤満)を営業の責任者に据え、新田と平井らに家庭用VTRの開発を命じた。しかし、そんなビデオ事業部を震撼させる出来事が起こる。業界の革命児ソニーが家庭用VTR〈ベータ・マックス〉を売り出したのだ。〈ベータ・マックス〉は松下の家庭用VTR〈VX〉を圧倒。ソニーの寺山彰社長(江守徹)は勝利を確信していた。出遅れたビクターの〈VHS〉方式は他社との提携を模索する。だが、三菱電機の社員(石丸謙二郎)ら他社の出した条件は「業界の巨人、松下電器が〈VHS〉陣営に参加すること」であった。さらに、通産省の役人(國村隼)からは「〈ベータ・マックス〉方式で統一しろ」と恫喝される。「ついに、矢も果て、刀も折れたか……」と膝を屈しそうになる加賀谷。そんな彼を見て大久保が吠える。「松下幸之助(仲代達矢)に直談判しましょう!今から大阪に行きましょう!」と。大久保が運転する車で大阪に向かう加賀谷。しかし、大阪に着く直前、加賀谷の長男(樹音)から連絡が入る。それは加賀谷の妻である圭子が倒れたというものだった。次男(石田法嗣)の不安げな声を聞いた加賀谷は、東京に戻るかどうかの決断を迫られるが……。
 東映邦画系は〈ブロック・ブッキング方式〉を採用している。この〈ブロック・ブッキング方式〉というのは、所謂〈劇場の囲い込み〉のこと。劇場を確保できるという利点がある一方、自社配給の作品を絶え間なく送り出し続けなければならないという〈しんどい面〉もある。東宝邦画系ほど立派な興行網を持たない東映の悩みは、邦画大作の殆どが東宝系列に流れ、東映に来ないこと。要するに、劇場にかける作品が慢性的に不足しているのだ。そのため、東映邦画系で公開される作品には〈穴埋め番組〉と思われる作品が散見される。例えば『白い犬とワルツを』などがそうだ。
 本作品も所謂、〈穴埋め番組〉であろう。なぜなら、2002年6月15日公開作品なのに、同年3月に撮影をしていたからだ(苦笑)。撮影後に編集、そして、プリントとなるから、かなり厳しい制作スケジュールであったと言わざるを得ない。実際、出来上がった作品は〈やっつけ仕事〉と言われても仕方の無いような荒い出来であった……が、感動した(涙)。漢〈おとこ〉泣きでござるよ!!「実話モノにハズレ無し!」という格言通りであった。
 さて、全体的に荒っぽい出来ではあったが、門脇工業炎上シーンと加賀谷邸内のセットの出来だけは別。門脇工業の炎上場面は大迫力だったし、加賀谷邸内のシーンには、まるで、昔のドラマを観ているかのような〈時代感〉があった。美術スタッフの皆さん、イイ仕事してますねぇ〜(失笑)。だが、ロケ撮影された場面に1970年代の空気感が無く、セット使用シーンと噛み合っていなかったのが残念。また、手持ちカメラによる映像はガクガク揺れて酔いそう(まじ)。これは、ステディカム(振動を抑えるベストと機構により手持ちカメラ特有の画面の揺れを抑える特殊なカメラ)を使用すれば解決することなので、猛省を促したいところだ。う〜ん、脚本の出来が良かっただけに、もっと丁寧に作って欲しかったなぁ〜。勿体ない作品だ(泣)。

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 日本の漢〈おとこ〉たちよ!必見だ!!……もちろん、女性も泣けるよ♪

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●一言で言えば……
 ワーキング・タイトルは『釣りバカ日誌外伝』(爆笑)!?


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