登場する個人、会社、団体が全て実名!タバコ会社の悪に対して、一個人が闘いを挑んだ事実に基づいて作られた意欲作。原題『THE INSIDER』。監督&製作&脚本:マイケル・マン。1999年、アメリカ映画(製作:タッチストーン・ピクチャーズ&スパイグラス・エンタテイメント)。カラー・シネスコ。SDDS&DTS&ドルビー・デジタル。上映時間158分。2000年5月27日より全国東宝洋画系にて公開。チェーン・マスターは日比谷みゆき座。配給:東宝東和。興行収入成績:4億1600万円。
舞台はO・J・シンプソン事件が無罪と報じられた頃のアメリカ。CBSニュースの人気番組『60ミニッツ』のプロデューサーであるローウェル・バーグマン(アル・パチーノ)のもとに、匿名でフィリップ・モリス社の「タバコと失火」に関する膨大なレポートが送り付けられる。ローウェルは、この資料を解説できる人間として、タバコ会社B&W社の開発担当副社長で化学者のジェフリー・ワイガンド(ラッセル・クロウ)と接触した。ところが、ジェフリーは最近、会社の上司との対立が原因で会社をクビになったばかり。対立の原因は、発ガン性物質である香料の継続使用と販売優先主義からくるニコチンの中毒性隠しを会社が改めなかったことである。ローウェルはジェフリーの話に興味を持ち、『60ミニッツ』で取り上げることにした。しかし、金と権力にものを言わせて、タバコ会社はジェフリーに裁判やテレビで証言しないよう、圧力をかける。さらに、CBS社上層部もB&W社から莫大な損害賠償請求訴訟を起こされることを恐れてジェフリーの証言ビデオの放送を禁じた……。
『ヒート』のマイケル・マン監督が『フォレスト・ガンプ』でアカデミー賞脚本賞を受賞したエリック・ロスの脚本を映画化。「タバコの麻薬性」を決して認めようとしないタバコ会社の悪どい手口を実名のまま示している。「大丈夫なのか、このようなことをして?」と思わず心配する反面、よくぞやってくれたと賞賛したい。ちなみに、ミシシッピー州の検事総長は本人が本人役で出演している。
映画は2時間38分の大作だ。だが、派手なアクションやロマンティックなラブシーンは無い。あるのは、企業の巨大な権力と闘う孤独な男たちの姿だけである。しかし、説明できない「熱さ」を感じた。特に、『60ミニッツ』のインタビューで、ジェフリーがタバコのニコチンを人体にすばやく取り込ませるためにアンモニア化合物を、また、昔から香料として使っていた物質の発ガン性が証明されたにも関わらず、代替品の開発をせず、以前のまま使用していると静かに語る場面があるのだが、衝撃的。人体に有害な物を、平気な顔で嘘をついて売るタバコ会社のやり方に腹が立った。タバコは麻薬と同じで中毒性がある。また、タールなどの発ガン性に代表されるように、確実に健康を害する代物なのだ。それを「麻薬と同じ中毒性があり、必ず人体に害をなします」と明確に表示して売るなら良い。だが、実際には、タバコ会社はそれらの情報を消費者に隠し、タバコを吸うことがカッコイイことだとイメージできる広告ばかり流している。これは許されないはずだ。本作品は、そのことをズバリ指摘している。
上映終了後、さっさとロビーに移動してタバコを吸っている人たちを見て、何とも情けない気持ちになった。喫煙者は自分の吸っているモノがどんなに危険なモノか、本当に解っているのだろうか?
上記以外の出演者は以下の通り。マイク・ウォーレス(クリストファー・ブラマー)。リアーン・ワイガンド(ダイアン・ヴェノーラ)。ドン・ヒュイット(フィリップ・ベイカー・ホール)。シャロン・ティラー(リンゼイ・クローズ)。デビー・デ・ルカ(デビ・メイザー)。エリック・クラスター(スティーヴン・ドボロウスキー)。リチャード・スクラックス(コーム・フィオレ)。ロン・モトリー(ブルース・マクギル)。ヘレン・カベレッリ(ジーナ・カーション)。トーマス・サンドファー(マイケル・カンポン)。ジョン・スカンロン(リップ・トーン)。ミセス・ウィリアムス(リン・シグペン)。バーバラ・ワイガンド(ハリー・ケイト・アイゼンバーク)。カメラマンのノーマン(マイケル・ポール・チャン)。ミセス・ワイガンド(リンダ・ハート)。マーク・スタイン(ロバート・ハーパー)。FBI捜査官のロバートソン(ネスター・セラノ)。ニューヨーク・タイムズの記者(ピート・ハミル)。タバコ訴訟の弁護士(ウィングス・ハウザー)。シェイク・フェテラーラ(クリフォード・カーティス)。デホラ・ワイガンド(レネ・オルステッド)。マイケル・ムーア(マイケル・ムーア/本人役で出演)。ジャック・パラディーノ(ジャック・パラディーノ/本人役で出演)。
●おすすめ対象
誇りを失っていない大人たちに観て欲しい。
●関連商品
●一言で言えば……
日頃、眠っていた正義感が目を覚ます。