『攻殻機動隊』の押井守原作&脚本のアニメ映画。最後の劇場用セル画アニメ作品として話題になった。英語題『JIN−ROH』。監督:沖浦啓之。演出:神山健治。作画監督:西尾鉄也。副作画監督:井上俊之。作画監督補佐:井上鋭&古屋勝悟。アニメーション制作:PRODUCTION I.G。ナレーション:坂口芳貞。1999年、日本映画(製作:バンダイビジュアル&ING)。カラー・ビスタ。DTS。上映時間98分。2000年6月3日よりテアトル新宿ほか全国順次公開。配給:バンダイビジュアル&メディアボックス。
独立を回復して高度経済成長期に入ろうとする頃の架空の東京が舞台。武装反政府ゲリラ「セクト」と、それを鎮圧するために創設された首都圏治安警察機構「首都警」による闘いが繰り広げられていた。ある日、赤坂で暴徒と化したデモ隊を、自治体警察「自治警」と共に鎮圧に向かった首都警特殊機動隊「特機隊」の副長である半田元(声:吉田幸紘)は、自治警に事前通告せず、部隊を下水に展開する。セクト兵站部隊の殲滅を図るためだ。特機隊巡査の伏一貴(声:藤木義勝)は、セクト兵站部隊において、爆発物を輸送する「赤ずきん」の任務についていた少女、阿川七生(声:仙台エリ)を追い詰める。しかし、持っていた爆弾によって自爆されてしまった。自治警から抗議を受けた安仁屋勲部長(声:中川謙二)は、特機隊隊長の巽志郎(声:堀部隆一)と反特機隊勢力である首都警公安部部長の室戸文明(声:廣田行生)と相談の上、伏を任務から外し、訓練校に送り返すことを決定する。一方、伏は同期の友人で公安部に所属している辺見敦(声:木下浩之)から爆死した少女である阿川の情報を得、彼女の墓参りに向かった。墓の前で阿川七生の姉と名乗る少女(声:武藤寿美)に出会った伏は彼女と付き合うようになるが、訓練校の教官である塔部八郎(声:坂口芳貞)は、そんな伏の様子を気にかける。そんな矢先、自治警幹部(声:大木民夫)による首都警の公安部への取り込みが水面下で進められていた……。
架空の戦後東京とは言え、チンチン電車の走る銀座や錦糸町の東京楽天地など当時の様子を再現した美しい背景画は実写さながら。また、人物や描写もアニメっぽくなく実写風なところを見ると「本当は実写で作りたかったんだろうなぁ」と感じた。正直、これが実写だったら、もっと良かっただろうと私は思う。
ところで、この作品はフランスで先行上映されてから日本公開となった。最近、海外で先に上映することによって、箔を付ける邦画アニメが増えている。それは、日本の映画評論家たちが、劇場用アニメーションをバカにして正当な評価を下して来なかったためだろう。要するに、日本の映画評論家たちは日本のアニメ・クリエーターたちから、そっぽを向かれてしまっているのだ。何とも情けない。
物語は謀略劇のため複雑。伏線もバリバリあるので、ちょっとでも気を抜いたら話が解らなくなる可能性大。油断できない。気軽に観られる作品ではないので、覚悟して観に行って欲しいものだ。
《追記》『人狼』の日本公開が遅れた理由として、バンダイビジュアルと関係の深かった奥山和由松竹専務が、1998年1月19日に解任され、「配給:松竹」の当てが外れたことが挙げられる。その結果、DTS(5.1ch)対応劇場の確保が困難になり、公開が遅れたそうだ。
●おすすめ対象
アンチ「スタジオ・ジブリ」ファン。
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●一言で言えば……
アニメ版『シュリ』!?