■カンダハール
2002年2月22日 新宿武蔵野館1(現:廃館)

 フランス語原題『KANDAHAR』。イラン語原題『SAFAR E GANDEHAR(日本語訳:カンダハールへの道)』。脚本&編集&監督:モフセン・マフマルバフ。2001年、イラン=フランス合作。カラー・ビスタ。モノラル。上映時間85分。2002年1月12日より新宿武蔵野館3(旧:新宿シネマ・カリテ)にて公開。同年2月1日から新宿武蔵野館1(現:廃館。館名のみ新宿シネマ・カリテに継承)に劇場移動。配給:オフィスサンマルサン。
 20世紀最後の皆既日食が訪れた1999年8月。アフガニスタン難民を収容するイランの難民キャンプを目指す赤十字のヘリコプターから物語は始まる。ナファス(ニルファー・パズィラ)は、アフガニスタンからカナダへ亡命した女性ジャーナリスト。彼女は今、何十年も前に捨てた祖国に戻ろうとしている。その理由はカンダハールに住む妹から届いた手紙だ。人形型地雷で重傷を負った妹は亡命を断念し、まだアフガニスタンにいる。その彼女から「20世紀最後の皆既日食の日に自殺する」と遺書めいた手紙が届いたのだ。妹を死なせまいとナファスは、アフガニスタンへの密入国を試みる。なぜ、密入国をしなければならないのか。それはジャーナリストである彼女に、なかなかビザが下りないためだ。難民キャンプで知り合ったアフガン難民の男性に頼み、彼の妻としてアフガニスタンに入国するナファス。だが、入国早々、盗賊たちに3輪自動車を奪われてしまった。危険を感じたアフガン男性は、ナファスを置いてイランへと逃げ帰ってしまう。仕方なくカンダハールまでのガイドを募るが、危険な旅のため、誰も一緒に行ってくれようとはしなかった。そんな中、唯一、ガイドを引き受けてくれたのが神学校を退学させられたハク少年(サドユー・ティモリー)である。カンダハールへの旅の途中、水に当たったナファスは、タビブ・サビブ(ハッサン・タンタイ)と名乗るブラック・ムスリムの医師にかかった。ここでハクと別れたナファスは、彼の手引きで〈国境無き医師団〉の義足提供キャンプに向かう。そこでハヤト(ハヤトラ・ハキミ)に出会ったナファス。地雷で片手を無くしたハヤトに導かれ、彼女はカンダハールを目指すが……。
 日本での公開直前、この映画に準主役級で出演しているハッサン・タンタイが、アメリカのメリーランド州で1980年に起きた反ホメイニ派の元外交官アリ・アクバル・タバタバイ氏暗殺事件の犯人だと報じられた。タンタイの本当の名はデービッド・ベルフィールドというらしい。タンタイは暗殺遂行後すぐにイランへ渡り、新聞編集者として働く一方、ムジャヒディン(聖戦士)として1年半、アフガニスタンでソ連軍を相手に戦った経験を持つ。この経歴がユニークだったので、俳優ではない彼が起用されたそうだ。
 驚くべきことは、これだけではない。主人公ナファスを演じるニルファー・パズィラは、実際にアフガニスタンからカナダに亡命した女性記者である。全ては彼女がアフガニスタンのカブールに住む友人から自殺をほのめかす手紙を受け取ったことから始まった。彼女はその手紙を持ってイランのマフマルバフ監督とコンタクトを取る。そして、「カブールへ向かう私の旅を撮影して欲しい」と依頼したのだ。1988年に『サイクリスト』という映画でアフガン難民を取り上げていたマフマルバフ監督は、再びアフガニスタンで取材を行った。そう。この作品はドキュメンタリーなのである。しかし、事実として、これを上映するのは、あまりに危険すぎた。なぜなら、この映画を快く思わない人々によって、ニルファー・パズィラはもちろん、監督やスタッフにまで危害が及ぶ心配があったのだ。そこで「カブール」を「カンダハール」に、「友人」を「妹」に、撮影時期も「2000年」であったが「1999年」という設定に変更し、〈フィクション〉として公開したのである。
 さて、映画を観て、アフガニスタン人は自分の主張ばかりする人が多いと感じた。ナファスは無理言ってアフガン男性の一家に同行させてもらっているのに不満ばかり言うし、義足を受け取りに来た人は「出来上がった義足が気に入らない」と言って他の人のために作られた義足を平気で「よこせ」と言うのである。ちょっと呆れた。アフガニスタンの人たちは、もっと海外からの援助をありがたく思うべきだ(少なくとも、そういうフリぐらいはして欲しい)。当たり前という顔で受け取られては困る。もちろん、援助しているほうが偉いなどと言うつもりは、さらさらない。最近、国連やNGOの職員が援助物資と引換えに難民少女の〈青い性〉を貪っているという記事を読んだ。我が国でも鈴木宗男という人がODAを背景に開発途上国で〈王様〉のように振る舞っていたことが明るみに出ている(怒)。外務省の官僚も女子中学生の宗男……もとい、胸を触って逮捕された(苦笑)。これでは我々の善意が、きちんと難民の人たちに伝わっているのかどうか怪しいものである。乾燥地帯に暮らすアフガン少女たちは、まだ幼いのに老婆のような手をしていた。そんな彼女たちに私は〈ニベアクリーム〉をあげたい(失笑)。

●おすすめ対象
 「自分は意識が高い」と自認する人は必ず観るべし!

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●一言で言えば……
 実はドキュメンタリー映画!!


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