■顔
2000年8月28日 テアトル新宿

 人気舞台女優・藤山直美が映画初主演ということで話題になった。監督と脚本はアウトロー映画の巨匠(笑)阪本順治。原案&脚本:宇野イサム。2000年、日本映画(製作:松竹&衛星劇場&毎日放送&セディックインターナショナル&KИHO)。カラー・ビスタ。DTSステレオ。上映時間123分。2000年7月29日よりテアトル梅田、8月12日よりテアトル新宿にて公開。配給:東京テアトル。
 1995年、日本の尼崎市から物語は始まる。クリーニング屋の長女である吉村正子(藤山直美)は、家に籠もって足踏みミシンを器用に操る35歳だった。傍らにある少女マンガの山が異様な感じを与える。そんな正子を心配する母の常子(渡辺美佐子)は、夫が女と蒸発して以来、1人でクリーニング屋を切り盛りしていた。そんな母親が死ぬ。通夜の席、家に戻ってきたホステスの妹である由香里(牧瀬里穂)に「お姉ちゃんと姉妹というだけで恥ずかしかった。でも、このクリーニング屋、喫茶店に変えることで許したる!」と言われて、正子は逆上。妹を殺してしまう。香典を持って逃げ出した正子は、初めての野宿で阪神大震災に遭遇。蒸発した父を頼って大阪に行くと、喫茶店で奇妙な女性(内田春菊)に声をかけられた。後日、彼女がホステス殺しで指名手配されていることを知る。父親を探す途中、酔っぱらっている山本俊郎(中村勘九郎)にレイプされ、処女を失った正子は、ラブホテルのオーナーである花田英一(岸辺一徳)に拾われ、住み込みで働くことになった。しかし、借金地獄に陥っていたオーナーは自殺し、警察沙汰になってしまう。正子は逃げるように九州行きの列車に乗り込んだ。その車内で、リストラされたサラリーマンである池田彰(佐藤浩市)に好意を持った正子は、別府で列車を降りる。だが、彰にはキレイな奥さんとカワイイ子供がいた。失意の中、別府で自殺を試みるが、怖くなって助けを呼んでしまう正子。スナックのママである中上律子(大楠道代)に拾われた正子は、ヤクザから足を洗うために彼女の所に帰ってきていた律子の弟である洋行(豊川悦司)と働くことになる。常連客の映写技師である狩山健太(國村隼)に気に入られた正子は、彼に身体を許すが、健太の妻である咲子(早乙女愛)にバレ、怒鳴り込まれる事態となった。そんなある日、洋行が姿を消してしまう……。
 上記以外の出演者は以下の通り。車掌(九十九一)。さて、本作は、尼崎市→大阪→別府→姫島……と続く逃走劇だが、ロードムービー的な面白さもある。しかし、惜しいことに前半のテンポが悪くて退屈。眠っている人も多く見られた。妹がディズニーランドのお土産を持って来る場面と、正子が突然家出して佐藤浩市と出会うシーン、あと、中村勘九郎が正子をレイプする場面はカットしても良かったと思う。豪華な俳優陣が揃ったためか、監督もカットしづらかったのかもしれない。だが、観客が眠ってしまうようでは本末転倒だ。切るべき所はキチンと切るべきである。
 ところで、この作品は当初、時効寸前で捕まった福田和子の15年弱に渡る逃避行から想を得たと聞く。しかし、同じコンセプトで作られた『Kamome カモメ』が、先に公開されたせいか、物語的には別物になっていた。
 映画は岸辺一徳さんが出てくる辺りから面白くなってくる。これから観る人は、岸辺さんが出てくるまで我慢して欲しいものだ。個人的には律子ママ役の大楠道代さんが良かったと思う。

●おすすめ対象
 邦画ファンなら、この豪華な俳優陣だけでも買いでしょう。

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●一言で言えば……
 牧歌的なフィルム・ノワール(犯罪映画)!?


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