■グラディエーター
2000年6月10日 丸の内ピカデリー1

 製作費1億ドル。邦画大作が軽く10本は撮れてしまう予算をかけて作られた歴史活劇。『インサイダー』のラッセル・クロウ主演。2001年度米国アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(ラッセル・クロウ)、最優秀衣装デザイン賞、最優秀音響賞、最優秀視覚効果賞受賞。原題『GLADIATOR』。制作:ダグラス・ウィック・プロダクション&スコット・フリー・プロダクションズ。2000年、アメリカ映画(製作:ドリームワークス映画&ユニヴァーサル映画)。カラー・シネスコ。SDDS&DTS&ドルビー・デジタル。上映時間125分。2000年6月17日より全国松竹・東急洋画系(現:松竹・東急系)にて公開。チェーン・マスターは丸の内ピカデリー1。配給:UIP映画。興行収入成績:15億6000万円。
 西暦180年、元首政期のローマ帝国が舞台。最後の五賢帝、マルクス・アウレリウス・アントニヌス(リチャード・ハリス)によるゲルマニア攻略は最終段階を迎えつつあった。彼のゲルマニア攻略における最大の功労者は、実直な将軍、アエリウス・マキシマス(ラッセル・クロウ)。義に生きる漢(おとこ)マキシマス将軍は、皇帝からも部下からも、そして、ルシラ姫(コニー・ニールセン)からも慕われていた。閑話休題。戦場で自分の死期が近いことを悟った哲人皇帝アントニヌスは、息子であるコモドゥス(フォアキン・フェニックス)をゲルマニアに呼び寄せる。だが、アントニヌスは、共和政治を軽んじ、皇帝独裁を押し進めようとするコモドゥスを警戒していた。そして、形骸化していた共和政を復活させるため、帝国をマキシマス将軍に託したいとコモドゥスに伝える。逆上したコモドゥスは、父である皇帝を暗殺。マキシマス将軍とその家族の処刑を命じる。命からがら故郷へ戻ったマキシマスが見たものは、変わり果てた妻と息子の姿であった。生きる気力を失い倒れていたマキシマスを拾ったのは、剣奴興行師プロキシモ(オリバー・リード)。マキシマスは剣奴として闘ううち、その人望からジュバ(ジャイモン・ハンスウ)ら剣奴達の信頼を得る。そして、亡き父王が廃止した剣奴競技をローマに復活させたコモドゥスを倒すため、5万人の観衆が集まるコロシアムへと向かった……。
 とにかく、戦闘シーンが大迫力!!オープニングのゲルマニア攻略戦では、多数のエキストラを動員し、『始皇帝暗殺』や『ジャンヌ・ダルク』並の合戦を堪能できた。歴史モノが好きじゃなくても楽しめるハズ。また、マキシマスとコモドゥスの対比も興味深かった。かたや、皆から愛され、義侠心に厚い男。そして、誰からも愛されぬ自己愛の権化。これは、人間の二面性を暗示している思われる。そのことは、監督が、コモドゥスに、マキシマスと自分が「兄弟」であると言わしめたことからも明らかだろう。さらに言えば、剣奴競技という「殺し合い」に熱狂する大衆は、立場の弱い芸人や素人がイジメられる低俗なバラエティ番組を見て喜んでいる視聴者のメタファー(暗喩)であると、心ある人は解るだろう。
 さて、作品自体には、特に文句を言うところは見当たらないが、字幕に関しては、少々、厳しいことを言わなければならない。単刀直入に言えば、誤訳があるのだ。マキシマスがコモドゥスから元老院議員を紹介される場面で、「Republic!Republic!」とコモドゥスが議員を茶化すのだが、その字幕が「連邦制!連邦制!」。これは「共和政」間違いである。この後、哲人皇帝アントニヌスも元老院に関して「Republic」を使用しているのだが、これも字幕では「連邦制」だった。「共和政ローマ」という言葉はあるが、「連邦制ローマ」という言葉は無い。これは中学世界史レベルの問題だ。字幕を担当した戸田奈津子が不勉強であると断ぜざるを得ない。戸田奈津子と言えば、『グリーンマイル』でも、その珍妙な訳が、心ある映画ファンの失笑を買っていた。しかし、今回の誤訳は戸田奈津子1人の問題では無い。試写の段階で、配給担当者や映画評論家と言われる人たちは、まったく気が付かなかったのだろうか?もし、気が付かなかったとしたら、不勉強だ。もっと精進して欲しい。
 イベント映画だが、教養性も高く、観終わった時、世界史の教科書をひっぱり出したくなる良作だ。日本語吹替版の併映も欲しい。

●おすすめ対象
 歴史が好きな人(字幕の件については本作品の責任ではない)。

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●一言で言えば……
 義を見てせざるは勇無きなり!!


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