原題『THE LORD OF THE RINGS:THE FELLOWSHIP OF THE RING』。原作はイギリスの言語学者J・ロナルド・ローレル・トールキンが1954年に発表した『指輪物語』(評論社刊)。脚本:フラン・ウォルシュ&フィリッパ・ボウエン。脚本&監督:ピーター・ジャクソン。主題歌:エンヤ。VFX:WETA社。2001年、ニュージーランド=アメリカ合作(製作:ニューライン映画)。カラー・シネスコ。SDDS&DTS&ドルビー・デジタルEX。上映時間178分。2002年3月2日より全国松竹・東急洋画系にて拡大公開。チェーン・マスターは丸の内ピカデリー1&東劇。配給:日本ヘラルド映画&松竹。提供:日本ヘラルド映画&松竹&アルゼ&角川書店&電通&フジテレビジョン&ポニーキャニオン&丸紅。興行収入成績:90億7000万円。
物語の舞台は架空の世界〈ミドル・アース〉。モルドール王国の冥王サウロン(サラ・ベーカー)は、オルドルイン山の溶岩の火で鍛えた20個の指輪を作り出した。3つの指輪はエルフに、7つの指輪はドワーフに、9つの指輪は人間の王に渡される。そして、最後の1つはサウロン自身がはめた。このサウロンの指輪こそ、全世界を支配できるほどの力を持つ邪悪な指輪であった。指輪のパワーを得たサウロンは、ミドル・アースに存在する他国を侵略し始める。これに対し、古代王国ヌメノールの王エレンディル(ピーター・マッケンジー)は、エルフたちと力を合わせて抵抗。長い戦いの末、人間とエルフの連合軍は、サウロンをモルドール王国にまで押し返した。そして、今、サウロンとの最終決戦の火蓋が切って落とされる。指輪の力で強大になったサウロンに圧倒される人間とエルフたち。勇猛なエレンディル王でさえ、サウロンの前に命を落とした。しかし、エレンディル王の息子イシルドゥア王子(ハリー・シンクレア)が、サウロンの指ごと指輪を切り落とすことに成功する。指輪を失ったサウロンは滅び、世界に再び平和が戻ると思われた。……が、その指輪こそ諸悪の根源だったのである。サウロンという肉体を失った指輪はイシルドゥア王子の心を操り、自身の破壊を免れたのだ。その後、王子は指輪の〈裏切り〉にあって死去。指輪はゴラム(声:アンディ・サーキス)と呼ばれる怪物の手に渡り、次にビルボ・バギンズ(イアン・ホルム&声:山野史人)という〈ホビット〉が所有することになった。そして、現在に至る。魔術師ガンダルフ(イアン・マッケラン&声:有川博)が、ホビットたちの村〈シャイア〉に差しかかると、ホビットの青年が駆け寄ってきた。彼の名はフロド・バギンズ(イライジャ・ウッド&声:浪川大輔)。指輪の持ち主ビルボの甥っ子である。ガンダルフがシャイアを訪れたのは、かつての旅の仲間ビルボの誕生日を祝うためだ。ビルボの家で離れ山の竜〈スマウグ〉の宝を示す地図を見つけて懐かしい気持ちになるガンダルフ。すると、ビルボは誕生日である今日、ここを旅立つと彼に語った。そして、あのサウロンの指輪を取り出す。長年所持するうちに指輪の邪悪な力に魅せられるようになってしまったビルボ。そんな彼を心配して、ガンダルフは指輪を置いていくよう説得する。ガンダルフの説得に従い指輪を置いて旅立ったビルボ。指輪はフロドへと受け継がれた。しかし、指輪を狙って暗躍している者の存在に気付いたガンダルフは、庭師のサム(ショーン・アスティン&声:谷田真吾)をフロドの護衛に付け、〈ブリー村〉へと旅立たせる。サムは愛しい女性ロージー・コトン(サラ・マクレオド)との別れも出来ぬまま、フロドと共に出発した。後で合流することを約束したガンダルフは、自分が尊敬する賢者サルマン(クリストファー・リー&声:家弓家正)の所へ向かい、今後の指示を仰ごうとする。だが、既に賢者サルマンはサウロンの軍門に下っていたのだ。サルマンにより軟禁状態に置かれるガンダルフ。サルマンは人間とオークを掛け合わせて〈ウルク=ハイ〉なる怪物を生み出し、それで軍隊を組織しようとしていた。一方、ブリー村にある待ち合わせ場所〈踊る子馬亭〉に向かっていたフロドとサムは、その途中でピピン(ビリー・ボイド&声:飯泉征貴)とメリー(ドミニク・モナハン&声:村治学)に出会う。2人を加えた4人でブリー村に向かうことになったが、黒衣の騎士たちが執拗に彼らを追いかけてきた。かつて、サウロンから指輪をもらった人間の王が、指輪の力に囚われ亡者となったのが黒衣の騎士である。何とか彼らの追撃をかわし、ブリー村の踊る子馬亭に着いた一行。しかし、踊る子馬亭の主人バーリマン・バタバー(デイヴィッド・ウェザリー)に聞いてもガンダルフが来ている様子は無かった。いつまで待ってもガンダルフは来ない。不安になる4人に1人の男が「ガンダルフは来ない」と声をかけてきた。この男の名はストライダー(ヴィゴ・モーテンセン&声:大塚芳忠)。職業はレンジャーだと言う。ストライダーを加えた5人は、黒衣の騎士たちの目を盗んでブリー村を後にした。……が、ピピンたちのミスで黒衣の騎士たちに追いつかれてしまう。しかも、黒衣の騎士たちの攻撃でフロドが傷ついてしまった。呪われた力を持つ彼らの攻撃によってできた傷は、エルフの霊薬でしか癒すことが出来ない。ストライダーはフロドを連れて、エルフたちの棲む〈リヴェンデル〉を目指そうとした。すると、そこへエルフであるアルウェン(リヴ・タイラー&声:坪井木の実)が現れる。状況を理解した彼女はフロドを抱え、リヴェンデルへと向かった。リヴェンデルで何とか一命を取り留めたフロドが目覚めると、傍らにはガンダルフが。サルマンの塔から逃げ出すことに成功したのだ。再会を喜び合う2人。そこへリヴェンデルの支配者エルロンド(ヒューゴ・ウィービング&声:菅井隆之)が現れた。エルロンドは冥王サウロンの復活が近いことを知り、各種族の代表を集めて会議を開くと言う。この会議に参加したフロドは、ストライダーがゴンドールとアルノールの王位継承者アラゴルンであると知った。さて、会議ではサウロン復活の鍵となる指輪をオルドルイン山の火口に捨てにいくことが決定される。指輪を捨てるという任務にフロド、ガンダルフ、サム、ピピン、メリー、アラゴルン、シルヴァン・エルフの国を支配するスランドゥイル王の子レゴラス(オーランド・ブルーム&声:平川大輔)、ドワーフの族長ギムリ(ジョン・リス=デイヴィス&声:内海賢二)、そして、ゴンドールの執政デネソール2世の長男ボロミア(ショーン・ビーン&声:小山力也)が志願した。9人はモルドール王国にあるオルドルイン山を目指して進む。しかし、それを阻止しようとサルマンが魔法を使って妨害工作を行った。そこで、フロドたちはギムリの提案を受け入れ〈モリアの坑道〉を通って行くことにする。だが、モリアの坑道でオークの大群やトロール、そして、魔人バルログに襲われ、この時の戦闘でガンダルフを失ってしまった。一行は悲しみにくれながらも〈ロリアンの森〉へと向かう。そこで、エルフの王ケレボルン(マートン・クソカス)に出迎えられた8人。フロドはエルフの女王ガラドリエル(ケイト・ブランシェット&声:塩田朋子)から重大な事実を知らされる……。
まず、最初に断っておくが、上記あらすじは、所謂、〈瀬田貞二〉訳に準拠していない。〈松下怜之佑〉訳といったところだろうか(失笑)。トールキンは翻訳に関して「本文中の英語は可能な限り現地語に翻訳するべし」と述べている。瀬田訳は、それに従っている翻訳と言えよう。地名や固有名詞まで日本語に訳した瀬田訳は、映像やイラストの無い小説において、状況をイメージしやすいという利点がある。ちなみに、瀬田訳に直すと「ミドル・アース」→「中つ国」、「シャイア」→「ホビット庄」、「ブリー村」→「粥村〈旧訳版〉」、「リヴェンデル」→「裂け谷」、「レンジャー」→「野伏(のぶせ)」、「ストライダー」→「馳夫(はせお)」等となる。一応、映画の日本語字幕は瀬田訳に準拠しているようだ。しかし、「ストライダー」を「韋駄天(いだてん)」と訳してみたりするなど、相変わらず〈戸田奈津子〉節も炸裂している(苦笑)。閑話休題。なぜ、私が〈瀬田貞二〉訳に準拠したあらすじを載せなかったかと言うと、目の前に映像のある映画の字幕に、この瀬田訳を、そのまま使うことに疑問を感じたからだ。
さて、ファンタジーRPGの世界観の元になった作品と聞いて、所謂、「剣と魔法の世界」を念頭において鑑賞すると、少し肩透かしを喰うかもしれない。なぜなら、『ダンジョン&ドラゴン』の様に派手な魔法の応酬もなければ、無数のドラゴンが出てきたりもしないからだ(まじ)。しかし、指輪の魔力に翻弄されるガンダルフやボロミアの生き様に人間の弱さと哀しさ、そして、素晴らしさを感じ目頭が熱くなることは間違いないだろう(男泣き)。
ところで、劇中でエルフたちが使用するエルフ語には、ちゃんとした〈発音方法〉や〈表記方法〉が存在し、その資料も現存している。さすがは言語学者トールキン!!芸が細かいね(苦笑)!!
《追記》日本語吹替版を観て、つくづく思ったことがある。人は字幕の付いた洋画を観る時、つい字幕を目で追ってしまい映像を観ていないものだ。やはり、全ての洋画に吹替版を付けるべきである。ビデオやDVD化する時に、必ず吹替版が付くのだったら、映画公開の段階で吹替版制作して、併映しても良いはずだ。字幕版と吹替版の2つがあれば、両方、観ようと思う人もいるだろう。結果として興行収入の拡大に繋がるし、良いことづくめではないか。全ての洋画において、吹替版の併映を願う。
《追記2》日本語字幕版で観ると「凡作」だが、日本語吹替版で観ると「傑作」になる不思議は、字幕版と吹替版とで翻訳者が違うからであろう。映画字幕界における〈老害〉戸田奈津子は今すぐ後進に道を譲り、引退するべし!!
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