■日本のいちばん長い日
2000年12月21日 新文芸坐(池袋)

 大宅壮一の原作を監督:岡本喜八、脚本:橋本忍、音楽:佐藤勝で映画化。1967年、日本映画(製作:東宝)。モノクロ・シネスコ。モノラル。上映時間157分。1967年8月3日、封切り。配給:東宝。
 1945年、大東亜戦争末期の日本が舞台。連合軍によるポツダム宣言受諾を巡って、閣僚たちの意見は真っ二つに分かれていた。東郷外相(宮口精二)に代表される和平推進論と、阿南陸相(三船敏郎)に代表される本土決戦論である。判断に困った鈴木総理(笠智衆)は、天皇(松本幸四郎)の御聖断を仰ぐことにした。天皇の判断は速やかなる戦争の終結。早速、終戦の詔勅案作りが始まるが、ここで、阿南と米内海相(山村聡)との間で意見が対立する。進まぬ詔勅案作りに松本外務次官(戸浦六宏)は苛立ちを隠せないでいた。その頃、終戦を全国民に知らせる玉音放送を録音するために、NHKの大橋会長(森野五郎)、矢部国内局長(加東大介)、荒川技術局長(石田茂樹)が呼び出される。だが、陸軍省の軍務課員であった畑中少佐(黒沢年男)は無条件降伏を認めず、天皇を警護する近衛師団参謀・石原少佐(久保明)と組んでクーデターを画策した。畑中の熱意に圧された井田中佐(高橋悦史)は、森近衛師団長(島田正吾)に決起を迫る。しかし、森に拒絶され、逆上した畑中は彼を殺害してしまった。一方、完成した天皇の詔勅を記録したレコードは、藤田侍従長(青野平義)の手により保管されることになる。玉音放送が放送されるまでに決起する必要に迫られた石原は、ニセの師団命令書を出し、8月15日の午前2時、皇居や宮内省、NHKを占拠。そんな彼らに呼応して横浜警備隊長・佐々木大尉(天本英世)率いる学生兵たちは首相官邸を襲撃するが……。
 何と言っても、見所は豪華俳優陣だろう。上記の他、ナレーターに仲代達矢、徳川侍従役に小林桂樹、NHKの館野守男役に加山雄三、岡田厚相役に小杉義男、下村情報局総裁役に志村喬、陸軍省軍務課員の竹下中佐役に井上孝雄、陸軍省軍務課員の椎崎中佐役に中丸忠雄など、多彩な顔触れであった。
 さて、軍のクーデター事件と言えば「226事件」や「515事件」が有名である。この事件は教科書に取り上げられているからだ。だが、この映画の主題となっているクーデター事件は教科書には載っていない。おそらく、現政府にとって、あの事件は、あまりおおっぴらにしたくない理由があるのだろう。このように史実であっても、歴史の教科書に載らない事実は数多い。歴史の教科書は権力者によって取捨選択された「事実」のみで構成されていることを忘れてはいけないのだ。
 内容は硬派な歴史ドラマ。日本版『13デイズ』とでも言ったところか。

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●一言で言えば……
 大日本帝国への鎮魂歌(レクイエム)?


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