キャサリン・ライアン・ハイドの原作をレスリー・ディクソンが脚本化。監督はミミ・レダー。原題は『PAY IT FORWARD』。2000年、アメリカ映画(製作:ワーナー・ブラザース映画)。カラー・ビスタ。SDDS&DTS&ドルビー・デジタル。上映時間123分。2001年2月3日より全国松竹・東急系にて公開。チェーン・マスターは丸の内ピカデリー1。配給:ワーナー・ブラザース映画。興行収入成績:16億円。
2000年のアメリカ、ラスベガスが舞台。ミドルスクールに進学した11歳の少年トレバー(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は、ひどい火傷の痕をもつ新しい社会科の教師ユージーン・シモネット(ケヴィン・スペイシー)と出会った。シモネットは生徒たちに「世界を変える方法を考え、それを実行せよ」という課題を出す。それに応えてトレバーは、自分が3人の人間を助け、助けられた彼らがまた別の3人を助けるという「ペイ・フォワード(恩の先送り)」というアイデアを実行に移した。まず、路上生活者ジェリー(ジム・カヴィーゼル)に救いの手を伸ばし、次にアルコール依存症に苦しむ自分の母アーリーン(ヘレン・ハント)とシモネットとの間を取り持とうとする。しかし、結果は裏目に出てしまい計画は失敗するかに見えた。だが、トレバーのアイデアを知った母アーリーンが、やはりアルコール依存症であるアーリーンの母(アンジー・ディッキンソン)を許したことから「ペイ・フォワード」は思わぬ広がりを見せていく。このムーブメントに興味を持った記者クリス・チャンドラー(ジェイ・モーア)が、取材を開始したことによって「ペイ・フォワード」は全米に広がっていった。そんな矢先、アルコール依存症施設からアーリーンの旦那(ジョン・ボン・ジョヴィ)が戻ってくる。暴力的な父からの暴行に耐える母親を見て、トレバーはシモネットに助けを求めたが……。
とにかく「ペイ・フォワード」というアイデアが秀逸!!このようなアイデアを生み出した原作者キャサリン・ライアン・ハイドは素晴らしい!!男性には、とても思いつかないアイデアだ。この素晴らしいアイデアを映像化したのが『ER』などのTVドラマで知られる女性監督ミミ・レダー。女性ならではの繊細な演出で観る者を静かに感動させていく。興味深いことに私の母親は、この映画を観てボロ泣き状態であった。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』よりも泣けたと言う。ヘレン・ハントの好演が中年女性の感情移入をより深いものにしているのかもしれない。
ところで、字幕の一部に気になるところがある。「middle school」というのをこの作品の字幕翻訳者である松浦美奈は「中学校」と訳していた。これは間違いではないが、正解とも言いがたい。「middle school」とは4−4−4学制を採用している地域にある学校で11歳から14歳までの子供たちが通う。日本の学制と対比してみると小学5年生から中学2年生までが、このグレードに当たるのだ。結局のところ、日本とアメリカの学制の違いから起こった齟齬(そご)なのだから、無理に訳さず「ミドルスクール」でも良かったと思う。もしくは、トレバーたちが11歳から12歳であることに注目して「小学校」と訳したほうが日本人にはしっくりくるかもしれない。
さて、ラストシーンには賛否両論があるだろう。私はラストの部分だけ全体から浮いているように感じた。原作を読んでいないので何とも言えないが、原作と監督が女性だったのに対して、脚本が男性であったことが、この違和感の原因ではなかろうか?個人的にはハッピーエンドであって欲しかった。
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●一言で言えば……
情けは人のためならず(辞書で意味を調べてね)。