■サクラ大戦/活動写真
2001年12月13日 日本教育会館一ツ橋ホール(神保町)

 1996年にSEGA社のコンシュマー用ゲーム機セガサターン用に開発され、大ヒットを飛ばし、以後シリーズ化された人気ゲームの映画化。『冬の角川アニメ超豪華4本立』で上映される1本である。英語題は『Sakura Wars The Movie』。原作:広井王子。エグゼクティブプロデューサー:大月俊倫。原作ゲーム脚本&スーパーバイザー:あかほりさとる。音楽:田中公平。キャラクター原案:藤島康介。キャラクターデザイン:松原秀典。アニメーションキャラクターデザイン:齋藤卓也。アニメーション制作:Production I.G。監督:本郷みつる。脚本:本郷みつる&西村博之&寺戸信寿&広井王子。2001年、日本映画(製作:セガ&角川書店&IMAGICA&プロダクションI.G&レントラックジャパン&日本出版販売&キャラクター・アンド・アニメ・ドット・コム)。カラー・ビスタ。ドルビー・デジタル。上映時間85分。2001年12月22日より全国東急・東映洋画系にて公開。チェーン・マスターは渋谷東急3。配給:東映。興行収入成績:2億8000万円(『冬の角川アニメ超豪華4本立』としての成績)。
 大正ならぬ「太正」15年12月24日より物語は始まる。舞台は蒸気に煙る大日本帝國の首都、東京。銀座の大帝國劇場では帝國歌劇団「花組」によるクリスマス公演が行われていた。幕が引けた後も「花組」の乙女たちの興奮は冷めやらない。いつもは他のメンバーの演技に何かしらの「いちゃもん」を付ける「花組」のスターである神崎すみれ(声:富沢美智恵)でさえ、皆の演技を褒めたほどだ。そのことを「犬猿の仲(?)」である桐島カンナ(声:田中真弓)に指摘され、声を荒らげるも、すみれの表情は、どことなく優しげである。それは、今日が「花組」の一員であるレニ・ミルヒシュトラーセ(声:伊倉一恵)の誕生日だったからであろう。レニと仲良しの美少女アイリス(声:西原久美子)や、レニとは「星組」以来の付き合いであるソレッタ・織姫(声:岡本麻弥)から祝福され、幸せそうなレニ。「花組」のリーダーであるマリア・タチバナ(声:高乃麗)は、その様子を微笑ましく見つめていた。その時、慌ただしく飛び込んできたのが「花組」のトラブルメーカー……もとい、ムードメーカーの真宮寺さくら(声:横山智佐)。早速、さくらはレニたちの前ですっ転ぶ。すると、大阪弁の中国娘である李紅蘭(声:渕崎ゆり子)が、すかさずツッコミを入れていた。そこに現れたのは加山雄一(声:子安武人)。ギター片手に入ってきた彼は、フランスにいる清流院琴音(声:矢尾一樹)から聞いた大神一郎(声:陶山章央)の話をする。「花組」からの信頼も厚い大神は「巴里歌劇団」創設のため、パリに出向しているのだ。そんな大神の名前が出た時、さくらは、ふと寂しげな表情を浮かべる……。翌日の昼頃、「花組」リーダーのマリアが映画館の前を通りかかると、すみれが入っていくところだった。すみれに誘われて劇場に入ったマリアは、本編上映前に流されるニュース映画に気を取られる。それは、米國ダグラス・スチュアート社(以下「DS社」)のブレント・ファーロング(声:山寺宏一)来日のニュースだった。彼の来日にイヤなモノを感じるマリア。そして、ブレントの来日に呼応するかのように1人のアメリカ人女性が銀座大帝國劇場を訪ねて来た。彼女の名はラチェット・アルタイル(声:久野綾希子/劇団四季)。売店の売り子である高村椿(声:氷上恭子)と共に彼女と対面したさくらは、ラチェットの美しさに戸惑いを隠せない。支配人である米田一基(声:池田勝)に面会を求める彼女が何者なのか、帝國劇場事務局の藤井かすみ(声:岡村明美)や榊原由里(声:増田ゆき)を交え、井戸端会議(?)が始まった。その夜、帝都某所で政治家や陸軍による「帝都防衛会議」が開かれる。議題は政治家の田沼晴義(声:藤原啓治)が押し進めるDS社の対「降魔」迎撃無人兵器「ヤフキエル」の導入問題であった。一見、繁栄を極めたかのように見える帝都、東京。だが、その繁栄の「光」によって作りだされた「影」は色濃く、様々な異形のものを帝都に呼び寄せていたのである。この異形の者たちを人は「降魔」と呼び、その対策のため、貴族院議員の花小路頼恒伯爵(声:北村弘一)は「帝國華撃団」を設立させた。この「帝國華撃団」こそ「帝國歌劇団」の真の姿だったのである。同時刻、帝都某所。DS社のブレントは帝都、東京のミニチュアに「侮蔑」の視線を送っていた。なんと、彼はアメリカ帝國主義思想の下、日本を米國の配下に置かんと画策していたのである。そして、彼の指示を受け、部下であるパトリック・ハミルトン(声:難波圭一)は浅草材木町に「降魔」を放った。浅草に「降魔」出現の報を受けた「帝國歌劇団」は「帝國華撃団」として出動態勢に入る。銀座大帝國劇場地下本部において、帝國華撃団副司令である藤枝かえで(声:折笠愛)の指揮の下、戦闘服に身を包み、「霊子甲冑」と呼ばれる人型機械「光武・改」や「アイゼンクライト」に乗り込む「帝國華撃団」の乙女たち。そして、彼女たちを乗せた「霊子甲冑」は、地下蒸気機関車「轟雷号」に搭載され、地下鉄銀座線の路線を利用して「帝國華撃団」浅草花やしき支部へと運ばれていった……。
 TVゲーム『サクラ大戦3/巴里は燃えているか』では描かれていなかった「大神」留守中の「帝國華撃団」の話なのだが……、正直言って、予習無しで観ていたら、全く付いて行けなかったであろう(私の予習に御協力下さった『サクラ大戦』ファンの方々に感謝する。また、『デ・ジ・キャラット/星の旅』のほうでも多くのファンの方に情報を頂いた。厚く御礼申し上げる)。完全に「いちげんさん」お断り映画であった(怒)。普通は『名探偵コナン 瞳の中の暗殺者』のようにシリーズのファン以外にも楽しんでもらえるよう、基本設定や登場人物の紹介ぐらいはするものだろう(激怒)。そういった「親切」な心配りが新たなファン層を開拓する結果となり、劇場版『名探偵コナン』シリーズは息の長いヒットになっているのだ。そう。映画公開は単なる既存ファン向けのサービスだけではない。新たなるファン層開拓の「チャンス」なのでもある。事実、私は映画版『ファイナルファンタジー』『シェンムー・ザ・ムービー』を観て、そのゲーム版にも興味を持った。しかし、この劇場版『サクラ大戦』をファン以外の人が観たら、原作となったゲーム版に対してさえ「悪感情」を持ってしまう結果になるだろう。それほど「不親切」な出来なのだ(ガッカリ)。
 だが、「ファンなら楽しめるのか?」と聞かれたとしても、私は返答に困ってしまうだろう。確かに多くの原作キャラクターが出てくるのだが、いかんせん脚本が悪いのだ。脚本が4人体制(実質は、あかほりさとるも含めて5人体制)のため、「船頭多くして船、山に登る」状態なのである。さらに、原作ゲームのスタッフの意見も取り入れたということで脚本は、もうバラバラ。「矛盾」だらけである(涙)。そして、全ての「矛盾」の根源が、映画で初登場となるキャラクター「ラチェット」にあった(苦笑)。この「ラチェット」というキャラクター、DS社のスパイである(いきなりネタバレかいっ!?)。これから書くことは「ネタバレ」になるが、ネタを知っていないと楽しめない「困った」映画なので、未見の人も読んでおいたほうが良い(まじ)。閑話休題。ラチェットがスパイだということはラストの劇中劇『海神別荘』(作:泉鏡花)でハッキリするのだが、困ったことに、このラチェット、スパイとしては「失格」レベルなのだ。まず、彼女、アメリカから「帝國華撃団・花組」の一員となるべくやって来るのだが、スパイの割には態度が悪い(失笑)。しかも、「花組」に溶け込もうとしないのだ。「それはラチェットが元・星組リーダーだったから、若輩者である花組をバカにしているためである」という反論が出来そうだが、それでは「スパイ活動」に支障が出るだろう(苦笑)。「スパイ」なら「花組」の信頼を得るべく行動しなければならないはずだ。さくらやアイリスのように人を疑うことを知らないお嬢ちゃん相手なら、これでも問題ないかもしれないが、すみれや元スパイのマリアなどには通用しないだろう。さて、ラチェットの部分だけ、ちょっと脚本を変えてみる。「星組」の時とは違って「物腰」が柔らかくなったラチェット。さくさくっと、李紅蘭やさくらのハートをゲットする(李紅蘭のメカを褒めたりしてネ)。そして、最初の出撃で「花組」を徹底的にサポート(「花組」の誰かを身を挺して守るくらいやると良いだろう)。このように脚本を、ちょっとイジってやれば、後に続く、元「星組」のレニの「戸惑い」や織姫の「歓迎」シーンが生きてくるはずだ。そして、また、脚本をちょこっとイジる。要するに、元「星組」の2人がラチェットの変わり様をいぶかるように脚本を変えるのだ。そうすると、後に続く、織姫が陸軍『ヤフキエル』隊の指揮をラチェットにやらせまいとするシーンが生きてくる。さらに、戦闘中にラチェットが、洗脳された織姫を殺害しよう見せかけて、レニを亡き者にせんとしたのは、自分が「スパイ」であることがバレるのを恐れたからだという説明も付けられるわけだ(洗脳された織姫はDS社側だから殺す必要無いもんネ)。「おいおい、ラチェットはDS社の警備員を殺そうとしたんだぜ、ラチェットがスパイのはずないだろ」と思う人もいるかもしれないが、それは「花組」からの信頼を確固たるものにするための「演技」だと考えれば氷解するだろう(さくらが止めに入るのもちゃんと計算済なのだ)。あとは、DS社が「花組」を攻撃し始めたところで「故障」を理由に戦線離脱。見事「花組」を崩壊させるという任務を果たす予定だった。
 ……が、オリジナルの脚本では「花組」から浮きまくっていたラチェット。そのため、加山に「スパイ」だと見抜かれてしまった(失笑)。それは、加山の「敵を欺くには、まず味方から」というセリフからも判るだろう。まあ、脚本がダメダメでも、映像は見応えがあるから何とかラストまで観られるはず(ぉぃぉぃ)。特に、オープニングの歌劇シーンは3DCGと2Dアニメの組み合わせにより「映画ならでは」というゴージャス感が出ていて良かった。また、3DCGによる「霊子甲冑」と「降魔」との戦闘も迫力がある。しかし、残念なことに最初の戦闘シーンが夜間戦闘だったため、誰がどの機体に乗っているのか皆目見当が付かなかった。基本的には「霊子甲冑」のカラーで誰がどの機体に乗っているのかを見分けるのだが、真っ暗な所での戦闘のため、色は殆ど無し(涙)。せめて、各機体ごとに搭乗者の「カットイン(=画面の一部、もしくは全部を使って別のシーンを挿入すること)」があれば……と思ったが「不親切」な作りの「この作品」にそんなことは望むべくもなかった(泣)。ところで、とても「親切」なファンの方が登場キャラクターの誕生日表まで送ってくれたのだが、それによると「12月25日」は売店の看板娘である高村椿の誕生日でもあるそうな。レニだけ祝って高村ちゃんのを祝わないのは、どうかと思うがね〜(苦笑)。

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●一言で言えば……
 脚本はボロボロだが、映像は努力賞モノ!!


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