■WXIII/機動警察パトレイバー
2002年3月17日 イイノホール(霞ヶ関)

 英語題『WXIII/PATLABOR THE MOVIE 3』。原作:ヘッドギア(押井守&伊藤和典&ゆうきまさみ&出渕裕&高田明美)。キャラクター原案&原案:ゆうきまさみ『機動警察パトレイバー』(小学館少年サンデーコミックス「廃棄物13号」及び「STRIKE BACK(逆襲)」)。キャラクター原案:高田明美。脚本:とり・みき。総監督:高山文彦。監督:遠藤卓司。キャラクターデザイン:高木弘樹。メカニックデザイン:カトキハジメ&出渕裕&河森正治。美術設定:渡部隆。クリーチャーデザイン:末弥純。作画監督:黄瀬和哉。編集:瀬山武司。音楽:川井憲次。スーパーバイザー:出渕裕。アニメーション制作:マッドハウス。2002年、日本映画(製作:バンダイビジュアル&東北新社)。カラー・ビスタ。ドルビー・デジタル。上映時間100分。2002年3月30日より全国松竹&日活&東映洋画系にて公開。チェーン・マスターは新宿ピカデリー4(松竹系)&シネ・リーブル池袋(日活系)&新宿東映パラス2(東映洋画系)。配給:松竹。
 昭和75年、架空の東京が舞台。アメリカ国防省と深い関係を持つ航空会社の輸送機が、東京湾に墜落するところから物語は始まる。輸送機墜落事故後、湾内で作業していた人型作業用機械〈レイバー〉が相次いで襲撃されるという事件が起きた。襲撃されたレイバーが全てシャフト社製品であったことから〈企業テロ〉ではないかと考える警察上層部。だが、事件が起きた港湾地域を管轄する警視庁城南署のベテラン刑事である久住武史(声:綿引勝彦)と新人刑事の秦真一郎(声:平田広明)は、塔乗員の変わり果てた姿を見て、上層部の判断に疑問を感じざるを得なかった。ある日、事件現場近くで重そうなスーツケースを抱えた女性、岬冴子(声:田中敦子)と出会った秦。クルマが故障して困っていた冴子を大学まで送り届けた秦は、彼女と付き合い始める。そんな矢先、海底ケーブルの保守点検のため東京湾に潜っていた水中用レイバーが破壊されるという事件が起きた。しかし、破壊されたレイバーはシャフト社製品ではない。しかも、破壊される寸前にレイバーのカメラが捉えていたモノは巨大な生物の姿。このことに興味を示したのは、久住の友人で警視庁警備部特車2課第2小隊隊長の後藤喜一(声:大林隆之介)であった。彼は被害レイバーの調査に泉野明(声:冨永みーな)と篠原遊馬(声:古川登志夫)を派遣する。一方、〈巨大生物〉という意外な展開に戸惑う久住と秦は、湾岸地域で聞き込みを開始。漁師たちから「輸送機墜落後に巨大なハゼが釣れたが、今は魚1匹捕まらない」という奇妙な証言を得る。墜落した輸送機が事件に関係していると考えた2人は独自に墜落機を調査。輸送機の背後に米軍の影を見つけた久住と秦は、〈巨大生物〉に人が襲われたという通報を受け、湾岸地区にあるクラブに向かう。だが、その途中、クラブに程近い資材置場からも110番通報が入った。そちらの様子を先に見に行ったところ〈巨大生物〉と遭遇。2人は命からがら逃げ出した。事件の犯人を〈巨大生物〉だとする久住の主張を警察上層部は握りつぶす。大隅課長(声:池田勝)によると政治的圧力がかかっているらしい。資材置場で〈巨大生物〉の〈肉片〉を採取した警察は国内にある3つの研究所に分析を依頼する。その内の1つ「東都生物医学研究所」は、墜落した輸送機に積まれていた貨物の持ち主ではないかという疑惑が持たれている所だ。久住は所長の栗栖敏郎(声:穂積隆信)と宮ノ森静夫研究員(声:拡森信吾)に面会し、彼らが〈巨大生物〉に関係しているという確信を得る。ここに至って、警察は一連の事件を〈巨大生物〉の犯行と断定。陸上自衛隊の協力の下、特車2課第2小隊を中心にして要撃作戦が展開される。陸上自衛隊の石原悟郎1佐(声:森田順平)から対〈巨大生物〉用兵器を得た後藤は、それを部下である太田功(声:池水通洋)に託したが……。
 第1印象は「これが『パトレイバー』?」である。なぜなら『パトレイバー』のメインキャストであるレイバー「98式AVイングラム」や泉野明、篠原遊馬、太田功、後藤喜一が、ちょっとしか出てこないからだ。進士幹泰(声:二又一成)と山崎ひろみ(声:郷里大輔)に至っては、エキストラ扱いである(それでも出ているだけマシ?)。シバシゲオも榊さんも南雲隊長も出てこないのは『パトレイバー』世代である私には寂しいかぎりだ(涙)。まあ、聞くところによると、当初、この作品は漫画版『パトレイバー』のエピソードである「廃棄物13号」と「STRIKE BACK(逆襲)」を基にして作られた「オリジナル怪獣アニメ映画」だったらしい(だから、脚本も監督もパトレイバーとは関係のない人たちなのだ)。しかし、スポンサー側の意向で『パトレイバー』に模様替えとなった(要するに、『パトレイバー』じゃないと商売にならないと言うわけ)。こうして『パトレイバー』の主要登場人物がチョイ役という「世にも奇妙な『パトレイバー』」が生まれることになった。
 だからと言って、つまらないわけではない。むしろ、今までの「怪獣映画」よりも現実的なシナリオ(怪獣が米軍の開発している生物兵器という設定)や、キチンとした科学考証、そして、綿引勝彦(ドラマやポケモンのCMなどで活躍する俳優)や平田広明(海外ドラマ『ER』のジョン・カーターの吹き替え役)を声優に起用する等、普段から怪獣映画やアニメ映画を観ない人のほうを向いて作られた作品だと言えよう。
 リール切り換え間際のセリフが尻切れトンボになってしまう点や、タイトルをどう読んでいいのか分からない点など残念な部分もある(タイトルは「ダブリュー・エックス・スリー」と読むのではなく「ウエイステッド・サーティーン」と読むのが正しい。スペルは「WASTED THIRTEEN」。「廃棄物13号」の英訳である)。だが、一番残念なことは、これがアニメーション映画だったことだ。アニメ映画に対して私は偏見を持っていないのだが、やはり、「これが実写だったらなぁ」と思ってしまう。次回こそ実写版『パトレイバー』を希望!!

●おすすめ対象
 これなら怪獣映画ファンやアニメ映画ファン以外にも勧められる。

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●一言で言えば……
 アニメ版『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』!?


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