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◇童話に出てくる動物たち ◆イワン雷帝は童話好き?! ※『ロシアの童話 こぼればなし』は随時追加更新していきます。 |
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ロシア=熊のイメージを持っていらっしゃる方も多いかもしれませんが、ロシアには動物についての童話が多数あります。もちろん、熊もよく登場します。これらの動物についての童話では、会話体(口語体)が広く用いられており、登場人物の会話のやり取りが基本内容の童話もあります。この形式は、童話というジャンルにおいて、最もシンプルなものであると同時に、効果的な形式でもあります。 動物の中でも、熊、狼、狐はロシアの童話によく登場し、これらの動物は、ほぼどの物語の中でも、ずる賢い狐、愚かで他の動物に騙される狼、のろまな熊といった性格で登場します。狐という単語には“ずる賢い人間”“おべっか使い”なんていう意味もあります。色んな動物の名前を辞書でひいてみるのも面白いかもしれませんね。 『ЛИСА, ВОЛК И МЕДВЕДЬ <リサー, ヴォルク イ ミドヴェーチ>:きつねとおおかみとくま』のような動物童話には様々な種類や形式の“騙し”があります。この“騙し”の表現形式には、愚か者やお人よしに対するずる賢い者の優位が前提にあるので、動物童話が成立したのは、騙すことが非難されず、生存競争の一つであった、かなり昔の時代であるとされています。 私たちからすれば、騙すということは道徳的にいけないことかもしれませんが、動物童話の中では強者に対する弱者の優位を表現する形式として受け入れられているのです。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 『ГУСИ-ЛЕБЕДИ <グーシ - リェービジ>:不思議な白い鳥』は、翻訳者によって、『バーバ・ヤガー(ババ・ヤガー)の白い鳥』『がちょうはくちょう』『白鳥』など、異なったタイトルで紹介されています。(ちなみに、『バーバ・ヤガー(ババ・ヤガー)の白い鳥』が 一番メジャーなタイトルのようです。) 日本に紹介されているロシアの童話の中では有名な物語なので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。 この童話にに登場する魔法使いの婆さん(Баба - яга:バーバ・ヤガー)は、ロシア童話の中の魔法童話になくてはならない登場人物ですが、いつも子供たちを焼いて食べようとする恐ろしい魔女で登場するわけではありません。ある時は異郷へ通じる入り口を守る番人、ある時は主人公に魔法の馬や鷲を贈るといった善良なタイプの贈与者、助言者など、様々な人物像で登場し、物語に新しい展開を与える役割を担っていたりします。 ちなみに、「яга」という言葉は原始スラヴ語に由来し、古英語の「inca:恨み、争い」と関係があるようです。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 『ГУСИ-ЛЕБЕДИ <グーシ - リェービジ>:不思議な白い鳥』の最後に、子供たちが暖炉(печка /печь:暖炉、かまど)の中にかくまわれて助けられるという部分がありましたが、これは昔、ロシアにあった、печь の火の浄化力によって赤ちゃんの病気を治療するという民間療法をモチーフにして生まれたものだと言われています。 ロシア語の成句の中に「печь は我らの生みの母」というものがあるように、печь は母親のお腹を象徴しており、上記の民間療法は、病気の赤ちゃんをいったん печь に返すことで、健康に生まれ変わることを祈る儀礼行為であったとされています。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 『Колобок <カラボーク>:まるパンころころ』では、言葉のリズム化と押韻法がとても上手く使われています。これらの表現技巧は、ほとんどの場合、作者によって意図的に取り入れられ、様々な芸術的役割を果たしています。是非、ロシア語の原文を音読し、そのリズムと韻を楽しんでみてください。 『Репка <リェープカ>:おおきなかぶ』『Лисичка со скалочкой <リシーチカ サ スカーラチカイ>:きつねちゃんとめん棒』『Колобок <カラボーク>:まるパンころころ』『КОРАБЛИК <カラーブリク>:小さな小舟』のように、同じ行為を何度も繰り返す形で増大していく形式の物語は、『累積童話(昔話)』と呼ばれています。累積昔話の基本的な構成上の手法は、繰り返しでできた鎖が切れるか、あるいは逆の、減少していく形で続いていき、最後には鎖が解けるという点にあります。 ロシアの民俗における多方面の研究を行い、口承文芸の類型学研究に構造分析の方法を取り入れたことで世界的な名声を得たV.プロップ(1895-1970)によると、ロシア昔話のレパートリーの中には約20種類の累積昔話があるそうです。 文法的に見ても、ひとつの単語や言い回しを登場人物に合わせて多様に活用させながら、繰り返し使っています。それを何度も音読しているうちに難しい文法が自然に身につくようになっており、言葉を学ぶ時期の子供たちやロシア語学習初心者の方にはうってつけの童話と言えるでしょう。 ロシアの童話に限らず、どこの国の童話やおとぎ話も単なる物語としてだけではなく、それを読む子供たちに対する道徳教育的側面も持ち合わせているため、物語の中に教訓や戒めが含まれるものが多くあります。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 『СЕСТРИЦА АЛЁНУШКА И БРАТЕЦ ИВАНУШКА <シストリッツァ アリョーヌシカ イ ブラチェーツ イヴァーヌシカ>:アリョーヌシカとイワーヌシカ 』は、 「…おじいさんとおばあさんには、娘のアリョーヌシカと息子のイワーヌシカがいました。…」 で物語が始まります。これを読んで、「おや?」っと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、ロシア童話(民話)では、「お父さん、お母さん」ではなく、「おじいさん、おばあさん」に娘、息子がいるという設定のものが少なくありません。 これは、民衆が主人公であるロシア民話では、父母は朝から晩まで農耕などの労働に従事しなければならなかったため、子供の教育や世話は年老いた祖父母に任されていたという昔の民衆の生活を反映しているからなのです。 このように、裏に隠された物語の背景を想像しながら読み進むのも面白いかもしれませんね。 |
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童話や昔話、民話と聞くと庶民のものと思われがちですが、実際には、ピョートル大帝以前のロシアにおいては、ツァーリ(皇帝)の廷臣や貴族から最下層の民衆にいたるまで、社会の全ての階層に口承文芸が浸透していました。12世紀のロシアの史料には、不眠症に陥った金持ちの男がグースリ(古いロシアの弦楽器)を奏でさせたり、昔話を語らせたりしていたという記録があります。また、イワン雷帝は昔話の熱烈な愛好者で、3人の盲目の老人が交代で枕元に座り、イワン雷帝が眠りにつくまで昔話を語っていたと言われています。話し上手の語り手がツァーリとその后、諸侯や貴族たちに昔話を語るというこの習慣は18世紀まで続きました。 名君であると同時に、前代未聞の規模で人民を虐殺した暴君としても知られるイワン雷帝が昔話を聞きながら眠っていたというのは、何だか意外な感じがしますね。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ロシアの童話(民話)といえば、トルストイやアファナーシエフなどの再話者が有名ですが、同じタイトルの物語でも、微妙に内容が異なっているものがあります。なぜでしょうか? いくつか理由があるのですが、その1つに、再話者の意図の違いがあります。例えば、ロシアのグリムとも呼ばれるアファナーシエフは、19世紀半ばに体系的に構成された、最初のロシア民話集を世に出したことで有名ですが、これは物語の語り手から聞き取ったままのものにあまり手を加えずに作られています。反対に、トルストイの再話は、その表現技巧が優れており、ロシア語の完成度が非常に高いものになっているので、是非原文で楽しんでいただきたいものになっています。この2人の他に、子供たちに分かり易い童話を目指した再話者もいます。 民衆の生活感が溢れるアファナーシェフ、文学性の高いトルストイ、子供たちにも分かり易い再話、それぞれを読み比べてみるのも面白いかもしれませんね。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ロシアに限らず、どの国や民族にも、それぞれの口承文芸がありますが、当サイトでご紹介している童話(民話)は、その中の1つであり、ロシア民衆の中から生まれ、それを語り継いできた民衆の生活や関心事、理想などが強く反映されて、現在にいたっているものです。 民話は、口承文芸というその性質上、伝承者たちによって散文的に、即興的に語り継がれてきました。その結果、ロシア民話は多くの点で、時代の流れとともに、社会事情に左右され変化しながら現在の姿になりました。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ マロースじいさんは「Дед Мороз(ジェート マロース)」と呼ばれ、ロシアのサンタクロースとも言える存在ですが、マロースとは酷寒・厳冬の意味で、ロシアではマロースのもたらす冬の寒さが厳しければ厳しいほど、その次の年は豊作になると言われています。だからきっと、どんなに厳しい寒さにも耐えることができるのでしょうね。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 「かえるの王女」は、日本でもよく知られているロシアの魔法童話(昔話)の1つですが、この物語の中には、 |
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ロシアの昔話では物語の始めと終わりの決まり文句が発達しているという特徴があります。昔話は元々口承文芸であったという性格上、語り始めは聴衆の注意をひき、物語を聞く準備をさせるため、本筋に入る前に面白おかしい前口上で始まることが多かったのです。そうしておいて、聴衆を徐々に物語の世界へと誘いました。 語りおさめは今回の童話の、「Я у них был, мёд-пивопил, по усам текло, да в рот не попало.(わたしはそこにいて蜂蜜入りのビールを飲んでいたのだが、ビールはひげを伝って流れ、口には入りませんでした。)」のように、韻を踏んだ言葉で締め括るのですが、それと同時に語り手があたかも実際にその物語を見聞きしたかのように印象付け、聴衆を現実の世界へと連れ戻すのです。 このような決まり文句は当然、物語の語り手や編者によって多少異なり、様々な種類があるので、読み比べてみてください。 |
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