焼酎とは,酒税法では「アルコール含有物を蒸留した酒類」のうち,発芽した穀類を使用していない,白樺の炭などで濾過していないなどの条件を満たしたものが該当する。狭義では,泡盛を除く見方もある。
古くはその強い度数から「あらき酒」,もしくは蒸留器をも指す「ランビキ(蘭引)」と呼ばれた。英語ではarac(アラック)と言われ,東アジア地域に広く見られる各種蒸留酒の総称となる。 税法上は焼酎甲類と焼酎乙類(本格焼酎)に分けられる。酒税が政策的に安くされたことで,大衆酒として長年愛飲されてきた。
酒税法により,酒類は10種類・11品目に分類される。その中で「焼酎」とは,『アルコール含有物を蒸留した酒類(これに水を加えたもの及び政令で定めるところにより砂糖(政令で定めるものに限る。)その他の政令で定める物品を加えたもの(エキス分が2度未満のものに限る。)を含み,次のイ〜ニに掲げるものを除く。)で,アルコール分が45度以下,連続式蒸留機により蒸留したものについては,アルコール分が36度未満のものをいう。
イ,発芽させた穀類又は果実を原料の全部または一部としたもの
ロ 、しらかばの炭その他政令定めるものでこしたもの
ハ 、含糖物質(政令で定める砂糖を除く。)を原料の全部又は一部としたもので, そのアルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のもの
ニ,アルコール含有物を蒸留する際,発生するアルコールに他の物品の成分を浸出させたもの
と,なにやら難解に定義されていますが,例えば上記の「イ」(発芽させた穀類〜)を原料にした蒸留酒は「ウイスキー類」に分類されますので「しょうちゅう」ではないと解釈される。
つまり,焼酎とは『米・麦・いもなどの澱粉質を麹で糖化して発酵させたもの,あるいは,糖蜜などの糖質原料を発酵させたものを単式蒸留機または連続式蒸留機で蒸留した,わが国固有の蒸留酒』。
焼酎甲類
アルコール含有物を連続式蒸留機で蒸留したものでアルコール分36度未満のもの。
一般に,糖蜜等を原料として連続蒸留器で作られた,高純度エチルアルコールに加水したものである。 日本の税法上はアルコール度数36%未満。基本的にアルコールの風味のみで味覚の個性は薄く,チューハイなどのベースや,リキュールの材料に用いられる。一部には小麦・大麦を用いてある程度の風味を持つものも存在する。
低コストでの大量生産に適するため,大手企業によって大規模に量産されている。大型ペットボトルや紙パック容器を用いて販売され,廉価な酒として飲まれることが多い。
近年は甘味の強い韓国焼酎が盛んに輸入され,これも税法上の焼酎甲類とされている。
焼酎甲類は,別名で「ホワイトリカー」又は「新式焼酎」,焼酎乙類は「本格焼酎」と呼ばれています。昨今の芋・米・麦などの原料の味わいが豊かな味わいの焼酎は,後者の「焼酎乙類(本格焼酎)」にあたる。
アルコール含有物を上記以外の蒸留機で蒸留したものでアルコール分45度未満のもの。
米,麦などを原料とし,単式蒸留器で蒸留して作る焼酎で,日本在来の伝統的な酒類である。 日本の税法上はアルコール度数45%以下。原料の風味を強く残し,個性が強い。多くが中小メーカーの製品であり,九州地方が特産地として有名だが,最近大手酒造メーカーも本格焼酎の生産に乗り出している。
まず,米ないしは麦へこうじ菌を生やし,こうじをつくる。このこうじをタンクや甕で発酵させ,もろみを作る(一次発酵)。次に一次発酵させたもろみの中へ原材料を投入させ,発酵させる(二次発酵)。このとき投入した原材料が焼酎の主要原材料として表記されることになる。二次発酵としてサツマイモを投入すれば「芋焼酎」となる。「本格焼酎」と名乗る場合は二次発酵では酒税法で定められたものしか投入できないが,「焼酎乙類」で良い場合はどんなものでも投入することができる。なお,「本格焼酎」の別名は,「乙類」が「甲類」に劣る,と誤解されることを乙類メーカー各社が危惧し,旧大蔵省に働きかけて併記を認められたものである。
産地の九州では,日本酒よりも一般的な存在で,通常,お湯割りで飲まれる。 焼酎のお湯割りは,酒杯に先に湯を入れ,後から焼酎を静かに加える。対流によって自然に混ざる。湯よりも焼酎を多くするのが基本で,酔い心地が柔らかく,香りも楽しめる。
焼酎乙類には,以下のようなバリエーションがある。
日本酒同様,米を原料とする。戦国時代から作られていた記録があり,日本酒を造るには温暖過ぎる地域で発達したものと見られる。味はやや濃厚。熊本県が名産地として知られ,特に人吉盆地で作られる球磨焼酎は有名。
元々は,二毛作によって作られる麦を原料としたものと考えられる。一般に米焼酎より癖が少なく,飲みやすいと言われる。大分県や長崎県壱岐対馬などが有力な主産地。
芋焼酎
南九州で広く栽培されるサツマイモを原料とした焼酎。鹿児島県・宮崎県で広く飲まれている。味はかなり濃厚で,しばしば独特の臭みがあるため,地元以外では好き嫌いが分かれるが,近年は匂いを抑えたものも作られている。かつては鹿児島県と宮崎県のみで生産されていたが,現在では日本各地で地元のサツマイモを使用した芋焼酎が生産されるようになってきている。
黒糖焼酎
太平洋戦争後,アメリカに占領されていた奄美諸島では米が不足し,焼酎の原料に事欠いた。そこで島民は,当時余剰気味だった黒砂糖を原料として焼酎を造った。1953年の日本返還時には黒糖から蒸留する酒は焼酎としては認められないため,取り扱いに関して議論がなされた。当時の大蔵省は,奄美地方の振興策の一環として,米麹を使用することを条件に熊本国税局大島税務署の管轄区域(奄美群島の奄美大島,喜界島,徳之島,沖永良部島,与論島)に限って黒糖原料の焼酎を製造することを特認した。そのため黒糖焼酎は奄美地方でしか製造できない特産品となって現在に至る。口当たりは比較的柔らかい。
そば焼酎
1973年,宮崎県五ヶ瀬町の雲海酒造(株)が開発した,ソバを原料とする焼酎。以後各地の焼酎メーカーで,米・麦との混和タイプも含めて広く作られるようになった。味わいは麦焼酎より更に軽く,くせが少ない。
その他,全国各地で様々な原料を利用した焼酎が造られている。代表的なものにごま焼酎,栗焼酎,じゃがいも焼酎などがある。
これらは全てもろみ取り焼酎と呼ばれ,一次発酵・二次発酵を経てつくられたもろみを蒸留したものである。一方,清酒粕を蒸留してつくられる粕取り焼酎と呼ばれるものもある。これらは九州北部を中心に発展し,全国の清酒蔵で清酒を醸造できない時期に製造された。蒸留後に熟成させたものが飲めるようになる時期が早苗饗(さなぶり)という田植え後のお祭りの時期に当たっていたことから別名「早苗響焼酎」とも呼ばれる。昨今の焼酎ブームにより,日本酒製造メーカーが粕取り焼酎に進出するケースが増えている。
カストリ
太平洋戦争後の混乱期に,原料不明,甚だしきは有毒なメチルアルコールを薄めた粗悪な焼酎が出回り,これら悪酔い確実な代物が「カストリ」と称されたため,一般に「カストリ=粗悪な蒸留酒」のイメージができてしまった。そのため,カストリというと粗悪な焼酎というイメージがまだ一部で残っているが,現在販売されている「粕取り焼酎」とは全く別の焼酎である。
ちなみに「カストリ雑誌」という言葉は,戦後のカストリ焼酎と同時期,粗悪紙に扇情的な表紙と俗悪な記事を載せて乱発された,多くの泡沫雑誌に対する蔑称である。その心は,どちらも「3合(3号)でつぶれる」。
2003年頃から始まる「本格焼酎ブーム」の対象となっているのは焼酎乙類で,材料や製法,貯蔵法にこだわったプレミアム焼酎も盛んに市場へと送り出されているが,価格の極端な高騰など弊害も多いようである。また,「本格焼酎ブーム」に伴って,本格焼酎を専門に扱う焼酎バーも登場している。
焼酎の原材料表示は厳格に定められています。原材料は全て表示しなければなりません。また,その表示は使用量が多い順に表記するきまりとなっています。
その他,ラベルに記載する際の規定がある表示について
原酒
蒸留後に水,混和物,添加物などを一切加えず,アルコール分が36度以上のもの。
長期貯蔵
3年間以上貯蔵したものが,ブレンド後の総量の50%以上を占めるもの
手造り
麹蓋を用いて,自然換気保温室で自然の換気,通気と手入れ撹拌によって製造した麹によって造られた乙類。
樫樽貯蔵
樫樽に貯蔵し,その特色を有するもの。