

RZの魅力はパワー、足廻り、フレームの剛性等の要素が、とても微妙な所でバランスしていることだと思う。それは乗り手が無理をすれば簡単にバランスを崩したしまうくらい脆いバランスであり、それゆえに乗り手が、そのことを分かって操れば鋭い動きを見せる。これは絶対性能とはまったく別な魅力であり、現在のマシンには備わっていない魅力でもある。僕はRZがただのレトロではなく、一般的な使い方においては、最新マシンよりはるかに速いし楽しいマシンなのだと信じている。
ハイウェイや高速のワインディングのように限られた区間でなく、普通のライダーが普通のワインディングを普通に走るのなら、そういった速度域での運動性が極限まで高められているマシンがRZだ。繊細な、最も日本的なオートバイなのである。RZ以降のマシンはサーキットや高速での性能を追求するあまりに、別な方向性に向かってしまった。RZは当時でこそ最もスパルタンな乗物であったが、このような状況の変化によって結果的に公道を走る究極の姿になってしまったのではないかと思う。
RZの魅力のもう一つに改造がある。足廻りで代表的なのは88*以前のTZR250(1KT)のフォークとアームの移植である。しかしこの場合ありきたりで面白味がなく、フロントがシングルディスクである。他には89*TZR後方排気(3MA)の移植である。これはフロントがWディスクになるが、アームを取り付ける場合リアサスマウントをフレームに溶接しなければならなくなるものの、剛性が上がり、ブレーキも良くなる。90*の倒立フォークに交換する場合も、フレーム自体にサブフレームを溶接しなければならない。以上の場合、安定性、制動能力は格段に良くなるが、ホイールベースが長くなり、旋回性が悪くなる。旋回性もそのままにするためにはFZR400のアームを移植するのが代表的である。しかしこれはピボット周りの大幅な加工が必要になる。これらの改造においてはリアがディスクブレーキになるために、ステップをディスク用にし、フロントにライトステーが必要になる。
エンジンについてはRZ350のエンジンに載せかえるのが最もポピュラーで、パワーも上がり、RZらしさも失わないのでお勧めできるが、今では350エンジンがプレミア的価格になってしまい、非常に高価になっている。他にはRZ250Rのエンジンへの載せかえもあるが、YPVSという機能がついていて乗りやすくなるものの、RZらしいエンジン特性が失われてしまいRZの楽しみの一つが失われてしまうので、あまりお勧め出来ない。また、エンジンを載せかえる場合、キャブレターも交換する必要がある。てっとりばやくパワーを上げるにはチャンバーの交換が最も簡単で効果も高い。しかし、チャンバーを交換するだけで、エンジンのパワーや特性がガラっと変わってしまうので注意が必要である。特にデビュー当時スパルタンなマシンだった事もあって、その当時のチャンバーはどっかんパワーで超高回転型になってしまうのでお勧めできない。交換するならせめて90年代のトルク底上げ型で、バランスの良いものをお勧めする。
オートバイの歴史を変えてしまうほどの加速と手足のごときハンドリング。RZのきらめきはいまだ色あせず・・。(ちなみに馬力は35psです。)