アメリカに完敗の記,しかし・・・

田  巌

 

 楽しみにしていたアメリカ遠征,興味があったアメリカ遠征,勉強になったアメリカ遠征が8月21日に終わりました。試合結果は,第一試合3−4・第二試合2−4・第三試合1−4・第四試合0−5という結果に終わりました。全敗完敗,全敗完敗,全敗完敗という悔しさはありますが,私の選手育成へのいたらなさをはっきりと確認できた遠征でもありました。

 結果はかんばしいものではなかったのですが,選手たちにも良い遠征になったのではないでしょうか。この経験を元に,ひとまわり大人になって学業や日常生活に向き合ってほしいものですし,サッカーにおいてはもっと真摯な姿勢で取り組んでくれることを期待しています。次回は、勝敗においても結果を残したいものです。

 次に私ごとを書かせてもらいますと,今回の遠征で次のことを強く感じ、私の心の中にぼんやりとした決意をアメリカから持ち帰ることができました。大げさではありますがどんなことかと申しますと、私が今していることは天から与えられたわたしの進むべき道ではないかということです。月並みではありましたが,迷いの多かったこの半年のことを思うとありがたい再確認でした。

 最後に今回の遠征にご理解をいただき、子どもたちをアメリカに行かせてくれた保護者の皆様ならびにアメリカにおいてシーガルズのお世話をしていただいたすべての方々のご支援に感謝の意を表し、私のアメリカ遠征体験記を終わらせていただきます。

 

 

という、文章を森代表のお宅へ送ったところ、あまりにも日記のようなものなので話が伝わらないということでありましたので、つづきを書いてみようと思い、上の文章を詳細にお話させていただきます。

 

 今回の遠征を通して感じたことは多かったのですが,胸にしまっておこうと思っていましたのでどこから話しましょうか。・・・・・

 今思うと、今回の遠征の11日間の中で心に残ったことは四つあります。一つ目は,アメリカの土地の広さです。牧場のようで牛もいない原っぱがひらすらつづく風景。こんな景色は,日本にはありません。「持っている土地の広さで,世界とわたしが勝負するのは、私に勝ち目がないな。」と思いました。完敗ですね。二つ目は,ヨセミテ国立公園にあった、世界一大きな木です。たしか杉の木だったと思うのですが,私の想像していた杉の幹の太さではまったくなく、こんな巨木もあるのかと驚きました。この驚きは,アメリカの国土の広さよりも私の心の中に大きな存在として残っています。とにかく大きい大きい素晴らしい木でした。その木が自然から受けてきた厳しく冷たい風を考えた時、ただただ頭が下がる思いがしました。私が近づいてみても私の大きさは根っこより小さい小さい存在でした。完敗でしたね。三つ目は、日本でいう社長クラスの豪邸がそこら中にあるという世界です。アメリカは貧乏の人もたくさん抱えている国ですが、裕福な人の裕福さたるは日本人の太刀打ちできるものではないという現実です。そういう世界から見れば、日本人の99.99%ぐらいは普通の暮らしの人なのでしょう。あらためて、あまりにもばかばかしいので,金で世界と勝負するのは辞めておこうと思いました。完敗です。4つ目は,アメリカにおける女子サッカーの選手層たるは、500万人という数値のとおりのものであったということです。いくらでも、見たことのない選手に会える世界なのだということが分かりました。フレズノ戦で入れられた一本のシュートは私の脳裏に焼き付いています。脱帽でありました、完敗です。

 とまぁー書かせてもらっただけでも四つの完敗話がありました。私が感じてきたこれらの完敗話のいくつを選手たちと共有できるか分かりませんが、できれば、一つでも多く選手たちとこの敗北感を共有したいものです。今回の遠征の結果に関して、選手たちと私たちの敗北感の質、量が共有できるものになったとき今回の遠征が今後のチームの糧となり宝になると私は思っているのです。そういったことを分かってくれる選手が育ってくることを私は楽しみにしています。そうなれば、両親に対する言葉遣い、友達に対しての言葉遣い,先生・コーチに対する言葉遣い、見知らぬ人への心遣いなどへなんらかの影響を与えることと思います。そして、ひとまわり大人になって日常生活を充実したものにしていってもらいたいものです。勉強やサッカーに対する姿勢は自ずから、より真剣みを増したものになってくることでしょう。少なくとも私はそのぐらいの成長を選手たちに望んでいます。そして、もう一度アメリカに行かせてもらえる時があったとしたらその時は、それまでの努力の積み重ねを稔りおおきものにするために全力で戦ってきたいものです。

 

 次に私事を書かせていただくのですが、その前にまずこのことを書かせていただかないと話が進みませんので書かせていただきます。選手たちには三度ほど本気で言わせてもらっていますが、私の夢は、夢のある後輩をつぎつぎと生み出していけるような指導者(先達)になることです。そういった意味での指導者としては誰にも負けたくない、誰にも負けるわけにはいかない、何が何でも誰にも負けない存在になってみたいという思いで365日、子どもたちと向き合っています。あまりにも私の夢が見えにくいものである事は承知しているのですが、自分が納得できるまでそういった面持(精神)で子どもたちとかかわっていけたらなぁーと日々精進しています。

 そういった考えでシーガルズで指導をしている私のサッカーにおける夢は、シーガルズのサッカーの魅力(華麗さ優雅さ)とサッカーにおけるシーガルズの指導法を日本のサッカー協会にも知ってもらうことです。こちらの夢は、私の夢よりも分かりやすい夢でありまして,シーガルズがLリーグの優勝チームをやっつけて、選手の立ち居振舞いが立派なものであれば、自然にサッカー関係者の注目を集めることでしょう。この夢が叶うのであれば、近いうちに実現させたいものです。でも、うちの選手はそういう夢がないのでしょうかね。ない選手が多いのであれば、持ってほしいものです。

 

 最後になりましたが、私は今シーガルズで私のすることがあることを幸せに思っております。今後もこのような路線で指導にあたらせていただこうかと思っておりますので,私の選手たちへの要望・要求は選手の思いもよらない高いところまで及ぶことになると思いますが、わたくしも選手に負けないよう一日一日を気持ちをこめて頑張っていこうと心に決めていますので、ご理解いただいて今後ともシーガルズへのご理解とご協力をよろしくお願いいたしたく思います。   

 

2003年8月)