ショートストーリー
CAST:横山裕、相葉雅紀


「かっぺ、かっぺ、おい起きろや」
久しぶりに会ったと思ったら爆睡中の親友に、横山裕はこみあげてくる笑いを押さえ切れないでいた。最近責任感が
顔に出てきたとか、ちょっとオトナっぽくなったみたいだとか、話には聞いていた。以前のように一緒にすごす時間が
激減したため、その真相を確かめることはできないでいたのだが。
(誰や、そんなん言うた奴・・・)
ものすごい寝癖をつけて寝まくる相葉雅紀の姿は、どこから見ても自分が知っている相葉のままだったのだ。横山
は、心配して損した、と思いながら、
「おい、お前横山クンがこの忙しいのにお前ごときと話でもしてやろーか思うて来てやってんの
に、いつまで寝るつもりなんや」
げしげし、と足で踏んでやると、さすがの相葉も目を覚ました。
「いってーな・・・何すんだよヨコ」
「お前がいつまでも起きひんからや」
むくっと上半身を起こした相葉は、寝ぼけまなこでうらめしそうに横山を睨んだ・・・つもりのようだが、焦点が定まっ
ていない。すぐにまた倒れ込んで寝はじめそうな相葉に、横山はあわてて声をかけた。
「何や、その顔。ぶっさいくやで、自分。それで嵐のメンバーなんてびっくりするよなあ・・・」
「ヨコこそ、何だよその真っ黒い髪。似合ってないよ」
「しゃーないやろ、仕事なんやから」
ぶすーっとした顔の相葉を横目に、何もケンカする必要はないのだと思い直して、横山は相葉の隣に腰をおろした。
「どうよ、最近。嵐は」
「どうって・・・別に変化なし!」
相変わらずののほほんとした空気に、つい自分まで眠くなってしまいそうだ。おそるべし、相葉雅紀といった感じで
ある。横山はそういう相葉ののほほんとしたところが好きだったりするわけなのだが・・・。
「別にって。あるやろ、デビューした自覚とか・・・」
「そういうのやっぱよく聞かれるようになったんだけど、実際は周りが思ってるほど感じてなかったりするんだよ、本
人たちは」
そう思ってんのはお前だけなんちゃう?と思いながら、横山はそれは言わずにおいた。
「お前らしいな」
「うん、よく言われる」
横山が黙ると、相葉もボーッとしはじめて、それからしばらく会話はなかった。いつも喋りっぱなしの横山は、実はこう
いう間が一番嫌いだったりするのだが、相葉といる時に関してはそうでもなかった。相葉と一緒にいると、お互い口を
ぽかーんと開けたまま、そのうち言葉を発さなくても会話をしているような気分になってくるからである。俺は今、こい
つとテレパシーかなんかで交信してるのかもしれないと何度思ったことか。そんな時は、ああこれが相葉病か、と実
感するのである。
「ねえ、お腹すかない?」
「メシは食ってきたけどな。あ、ポテチならあんで、コンソメパンチ」
「まだハマってんの?」
「うっさい」
夜中にポテトチップスとコーラ。いかにもカラダに悪そうな取り合わせだが、これが最近の横山の主食だったりする。
相葉はちょっと顔をしかめたが、特には何も言わなかった。
「乾杯しようか」
「・・・コーラでか?」
一体何に対して乾杯するつもりなんや、こいつ。そう思ったものの、うなずいた。
「じゃあ、オレとヨコの久々の再会を祝して。カンパーイ」
「ちょっと待ってくれや。久々の再会って、先週も会うたやん」
「いーのっ。祝うことがないから、それで」
「お前、ワケわからん」
アルミの缶が、カチンと音を立てた。
「・・・久しぶりにコーラなんて飲んだかも」
「俺は毎日飲んでるけどな」
どこから出ているのかわからないような声で笑いながら、相葉はポテトチップスをつまんだ。
「さみしいだろ、オレが相手してやらないから」
「アホか、んなことあるかい」
「・・・無理してるでしょ」
大きな黒目が、じっと横山の顔をのぞきこんでくる。心を見透かされそうで、横山は焦った。
「どこから来んねん、そんな根拠のない自信は」
「ヨコの考えてることってすぐわかるもん」
「・・・・・・!」
言葉を失った。こいつにはかなわない。何だろう、この無条件の自信は。
「へへへ、実はヒナに聞いたんだよ。昨日電話くれてさ、ヨコがさみしそうにしてるで、って言ってたんだ」
(あいつ・・・、あの世話焼きが!!)
とんだフライングや、ヒナの奴。余計なことまで言わんでええのに。
「・・・まあ、ちょっとはな」
照れくさいけど、認めてしまうとちょっと気が楽になった。
「今は忙しいけど、もうちょっとしたらスケジュールも落ち着くと思うんだ。そしたらどっか遊びに行こうよ。あんまり
遠いところは無理だけどね」
もしかしてこいつ、気を遣ってくれたんかな、俺に。あのかっぺが。
「・・・忘れんなよ、その約束」
「大丈夫だよ、ヨコじゃないんだから」
こう見えても俺、かっぺより1コ年上なんやけどな・・・。横山はちょっと複雑な思いだった。実際にも実家では兄貴
だったりするのだが。ああ、でもそれを言えば相葉も長男だったはずだ。
(ま、ええか・・・)
深く考えるのは嫌いな質だから、横山はそれはそれとして、相葉の気遣いをありがたく受け止めることにした。
(遊びに行く約束、忘れんとこ。かっぺが忘れても俺が覚えとかなな・・・)
「どうせなら、ヒナとかニノとか呼んで、みんなで行きたいね」
「え?」
「人数いた方が楽しいよ、きっと」
「ああ、まあそうやな・・・」
横山的には、ふたりで行っても楽しい・・・むしろふたりで行動する方が楽しいような気がしたが相葉がそう言うな
ら仕方ない。
(そうなんよなあ、肝心なところは伝わらんのや、いつも・・・)
果てしなく鈍い親友を目の前に、横山はこっそりため息をついた。

(END)


これ、関ジュコンでの横山さんMCから思いついた話。一日目は横相ニノヒナで遊んで、二日目
は横相、ニノヒナにわかれて遊んだということで。かっぺとふたりでビリヤードやったって自慢げ
な横山さんなかなかかわいらしかった(笑)。その自慢話をもらって、この話における横山さんと
相葉ちゃんの約束は、そのうち遊びに行こうって言ったくせに、意外にスケ
ジュールがはやく空
いて、すぐに遊びに行けた、というオチでお願いします(誰にお願いしてるんだよ(笑))。