カワウソ

 猫科の動物の虎は、水辺を好む獣として知られ、中国伝承の水虎もまた肉食水生の獣類と考えられていた。日本には虎に類する大形の猫族が存在しないため、虎の妖怪は日本に生息する狼、狸、猫などの他の肉食動物に仮託されるようになったと思われる。

 水虎もまた肉食水生の川獺に仮託されるようになり、それが河童の特徴として伝承されているようである。中国では川獺は人間(主に女性)に化けるといわれ、そのまま河童が人間(主に女性か子供)に化ける性質となって受けつがれていると思われる。

 四国地方では年を経た川獺は見越入道や伸上がりなどの大入道に化けるといわれる。河童の相撲好きの性質が、この川獺が化けたといわれる大入道系の妖怪に影響しているようで、人間に相撲をいどむ大入道の伝承がある。

 江戸時代に川獺の亜種といわれ、雄のみといわれるセンダツは、猿猴(えんこう)を雌として繁殖するといわれていた。四国地方や中国地方で知られる河童の一種猿猴は、そのような背景をもって、川獺系の河童と同族であったらしい。センダツは山獺(やまうそ)ともよばれ、海獺(うみうそ)とともに川獺に近種の生物と考えられていた。

 海獺とは、アシカ、トドなどの海獣の類である。別名ウミカブロともよばれ、新潟県では海禿という河童の一種とされて、妖怪視されている。アシカやトドもまた河童に仮託された動物たちであった。

 ところで河童には肛門が三つあるという俗説があるが、これは川獺の肛門のそばに二つの臭線の穴があり、それが三つの肛門があると誤認されたまま、河童の性質として伝わったと思われる。

 

 

 

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