渡来妖怪について

多田克己

 

はじめに

 日本妖怪の語彙は四千以上はあろうかと思われる。日本にこれほど多くの妖怪が知られている理由は、日本古来の伝承ばかりでなく、遠く海外からさまざまな信仰とともに、妖怪の伝承もまた流入してきているためである。

 ここでは外国からやってきた妖怪を、外国から来て日本に居住するようになった渡来人(帰化人)にちなんで、渡来妖怪とよぶことにしよう。

 渡来妖怪の出身地は、古代日本が文化・政治の手本としていた中国がもっとも多く、ついでインド、朝鮮と続き、東南アジアや中央アジアの影響もあることが確認できる。

 渡来妖怪とよべるものは、

1_出身地での性質をそのまま残しているもの。

2_狸、鬼、水虎、蛟などのようにその語源が海外にあるもの。

3_その性質が本来は海外にあり、名前を変えて日本に伝わっているもの。

などがその例である。

 また複数の渡来妖怪が日本において混同されたり、日本古来の精霊と習合(混同)されたりしたものもある。あるいは渡来してから数百年も経て、日本独自の妖怪に変貌したものもあるが、そうしたものも渡来妖怪として考えてもいいだろう。いずれにしても渡来妖怪ではない妖怪は、おそらく半分にもみたないと思われる。

 そのうち、次の妖怪たちを渡来妖怪の代表として考察してみた。

 キ・片足神(一本ダタラ、山精)

 山丈・山姑(山爺、山姥、山女、片脚上臈、児啼爺)

 山童(山ソウ、カシャンボ、兵主部、勢子)

 山都(見越し入道、伸上がり、高坊主、大入道)

 狒々・猩猩・覚

 水虎(川子、川太郎、甲羅、河童)

 虎人(小池婆、鍛冶が媼、弥三郎婆)

 天狗(烏天狗、飯縄権現、木の葉天狗、狗賓)

 憑き物(狐、狐憑き、蛇蠱、犬神、式神)

 九尾の狐

 姑獲鳥 

 飛頭蛮(ろくろ首・抜け首)

 

 戻る