意味のない殺戮。そこに道徳は存在しない。

 ガンツの単行本のページを開けば、出てくるのは無残な殺害シーンばかりであり、そこには美しさの欠片も、愛の欠片も、希望の欠片も存在しない。ただただ意味のない残虐なシーンが展開される。単行本4巻の帯にも上記のようなキャッチフレーズ?が書かれている。作中に出てくるのは、あくまで普通の市民達だ。彼らが強力な”銃”やスーツを手にして、ねぎ星人や田中星人を狩ろうとする姿は実に醜い。そこには人間の道徳などと言ったものは存在しない。ただ面白半分でねぎ星人を虐殺していくキャラクター達の姿は、「これが真実の人間の姿なのか」と思わされる。それは普通の市民だからこそ余計に醜く目に映るのだろう。「人間など一皮剥ければ獣と同じ」と言うが、それが事実だと認識せざるを得ないほどのコミックである。

 さらに面白いところは主人公が主人公らしくないところだろう。普通の漫画ならば、主人公は正義感が強く、どんな命も平等に扱うことの出来る加藤が主人公なのだろうが、この漫画ではあえて、玄野を主人公としている。玄野は正に現代を象徴するような鬱屈とした生活を送っている普通の高校生である。そんな普通の高校生の彼が強力な”銃”と”スーツ”を手に入れた後の変化は実に面白い。(最近のヤングジャンプ誌上での玄野の内面の変化は特に面白い。)「たぶん、自分がこういう状況になったら、こういう行動を取るだろうな。」というのを見事に描き、人間の真実の姿と醜さを描いている点は賞賛すべきであろう。


ガンツのストーリー

 普通の高校生・玄野は、かつての幼馴染みだった加藤と駅で偶然に再開する。昔と変わらず熱いキャラクターであった加藤は、線路に落ちた酔っ払いを助けようとする。客観的にそれを見つめていた玄野だったが、渋々その作業を手伝う。すると、ホームに電車が入ってきて玄野と加藤は轢かれて死んでしまった・・・。はずだったが、気がつくと奇妙なマンションの一室にいた。そこに次々と転送されてくる人々。どうやら、死んだ者達が集まってきているらしい。そして、その部屋にはガンツと呼ばれる謎の球体があった。ガンツは、玄野達に”ねぎ星人”という謎の人物の殺害を命ずる。こうして、玄野達はわけのわからないまま”ねぎ星人”殺害のゲームをする事となった。


ガンツのデータ

著者 奥 浩哉
連載期間 2000年〜
掲載雑誌 週刊ヤングジャンプにて連載中
出版社 集英社
巻数 現在4巻まで発売中

 


ガンツと私の出会い

 友人から借りて読んだ。それまで全然ガンツなんて知らなかった。(作者は知っていたけど)ヤングジャンプなんか全然読んでいませんでしたから。ヤングジャンプにはイマイチこう、”意義”や”意味”のある漫画がない。どうも万人受けする漫画ばかり多い。天邪鬼の私にとってはそれが非常に面白くない。ガンツはいずれは”意味”を持たしてくれそうな作品なので期待している。


ガンツの中古価格

 けっこう高い。300円から350円くらいのれーとではないだろうか。買取はだいたい200円ぐらいである。ヤングジャンプの中では中々の人気のようだ。