星の贈り物

しばしば 期待されることは起こらず 望まれないことこそが起こる

2006年2月の日記

2006年02月02日

上京してきた oxy さん達と秋葉原および神保町を散策。楽しめて、どんな町か分かったようなので何より。来たついでに現状についての意見交換もしたんだけど、実際やってみないと分からない部分もあるのでこのあたりはきちんと手をつけた時に改めて書きます。


2006年02月04日

構造改革 + 財政改革デフレと粉飾決算

[topic:経済、ビジネス]

マスコミと民主党のライブドア批判の流れで格差問題を俎上に載せたように見えてしまうので、構造改革による格差問題を取り上げることを「出る杭を打つ」態度だと見てしまうんだろうけど……。いわゆる新自由主義支持者や日本の多数派とは違う、スティグリッツクルーグマンのように構造改革はミクロ的には改善させるかもしれないけれどマクロ的にはほぼ影響を与えないか、あるいは景気を悪化させるだけだという立場からすると、小泉流の構造改革(を最優先する政策)は、巷で言われる景気回復に直接的にも間接的にも貢献したとは考え難く、ただ貧困層の増大と寡占企業の登場を促してしまっただけに見えるので、経済学的な視点からもマクロ的な影響を軽視した経済政策が悪い格差をもたらしてしまったと考えられると思う。(だったらなぜ景気が回復したかというと、外需による輸出増と設備の陳腐化への対応による設備投資増が原因と考えられる。)また、金融改革が粉飾決算へのインセンティブを強めたという点で小泉・竹中による政策を批判するというのは、あながち的外れな話ではないかもしれない。

格差について論じるならデータも大切である、ということで知っておきたい格差社会の基礎データもどうぞ。

郵政民営化ついて話題になった頃に植草氏の冤罪事件の件について示唆されたので、ちょっと探していたら第19回 日本経済復活の会 開催報告の以下のような話を見つけたものの、

今日でも増税しか解決策はないと主張する財務省とその御用学者達、および、「はげたか」とその後ろにいる者達が、植草氏の何を危険と感じたのか、私の推理では、3.「日本経済混迷長期化の真相」というグラフがその一つだろうと思う。グラフでは財政出動したときには、かならず景気は上昇し、国税収入が増加している。そして増税したときは、必ず景気は悪化しているのが明瞭に把握できる。このグラフを示されては、反論できまい。この事実を提示されては、御用学者の嘘がいっぺんにばれてしまう。しかしながら、講演と質疑応答を1時間30分聞にわたって拝聴し続けて、この植草氏の実力に怖れを抱いてしまった。このような逸材が理路整然と財政出動が景気回復に必要であると主張し続け、罠を仕掛けて論点をずらそうと画策しても見破られては、構造改革派やマネタリスト、増税派や新古典派の御用学者、はげたか金融業者が殺意を抱いても不思議ではない。

そこにグラフは載っていなかったのでデータはないのかと歯軋りしていたんだけど、こうしたデータと解説は昨年の12月に出た菊池氏の 増税が日本を破壊する - 本当は「財政危機ではない」これだけの理由 (Amazon) (目次) にも見事に載っていたのを見つけた。この本は財政危機を煽ってはいけないとする主張の理由ややたら(ドーマー条件ではなく)プライマリーバランスを主張する緊縮財政および増税こそが税収を悪化させていること、その制度の本質を見ずに無批判に導入していった金融改革が不良債権を増加させ、その結果寡占と景気を悪化を招いたメカニズムなどについて詳細に説明してあるので、論点を知るために目次だけでも見てみる価値はあると思う。

さて、この本でのメカニズムの説明を援用すると、デフレ下での金融改革が企業の維持・成長の維持のための粉飾決算へのインセンティブを強めたというのは十分にありえることだと言えそうだ。実際、グレーゾーンでぎりぎりのことをしていた(有罪確定してはいないのでこう書く。ただし、日本の検察制度下ではほぼ有罪確定。)堀江氏は改革された金融制度下でのファイナンスをかなり意識していたようだし。そういうわけで自民党が支持したとかいう些事ではなく、あくまで経済政策的な視点から今回の件に関して責任があるといえるのではないだろうか?

以上、頭ごなしにどちらかを否定するのではなく、もう少し論点とすべきものが見えるよう書いてみた。まだまだ勉強し足りないのでリフレ派(インフレターゲット論者)の方々のように立派に議論することはできないが、これがより深く議論するための種になれば幸いである。


2006年02月05日

RTR 読書会(いつもどこにリンク張るべきか迷うんだけど、アナウンスがあるようなので前回のことについて書いてあるページに) 。今日は珍しく(というか初めて)二次会があって、そこで聞きに行き損ねた PTTMap Reduce の話話とか、P2P インフラストラクチャ研究会 で Ryoko さんに会ったのに気がつかなかったこととか、ブラウザ作成者の立場ではない SVG (および SVG + XHTML とか)の筋の悪さとか、Illustrator や After Effects などでも便利なように Adobe の要望が色々入っていて SVG を実装するのは大変とか、そういう話をしました。

Map Reduce は要は並列なデータ構造と (Fucntor の fmap や Generic Classes の gmap のように) 関数型言語でいうところのデータ構造に対する map 関数を定義してやることで、 Distribued Clean のように並列化戦略そのものをデータ構造として渡してやれば並列に計算させることができるという話でしたか。なるほど、なるほど。


2006年02月11日

10.4.4 など最新のアップデータ適用済みの Mac で wxHaskell をビルドする際の留意点と、Haskell DB + HDBC

[topic:Haskell]

随分前に wxHaskell Mailing-list で紹介されていた listCtrl バグの修正法に従って書き換えてビルドし直そうとしていたところ、Mac OS X 10.4.3 (の後期アップデータ?)あたりから以下の未解決シンボルによって wxc のビルドに失敗するようになってしまったことや、

Compilation of the wxc layer goes fine but the linking of libwxc-mac2.6.1-0.9.4.dylib fails complaining about weakdefinitions:
ld: out/wxc/master.o undefined symbol 36218 (__ZdaPv) can't be a weak definition

どうやらデフォルトで使うソースコードに unicode パッチを当ててしまっていたらしく、unicode ビルド以外の wxWidgets でビルドすると文字化けする(おそらく unicode を利用可能にするための書き換えを行っているのが問題ではなく、 Haskell へのバインディング部分が問題なんだろうけど……)という症状に悩まされるということが重なったため、勘違いして何度も再インストールしてやり直す。……そういうことをやっているとなかなかやる気になれなくて、読書の方に力を入れていたこともあって何度も途中でほったらかしにしてしまっていたんだけど、日曜に wxHaskell Mailing-list に後者の問題の解決方法が流れてきたので、12月以来ようやく環境を整えなおすことができた。(まだ不完全ではあるけど)

*** wxhaskell-0.9.4/makefile    Sun May  8 08:45:23 2005
--- wxhaskell-0.9.4-works/makefile      Sat Feb  4 14:26:28 2006
***************
*** 715,721 ****
 
  # dynamic link library on macOSX: generates single .so file
  $(basename $(WXC-LIB)).dylib: $(WXC-OBJS)
!       $(CXX) -r -keep_private_externs -nostdlib -o $(WXC-OUTDIR)/master.o $^ $(WXC-LIBS)
        $(CXX) -dynamiclib -install_name $(SHARED-PREFIX)$(notdir $@) -undefined suppress -flat_namespace -o $@ $(WXC-OUTDIR)/master.o $(filter-out %.a,$(WXC-LIBS))
        $(RM) -f $(WXC-OUTDIR)/master.o
 
--- 715,721 ----
 
  # dynamic link library on macOSX: generates single .so file
  $(basename $(WXC-LIB)).dylib: $(WXC-OBJS)
!       $(CXX) -r -keep_private_externs -nostdlib -o $(WXC-OUTDIR)/master.o $^ $(WXC-LIBS) /usr/lib/gcc/darwin/3.3/libstdc++.a
        $(CXX) -dynamiclib -install_name $(SHARED-PREFIX)$(notdir $@) -undefined suppress -flat_namespace -o $@ $(WXC-OUTDIR)/master.o $(filter-out %.a,$(WXC-LIBS))
        $(RM) -f $(WXC-OUTDIR)/master.o

って、分かる人には当たり前の部分っぽい。そっち方面の経験が足りないのがやっぱり問題か。

HaskellDB の darcs repository での開発版が HDBC に対応しているようなので、Haskell での開発環境を整え直すついでに HDBC を導入してみた。とりあえず両方でサポートされている Database を使用するなら Windows や Mac の環境ではライブラリの検出に pkg-config を使用している HSQL よりインストールしやすい。おすすめ。代わりに1つのパッケージにまとまっていないので、 darcs get --partial http://darcs.complete.org/hdbc 後に darcs get --partial http://darcs.complete.org/hdbc-sqlite3 というように個別のパッケージも持って来ないといけないのだけど、どっちみち HSQL も HaskellDB も cabal でビルドするようになっているのでビルド回数の面倒さに差はなし。

HDBC 対応以外の HaskellDB の変化としては、HSQL の部分では HSQL 1.7 以上を想定することになっていること SQLite3 へのインターフェースをもつようになっていること、最新の開発版の cabal を想定するようになったのか .cabal の記述が

Extensions: ExistentialQuantification,
            OverlappingInstances,
            AllowUndecidableInstances,
            MultiParamTypeClasses
 

ではなく

Extensions: ExistentialQuantification,
            OverlappingInstances,
            UndecidableInstances,
            MultiParamTypeClasses

となっていることなどが挙げられる。

ところで、 SQLite3 は型情報が取れなくて、とりあえず全てのカラムが String 扱い なのって Bug リストに挙げてあるんだけど、いつか Haskell 側でなんらかの対処をするつもりだろうか?


2006年02月12日

今日の圏論勉強会は、久しぶりに他の予定とはぶつからなくて済みました。


2006年02月17日

下落相場から始まる株式投資

[topic:投資]

使えるお金と資産として残しておくお金を区別するために、先週の月曜から株を始めてみました。実のところもっともっと早くから始めていればいくつかのバーゲンセールを生かす機会があったはずですが、だらだらしてなかなか口座開設を行わなかったおかげでそういうチャンスを逃してしまいました。今は残りの余裕資金あんまりないし。

身内にきちんとした判断基準を持たずに売り買いして損を出してしまう軽率な反面教師がいたり、証券筋からいかに機関投資家が有利でデイトレーダーはバカかという話を聞かされていたりするおかげで、長期保有を前提にする投資のやり方を バリュー投資入門 (Amazon) などを読んで勉強してから始めたわけですが、いきなり逆ブログ相場ですか。まあ、先に書いた通り長期保有前提で、景気に関する不安材料をかなり見込んで始めてるのであんまり痛くないんですけどね。始めてからあんまり経たないうちに下落しているので「こんなもんだろう」と思えているのも余裕の理由になっているかも。得をするところを見ていると、それだけに損への落胆は大きいですし、上昇相場から始めるときちんとバリュー投資を身につけるより前にノイズトレーダー化してしまいますしね。ああ、でもできればこんな絶好の機会には買い増したいなぁ。

(ちなみに日本人の方が書いているバリュー投資の本は、いくつかの本のエッセンスをうまく纏め上げているので最初の一冊や手早い確認には良さそうな感じです。)


2006年02月18日

「Haskell 入門」をどうやっておこなっていこうかという打ち合わせをするために今日の WOMeeting に行ってきました。とりあえず WASH を理解できるようにすることを目標にして進めていこうかなと思っていましたが、WebObjects を意識しているためにおそらく今の知識から類推できるところが色々とあるであろう WebFunctions を導入にして欲しいという要望を受けたので、結局 WebFunction を通してそれを利用するための知識として言語の機能やライブラリを紹介していくという方針でいくことになりました。

その後の飲み会で話して気づいたんですが、忘年会の時に話題になった経済学の無意識の前提って完全情報市場であればといった留保の話だったんですね。スティグリッツの 入門経済学 第3版 (Amazon) だとあえて留保することで物事を分析しやすくしているんだという話をしているのですが、確かに情報の非対称性による市場の失敗などに触れないような本や授業だとそういった留保事項についてきちんと説明していないかも。こうした留保事項の話は教科書がつまらなかったために放り出してしまった金融のゼミでも紹介されていたわけで、当時きちんと経済学をやっていたら「ここで繋がるのか」と思えたのに、という感じです。同じように認知心理学が繋がることも示唆されていたのですが、当時 行動ファイナンス―金融市場と投資家心理のパズル (Amazon) のような本があることに気づかなかったわけで……。


2006年02月20日

Wiki小話/Vol.6

[topic:Wiki、関数プログラミング]

産総研 ( 産業総合研究所 ) を会場にして開かれると知ったので、Wiki 小話 に内職しつつ参加してきました。

S 式プラグインというか S 式マクロの話に対して括弧の対応付けが大変だという反応がありましたが、WiLiKi のように編集するテキストの中でもマクロは展開されるというような方針をとっていなければ何度でもやり直すことができるので、あとは User Interface をどう作っていくかという話になると思います。確かにテキストエリアではハイライトされないものの、WiLiKi (の改造版?)を使っている Community-Scheme-Wiki ではマウスのロールオーバーに応じて括弧の対応付けをハイライトするというアプローチができているわけで、Ajax を使って動的に表示される S 式ハイライト View を用意するなりなんなりのやり方で、ブラウザ上での編集中にも括弧の対応づけ確認することのできる機能を用意するという形で対応できると思います。

向こうで Wiki を使っているのは企業とかそんなんばっかりで、livedoor Wiki みたいにある物事に関心がある人の交流の場として使われているという傾向は薄いという文化的な違いがあり、そういう意味で日本の現在の Wiki の状況は c2 の WikiWikiWeb の本来の精神を受け継いでいるとか、こうした違いは向こうでは (BBS などによる) Forum 文化が根付いているところに由来するんじゃないかという話があったので、最後に Haskell.org のサイト自体が Wiki になりましたという話を投げてみたんですが、(まだまだ実用に耐えるレベルの Wiki がなくて) Haskell で書かれた Wiki を使ってないためにそっちに話が流れちゃって終わっちゃいました。どうやったら Haskell をよりオープンな存在にできるかという議論の中で出てきた話であり、Wiki 文化を語る上で重要な流れだと思ったんですけどね。

あっ、あと、文法を組替えることのできる方向を目指した Kisp とか 3D の Wiki システムである Banyan などの開発はされたけどコミュニティを形成するには至らなかった Wiki って、やっぱりその周辺にいる人々以外には忘れ去られている模様ですね。まあ、人が把握できる情報の限界を考えれば仕方がないのですが。

解散が遅くなった上、どうしようかと話しているうちにだんだん人がばらけてしまったので、後の飲み会あるいは食事会には参加しませんでした。


2006年02月24日

まつもとさんの講演と YARV の発表を目当てに平成17年度上期未踏ソフトウェア創造事業 千葉 PM 成果報告会に行ったのですが、そのために同じ日にあった未踏ユースの成果報告会での MEPHISTO の発表が見れなくて残念。発表資料が公開されるようなので多くは語りませんが、とりあえず簡単な Web アプリケーションは Wiki で作れるようにしてしまおうという Tuigwaa を見たことで、Wiki小話/Vol.6 では否定的に語られていたものの、企業が Wiki というシステムに求めているのはこういうことかと実感できました。あと BioRubyChemRuby の発表にもページにも BioHaskell (論文にもソースコードは載ってますが、具体的なコードは Ketil's bioinformatics pages などにあります。)の存在は触れられてないよ、流石、とか思ったり。まあ、ツールの充実ぶりで全然勝てる状況にいませんし。

志の高い企業、ふつうの人について

[topic:企業]

志の高い企業、ふつうの人について。私としてはそこに書かれている以下のような主張に同意したいところですが、

自分で本を買って読むのはよいことだ。就業時間以外にコードを書くのもよいことだ。しかし、それは個人のたのしみのために行われるべきものであって、職業上の義務としてなされるべきものではない。それでは単なる時間外労働である。

業務のために、就業時間外にたくさん本を読め、と説く人々は、時間外労働を対価なしに(むしろ本代を払って)行え、と説いていることに他ならないはずだ。これを問題だと思わないのだろうか。私は非常に重大な問題だと思う。そのような行動をとらなければキャリアに支障を来たすというなら、それは業界そのものが深く病んでいるとしか思えない。

時間外労働を対価なしに行うひとだけが報われる社会を、そして何より、そのような社会を留保なしに肯定する人たちを、私は認めない。

私のように経営学に関心がある人ないし実際に経営に携わっている人がこのテーマについて(事例紹介もまじえて)真剣に書くと、それだけで一冊の本が出来上がってしまうので、膨らませすぎないように注意しつつ書きたいと思います。

この話について議論するときにまず注意しておきたいのは、志の高い企業がその志をなすために人々に高い能力を持ってもらいたいと考えるなら、そのための活動は就業時間中に業務の一環としてなせるようにすべきであるという思想があるという点です。 ザ・ゴール (Amazon) などの制約理論 (TOC) で語られるような、企業がより人々を忙しくさせておくことであたかも効率よく資源を使えているように見せかけるコストワールドではなくアウトプットさせる仕事量こそが重要だというスループットワールドの側に立っているならば、業務の時間をフルに仕事にあてることによる見かけ上の効率の良さよりも、人々を鍛えより能力を増すことでボトルネックを排除し全体的な仕事量を高めることの重要さに気づくことができるはずであり、そうであるならば人々が自主的に能力を伸ばすことを望んだり要求したりするだけに堕するのではなく、実際に業務の一環に取り入れることによってそうした活動を強制したりそうした活動に対するインセンティブをより強く持たせ、そうした行動が企業内全体へと広まることができるよう努めるべきです。もちろん、そうした活動を積極的に行っている志の高い人を集めた企業やふつうの人々を志の高い人にできるような企業も存在しますが、それに頼り切っているようでは、そうした人々が何らかの個人的な事情が原因でそういう活動を行えなくなった時に対してあまりにも無防備過ぎます。それに自分が志の高い側にいると思っている人間であっても 達人プログラマー―システム開発の職人から名匠への道 (Amazon) に書かれている目標を真に達成できている人っていうのはめったにいないわけで、個人ではなかなかできない活動を規律づける意味でも業務の一環として行うことに価値があると思います。

就業時間外にたくさん本を読めというのには、自分を磨き上げるという半分の意義の他に、語られざるもう半分として企業がそれを請け負ってくれないがために必要悪として就業時間外に行わなければならないという側面があることも忘れてはいけません。よく聞かれる生涯学習も、経済学的な意味としては、産業構造の変化などによって余ってしまった労働力は他の産業に移動する必要があるものの、能力のミスマッチが起こっているために就業できず、その結果起きてしまう摩擦的失業を減らすため、移動するために必要な能力をつけるというところにありますし。まあ、確かに、決算などの性格によるインセンティブの方向づけの結果として短期的な視野に陥りがちな企業が、業務に直接関係ないような類の学習(例えば関数型言語などの例外的な企業以外ではおそらく使わないと思われる言語の学習など)を知識のポートフォリオを意識した長期的な視野に立って支援するのは難しいんですけどね。また、読書会などの企業外の人々との交流も大切だと思えるものに対して、数時間の研修のような見せかけ上は意義のあるもののように見えるけどほとんど身にならないものに堕することなくその機能を温存しようとすると、他社との連携が必要不可欠となるためこれもまた難しいんですけどね。

この必要悪としての側面が顕著にでる例として、企業のやろうとしていることと自分のやりたいことが一致してたり、その間に高い相関性がある場合には良いのですが、そうでない人に対して就業時間外の行動を強制すべきかという問題があります。まあ、自分がやりたいことというのが明確でない人の場合には、企業が企業の理念を真に体現する存在であることで企業の志がカルトとして働き、就業時間外も自発的な行動をとることで充実感を得るというのも悪くはないのかもしれませんが、そうではなくて別の目標を持ち、そのためにお金を得ることでそれを対価に得られる自由が欲しいという人の場合には、一山当てるようなことが起きない限りそこで失われる時間的自由がかなりの負担になります。(今私がお金を得る仕事をしていないのに、出費に気を使って、そのくせ読書会とかのイベントやその後の飲み会とかに頻繁に出席するという矛盾だらけに見える行動を取っている一因はここにあります。まあ、流石にこのままいくとどうしようもないし、あまりにそればかりで(特に週末が)埋まりすぎて他のことがほとんど何もできないのは問題だと思うので、何でも毎回参加は止めようという目標を立てたわけですが。)

そういうわけで、就業時間外に学ばせるよう強制すべきでないという意見を支持します。ペアプログラミングのような仕事をしながらの学習だけで全てを学べるなら、それが一番なんですけどね。


2006年02月25日

もし昨日話し損ねたあれば話しておこうと思って RHG 読書会に行ったのですが、その人たちはみな未踏ユースの成果報告会の方に行ってしまいましたか。


2006年02月26日

後に出たお薦めされてなかった方の本とどう違うか気になっていた 税金の常識・非常識 (Amazon) をようやく読みました。なるほど、こちらの方が日本の税制・税制に関する議論で間違っている点について、いくつかの部分を除けばより詳細に述べられていますね。住宅やほとんどの教育に対しても課税してたり、軽減税率が存在しないため、財政赤字・黒字による補正を入れるまでもなく現在の消費税はイギリス(17.5%)と同じ重みですか……、とかその辺の細かい話が分かって良い本です。税金について議論する前に読んで貰いたい本だと思うだけに、品切れになってしまっているのが残念なところですね。なお、税制に関する記述は本物でも、経済については巷で言われる常識を述べているに過ぎないので、そのあたりについて考察する際には小泉政権について賛美的ではない経済学者達の意見を読んでおく必要があると思います。(かといって民主党の政策が信頼できるかというと、そんなことはなくて困りますが。)

ついでに借りてきていた 人生と投資のパズル (Amazon) も読んだのですが、あとがきにあるようにその後の発展はあるものの基本的には 行動ファイナンス―金融市場と投資家心理のパズル (Amazon) を一般向けに書き直した本なので、同じ本をもう一度読んでいるような気がしてしまったり。ちなみにこの手の行動ファイナンスに関する本は、前提が強すぎると金融工学について不信感を抱く方だけではなく、Cryolite さんのブログで扱われている確立の問題が不可解だと思ったり、コメント欄にあるような「損したときの心理的な影響はどうなの?」ということについて気になる方も読んでみることをお勧めします。


声なき言葉へ