「必殺仕業人/#12・あんたこの役者どう思う」の謎

『殺した奴をまた殺す』
第19号(1997年春期号・1997年6月8日発行)掲載
1998年8月30日改稿


 冒頭で、 主水・剣之介・やいとや・捨三の名前も住まいも職業も‥‥そして、裏の稼業まで知り尽くした頼み人・お染が登場する。結局本編では、彼女に仕業人たちの事を知らせた人物は明らかになりませんでした。旅回り役者‥‥実は、畜生働きを繰り返す押し込み強盗の市村猿十郎らによって家族を惨殺され、自らも川の中へ放り込まれたところを、間一髪救われた庄屋の娘・お染。彼女に手厚い看護を施し、江戸の街に「お金で晴らせぬ恨みを晴らしてくれる仕業人」の存在を教えてくれた人物‥‥彼、もしくは彼女が一体誰なのかを、ここで考察してみましょう。(ちなみに、必殺研究会・音羽屋の「殺した奴をまた殺す」第17号の「必殺仕業人/完全ストーリーガイド特集号」の該当回の解説では、頼み人を助けた人物は「市松」だと暗示されてました)

 前提条件として、一応主水たち・仕業人について知っている人物だと仮定します。
 1)赤井剣之介にも関して詳しく知っていたから、彼が加わる以前の、主水=やいとや=捨三の三人だけの頃の依頼人ではあり得ない。
 2)主水・捨三、そして剣之介を知っている市松だが‥‥やいとやとは顔を合わしておらず、仕置屋解散後に転職した捨三の仕事(=女郎の腰巻きの洗濯屋)や、江戸に居着いてからの剣之介のその後についても、到底知っているとも思えない為、やはり該当しない。
 3)第12話に至るまでに登場した依頼人の内、#1の伝蔵・#4のお遊・#5のおとせ・#6の甚八・#7の芦川次郎左エ門・#8の牧野十郎左衛門・#10の伊平は死亡。
 #2のおこうは自らの身を売り、#3のいちは主水たちをも憎み、#9のおたかは素人女郎屋を江戸で続けていると見られ、#10でやいとや又右衛門こと政吉と再会した弥蔵たちは仕置きされ、#11のおさとは再び逞しく夜鷹を続けているだろう。
 従って、主水たち仕業人の素性を知っていて、今なお生きており、その後江戸を離れていると思われる人物は‥‥#7で、夫・芦川次郎左エ門の死後、剣之介自らが女郎屋から請け出して、見送ったと思われるおはまとおさとの親子連れだと思われるが。果たして、真実は如何?


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