Colles骨折 (橈骨遠位端部伸展型骨折 : 定型骨折)
特徴
1 高齢者が転倒し、手関節部に疼痛を訴えるときは、まず考えるべき損傷。
2 高齢者の場合、粉砕骨折や多発骨折が多い(骨粗鬆症を基盤として)
3 幼児の骨端線離開は骨端線の早期閉鎖、成長障害をきたす危険性がある。
発生機序
転倒し、手掌を衝いた際、橈骨遠位端部に受ける長軸圧と長軸圧と手関節を含み強度の伸展(背屈)力が強制され、橈骨遠位端部に掌側凸の屈曲力が働き発生するが、この際前腕遠位端部に過度回外の捻転力が加わるといわれる。
患者の肢位
骨折部を含め、患肢手部の手を支え、疼痛緩和肢位をとる。
症状
1 骨折線の走行 : 手関節の1〜3cm上の掌側から、やや斜めに背側上方へ走る。
2 遠位骨片の転位 : 背側転位、橈側転位、短縮転位、捻転転位(回外)を呈する。
3 変形 : 遠位骨片の転位のため、骨折部の厚さと幅が著しく増大する。
a 背側転位が強度になり、近位骨片に騎乗、短縮して、フォーク状変形を呈する。
b 橈側転位が強度になり、遠位橈尺関節が脱臼して、尺骨茎状突起が尺側に突出すると、銃剣状変形が現れる。
4 腫脹 : 骨髄、および軟部組織からの出血による高度の腫脹のため、前腕遠位端部、手関節、手部にかけて著明な腫脹が出現する。また、受傷数時間後には手指にまで腫脹が現れる。
5 疼痛 : 他の骨折ほど自発痛は激甚ではないが、限局性圧痛、介達痛は判然とする。
6 機能障害 : 前腕の回外運動や、手で物を握る、とくに拇指と示指で摘むなどの動作や、手関節の運動制限などの障害が出現する。
整復法
1 牽引直圧整復法
転位軽度の骨折に応用する。坐位または背臥位の患者の肘関節を90度屈曲して、助手に骨折部の近位部を把握固定させる。
2 屈曲整復法
転位強度の骨折に応用する。坐位または背臥位の患者の肘関節を90度屈曲して、助手に骨折部の近位部を把握固定させる。
術者は両手の拇指を背側に、両四指を掌側にあてがい、手根部とともに遠位骨片を把握して、回内位で軽く橈側から遠位骨片、尺側から近位骨片に圧迫を加えて、捻転転位と、橈尺面の側方転位(軸を合わせること)を取り除く。
続いて、遠位骨片に手とともに過伸展を強制して、その肢位のまま、両拇指で遠位骨折端を腕長軸方向に圧迫して近位骨折端に近づける。
さらに、両第2指で近位骨折端を掌側から固定して、その肢位(角度のまま)で前腕長軸方向へ末梢牽引を継続し、遠位骨折端背側が近位骨折端背側に適合したところで、手を含み遠位骨片を掌屈させて、同時に背側から遠位骨片を圧迫して背側転位を整復する。
続いて、遠位骨片の再転位を防ぐために手関節軽度屈曲(掌屈)位、手関節尺屈位にして固定する。
固定法
肢位 : 肘関節90度屈曲位、前腕回内位、手関節軽度屈曲(掌屈)位、軽度尺屈位
方法 : 厚紙副子、金属副子などを用いて、肘関節を含みMP関節の手前まで、MP関節の屈伸運動可能な範囲で固定包帯を施行するが、強度の手関節屈曲(掌屈)位に長期固定を施すと、指関節の拘縮を残すので注意を要す。
後療法
1週間は再転位に留意し、約2週間すぎより徐々に良肢位に近づける。指の運動は拘縮予防のため翌日より開始させ循環の改善を図る。4〜5週間で骨性癒合を認めたら固定を除去し、徐々に自動運動を行わせる。高齢者の場合には、肩、肘関節に拘縮が生じることが多いので、患者自身に積極的に運動を行うように指導する。治癒までに6〜12週間
合併症
1 尺骨遠位端部骨折 (尺骨茎状突起骨折)
2 手根骨骨折 (舟状骨骨折)
3 遠位橈尺関節脱臼および不全脱臼
4 月状骨脱臼
5 長拇指伸筋断裂 : まれに受傷後日数を経て発生することがある。
6 変形治癒
7 指、手、肘、肩関節の拘縮 (とくに高齢者)
8 手関節の外傷性筋炎
9 橈骨遠位端骨端線損傷による成長障害
10 橈骨、尺骨、正中神経の神経麻痺
11 前腕の回旋障害
12 Sudeck骨萎縮
13 手根管症候群







