★なんば歩き


 「歩く」ということについて書いてみます。もちろん、歩く前に「キレイに自然体で立てる」ということが大前提になるわけですが今回は省きます。

 元来、西洋人の歩き方と日本人の歩き方は違います。西洋人はしっかりと踵から地面を踏みしめてつま先で蹴り出し、堂々と大またで肩と腰をねじりながら歩きます。これは靴文化から来ています。西洋人は靴なしでは長い時間歩けないでしょうし、そもそも馬や車が中心の社会ですから長時間歩く習慣自体がほとんどありません。

 1マイル=1.6kmですが、一里は4kmです。同じ1という単位から考えても昔の日本人は西洋人の何倍も歩いていたはずです。(ちなみに散歩するご老人は長生きです)昔の日本人はやや小またで肩と腰をねじらずに歩きました。これは着物文化から来ています。着物という筒状で効率的に歩くために生まれた歩き方です。いわゆる「なんば」と言われる歩き方です。

 「なんば歩き=同手同足で歩くこと」とよく言われますが、そうではなくて、腰(はら)が平行移動する、上体がねじれない、重力を利用した歩き方です。同手同足で歩いても肩、腰がねじれていたり、ドタドタ歩くのはなんば歩きとはいえません。今の日本人は裸足で過ごすことが少なくなり、着物を着ることもないことから、ほとんどの人が西洋人的な歩き方をしています。

●なんば歩きの利点・特長
・ドンドンと足音がしない
・靴の減りが偏らない
・頭が上下しない
・頭が左右に揺れない
・気配がないのでス〜っと相手に近づくことができる
・方向転換が容易にできる
・疲れずに楽に歩ける
・歩くスピードがやや速い
・足を踏まれると体重がまっすぐ落ちているので足を引っこ抜くことができない(これは塩田剛三先生がビデオでされていた)

 実は日本武道の技は全てこのなんば歩きの上に成り立っているので、なんば歩き方ができないと技自体が成り立たないのではないでしょうか?



●なんば系か西洋系かを見分ける方法
「片足立ちになってみて」という質問をして、本人の立ち方を見ればだいたいどっち系の歩き方をしているかがわかります。僕はちなみになんば系でした。なんば系は重力に身をまかせてまっすぐ落ちていく世界、西洋系は地面に反発して筋肉で蹴り出す世界です。
※言葉で説明しにくいので、どっちか知りたい方はまたどこかでお会いしたときに


●日頃心がけている歩き方
・膝の力を抜いて楽に振り出す
・足の親指の付け根で地面をとらえる
・できるだけ足音を立てず、頭が揺れないように意識する
・遠くに目標をつくり、中心線をイメージしてまっすぐ歩く

 親指の付け根で歩くといっても、つま先歩きとは違います。踵から自然と地面に触れます。足裏が地面に平行について平行に離れる感じでしょうか。どこまで上手く歩けているのかどうかは自分でもよくわかりませんが、周りの人の頭がよく上下するのがわかります。また、前から来る人が自然と自分を避けてくれるようになればOKだと思います。開祖がお供を連れて歩くときは人が避けていくのを見るのが面白かったという逸話がありますが、中心線がまっすぐに伸びており、前から来る人は射抜かれるようなイメージを持つことと、まっすぐ平行にす〜っと来るので電柱を避けるのと同じで思わず道を譲ってしまうのだと思います。

足音をたてずに、すう〜っとキレイに歩く人の動きを見習ってみましょう。色んな人が歩くのを観察するのも面白いです。武専校長のY先生の立ち姿、歩き姿はさすがに綺麗でした。

教訓:正しい動きには美しさが伴う。