仮想の重心
「沖縄武道空手の極意」という本に仮想重心という言葉が出てきます。
まだ私もあまり理解できてないのですが、これは武道として非常に重要なことだと思うので書いてみようと思います。
仮想重心とは???
仮想の重心なわけで、本当の身体の重心はお臍の下あたりにありますが、それとは違います。
仮想の重心と本当の身体の重心が重なったときに「居着く」「居着いた」といいます。
「居着く」って何ですか?と後輩に聞かれたことあります。
ボールが飛んできたとき、自転車が突っ込んできたとき、相手に殴られそうになったときなどを想像してもらったらわかりますが、
要はビビッて身体が固まった状態です。
乱捕りやったことある人はわかると思います。相手の圧迫感におされてビビッて身体が硬直し、動けなくなってしまった状態です。
K−1でフィリョがジェロムに壮絶なKO負けをしたことありましたが、あれなんかジェロムの仮想重心がフィリョを捕らえ、ビビッて居着いて動けなくなってやられたわけです。
だから、どんな武道、スポーツでも居着いては駄目だということです。
居着かないために重心を外に出すわけです。これが仮想重心。
スキーするときや、車を運転するとき、歩くとき全部仮想の重心をつくってそこへ向かって人間は進んでいきます。
人間は仮想の重心をつくらないと動けないのです。
・・・と本の受け売りですが、これを少林寺拳法に応用するとどうなるのか???
@居着かない構え
やり方としてはリラックスして、少し正中線を前傾姿勢気味に構えます。いつでも動けるように「よ〜いドン」の「よ〜い」を取ってしまう状態。ドンだけ。1で動けるのが居着かない構えです。自分の中に自分がいない状態にするわけです。私はこれを目指してやっています。進むところへ正中線をまっすぐ倒して膝を抜いてス〜っと地面に倒れながら運歩します。距離が伸びてスムーズに移動できるし、早いです。なかなか難しいですが。
A相対バランス
相手に仮想の重心を設定し、それに向かって突き蹴りしていくと、当たったときに相手と自分とが相対でバランスを取ることになります。
つまり、相手とぶつかることによってはじめてバランスがとれるわけです。これが威力のある突き蹴りを出す秘訣でしょう。
突きならば前足が浮いて後ろ足で地面を支え、拳で相手を支える感じになります。あくまでも一瞬の話ですが、相手にもたれるようにするとこれだけで威力違ってきます。後はこれに拳や腕や肩の脱力がプラスされて正しい角度で入ると力が透っていきます。ワンインチパンチのような感じでほんの短い間合いでも威力が出せるようになってきます。胴突で試してみましょう!目指せブルース・リー
蹴りも同じです。倒れながら蹴る。瞬間的にもたれかかります。練習方法としては以前「前に下ろす逆蹴りの練習」で紹介したように、両手を前に出して重心が後ろにいかないようにして蹴るといいです。身体がY字になってしまう蹴りでは単独バランスで蹴っているので重力を利用できませんし、単発で終わってしまいます。少林寺では流水蹴、上受蹴、内受蹴など後ろ足重心になって前足で蹴る技が多いですが、実際に相手の突進に勝てる蹴りを使える人は少ないと思います。一番最初に十字足さがりを習わせる弊害です。これは後ろ足に居着いてしまって自分一人で蹴っているからです。演武だからできるのであって、実際に押し負けない蹴りをしている人はみんな相対バランスをとっています。仮想の重心を相手に出してそれに向かって瞬間的にもたれるように蹴りこむ!これで威力UP間違いなし!押し負けません。これに加えて脱力した足をしならせて鞭のように蹴ると更に威力UPです。いずれにせよ上体が後ろに反るような形はNGです。常に正中線は相手に対して前傾姿勢です。左右の肩の線と正中線が常に安定していて同じ状態。これが少林寺拳法の基本だと思います。
後輩の乱捕りビデオを観ていると、少林寺拳法らしくまじめに構える奴の方が見た目の動きはきれいですが、ガンガン前に出るガチンコスタイルの拳士の方が勢いで勝ってしまう。お互いにそんなに技術的な差はないはず。上手い下手を別にしてこれはなぜか?この仮想重心のことを知ってから、納得しました。強い奴、試合に勝つ奴の方がより前傾姿勢になっており、仮想重心をより前に出して相手に圧迫感を与えているわけです。負けた拳士は居着いた構えで動きが悪い上に、さらに相手の圧迫感に押されてビビッてしまい動けなくなってしまう。結果、相手の攻撃をポカッともらって負けてしまう。圧迫感を感じたとき(攻撃線が出たとき)には何らかの処理をしないと押し負けて居着いてしまうのです。しかし、何らかの処理をするためには居着いた構えでは駄目なのだと思います。私もまだ上手くできないので研究中ですが、乱捕りに仮想重心の概念はかなり役立つはずです。後はびびらないように平常心を保つこと。でもこれが一番難しい。
【最終更新日2001年12月6日】