●少林寺拳法は問題処理能力開発のトレーニング方法


伝統的な武術(日本の古武術、中国武術など)の指導者とは門下生一人一人のレベルに合わせてマンツーマンで指導するそうです。実際に技術を見せながら、各人に応じた適切なアドバイスをし、一つ一つランクを上へと引き上げるように指導するのです。なぜなら、目的、レベルなどが習う人それぞれによって違うからです。一人の指導者が一生涯で育成できる弟子の数が限られていることから、特別な師弟関係をもった人にしか技術は伝えられず、大多数でみんなが学べるようなものには成りえなかったのです。

少林寺拳法は逆に誰でも楽しめることをアピールし、思想を重視して達人をつくることを目的としなかったためにここまで大勢の人に広がりました。ですから、少林寺拳法の道場でそういう伝統武術的な指導方法がとっているところは非常に少ないはずです。人数が少ないうちはマンツーマン指導も可能ですが、人数、特に子供達が増えてくれば大人への個別指導はあまりできなくなり、首座の人が固定されてきて、いつも同じメニューをワンパターンでこなすことが多くなってきます。練習メニューを決めてみんなで同じことをすることにはメリットとデメリットがあります。

● メリット
・ 道場全体での一体感が出る
・ がんばってやっているという気分になり、気合が入りやすい。
・端から見たときに迫力があり、アピール力がある。見た目が良い。

● デメリット
・ 自分のやりたい練習・研究ができない
・ 自分のペースでできない
・ 個別指導が受けられない
・ワンパターンになり、おもしろくない

このデメリットを克服できないで悶々としている人が非常に多いのではないでしょうか?


僕も色んな場所で少林寺拳法をしてきましたが、おおまかに3つのパターンに分かれます。
@ 最初から最後まで細かく練習メニューが決まっており、それをひたすらこなす
A 最初の柔軟と基本だけ一緒にやり、後は資格別に分かれて各自で練習する
B 最初から最後まで首座を立てずに各自バラバラに好き勝手にやりたいことを練習する

全部きっちりと決めてやる@、まったく自由のB、折衷案のAといった感じ。

結論的に言うと僕はBの練習のやり方が一番楽しく、一番上達できます。これは習いたての初心者には当てはまりませんが、有段者以上はみな同じ結果になると確信しています。

「ああでもない、こうでもない」と自由に研究し合う時間が無いと上手くはなれません。


ある先生が言いました。
「少林寺拳法は問題処理能力開発のトレーニング方法だよ。」

まずは自分はこれがやりたいというテーマを見つけること。「問題・課題・テーマ」がある人に、「実証・実験できる場所」を与えてあげれば、それを解決しようと頭と体がフルに働き出します。この過程を楽しむことが非常に大切です。お互いの信頼関係、協力関係が生まれ、結果としてどんどん上手くなっていく。これが開祖が目指した少林寺拳法そのものなのではないでしょうか?逆にいうと、先生・先輩から言われたことだけをこなしている人は本当の拳法の楽しみ方を知らない、不幸な人だと思います。そして、そういう「実験できる場所」が無ければ自分達でつくってしまえばいい話です。

「わしは何も教えん。自分達で研究しあって上手くなれ。その過程を楽しめ」というのが少林寺拳法なのだと思います。