●クラブについて考える
私が少林寺拳法を知ったのは、中学か高校のときに、テレビで見たからです。そのときは、演武のことを実際に戦っているのだと勘違いしていたものです。中学、高校では剣道部でがんばっていましたが、剣道はいざというときに棒がないと使えないので、何か素手の武道で強くなれるものないかなと大学入学と同時に武道系のクラブに入ろうと決めていました。ジャッキー・チェンの影響も強く受けました。
94年の4月、入学式の次の日でした。日本拳法を見に行こうと思って部室に行き、誰もいなかったので帰ろうと中央芝生の前を通ったら、白い道着の集団が30人くらいで楽しそうに練習していました。話を聞きに行ったらいきなり道着を着せられ、ご飯をおごってもらって説明を受けているうちにいつの間にか入ってしまいました。実際に少林寺拳法というのに触れたのは、それが最初でした。そのとき1回生は私を入れて、もうすでに5人も入部していました。友達がたくさんできそうだなと思ったのが入部動機でした。これがもし総部員数2,3人とかでやっていたら、入ってなかったと思います。
クラブに入部する動機で大切なのは、
・人数が多いかどうか
・同期で友達ができそうかどうか
・先輩が尊敬できるかどうか
ではないでしょうか?もちろん、クラブのレベルが高いかどうかとか、女の子が多いかどうかとか色々あるでしょうが。
少林寺拳法のような武道系のクラブで一番大事なのは、強い先輩、憧れる先輩、尊敬できる先輩がいるかどうかだと思います。
大学の体育会系のクラブでは、下級生が雑用をするのが当たり前となっています。そのときに、「こいつ弱いくせに偉そうなことを言うな」と思う新入部員もいることでしょう。そういう新入部員を抑えられる人間が一人二人は必要なのです。
私は自分が入部したばかりのとき、「偉そうなことをいっているけれども、先輩は本当に強いのか?」と疑っていました。要するに少しなめていたフシがありました。そういう血の気の多い奴でした。入ったばかりのときは自分の方が強いんじゃないかと勘違いしてしまうものです。
当時の関学少林寺拳法会は昔ながらのグローブ乱捕りを盛んにやっていました。そこで試合してみてガツンと先輩にやられて目が覚めるわけです。「ちゃんと練習したらああやって強くなれるのか、よしあの人を倒せるようになるぞ、がんばろう」と。
ですから、先輩になったときに、そういう血の気の多い新入部員の気持ちがよく分かりました。後輩が「たいしたことないなあ」とがっかりして他武道へ行ってしまわないように、ちょっと強そうな奴が入ってきたら、ガツンとやっつけるようにしていました。そこで、「ああ、少林寺拳法にも強い奴はいるんだなあ」「おのれ、こいつを倒してやろう」と思ってがんばってくれたら大成功です。最初の入部の動機なんてそんなもんだろうと思います。
私が少林寺拳法の教えのすばらしさがわかってきたのは社会人になってからです。入部したばかりの新入部員にとっては、少林寺拳法でも空手でも合気道でもなんでもよかったのかもしれないし、いくら口先で少林寺拳法の教えのすばらしさを説いても最初は興味を示さないでしょう。
やはり、強さがないと駄目。それが武道系のクラブの厳しいところです。強いだけでは駄目。でも強くないとこれまた全然駄目なのです。「少林寺拳法は強さを求めないし、目的にしない。目的は人作り、理想境建設である」というのは素晴らしい教えだし、他武道のように分裂して自分だけが強くなることしか考えない団体と違うところです。しかし、強くなりたくて入ってきた新入部員にとって、少林寺拳法の教えは、いい訳のように聞こえるかもしれません。そういう血の毛の多い奴を受け止めてやれる人間が今の少林寺拳法(他大学、道院支部含む)には不足しているように思います。よって手っ取り早く強くなれる極真空手など他武道に流れているような気がします。非常にもったいないことです。
大学のクラブでは、やはり第一に自分が強くなること、うまくなることを考えるべきです。そして、先輩になって自分に自信がついてきたら、後輩を強く、うまくしてあげることを考えてあげるのです。自分のことしか頭になかった1回生のときと比べ、3回生で幹部になったころには、いろいろと考えなければいけないこと、やらなければならないことが増えて大変になってきます。そういう苦労を経験して、みんなでがんばることに価値があると思います。
幹部になるころには、強さはもちろんのこと、先輩としての自覚と誇り、クラブに対する誇りを持っていなければなりません。そのためにも、本気でやってみることです。「もう3回生だから、いいや」「これ以上強くはなれないなあ」と諦めたらそこでストップしてしまいます。卒業前になったら、もっと真剣に練習しておけばよかったと後悔するのは目に見えています。貴重な大学生活、二度と戻れない時間を有意義に過ごすためにも、毎日の練習時間を大切にすることです。
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