適切な対応を図ることによって自殺は予防できます。
このページは働く人の自殺の予防に必要な知識や対応を纏めたものです。
このページは厚生労働省 中央災害防止協会 健康確保推進部メンタルヘルス推進センター(H14.3)
のパンフレットを参照して作っています。
| No. | 項目 |
| No.1 | 自殺に関心を!! |
| No.2 | どのような時に自殺の危険が迫るのか?! |
| No.3 | 自殺予防の10箇条 |
| No.4 | 専門家に相談を! |
平成12年の自殺者数は、31,957人で3年連続で3万人を超え、このうちの約8,000人が被雇用者です。
この3万人という死亡者数は、交通事故で亡くなる方の3倍以上になり、その家族と周辺の人達に悲しみを生じさせています。
身近な問題として関心を持ち、正しい知識を深め、自殺を予防しましょう。

自殺の背景には、うつ病、統合失調症、アルコール依存症、薬物乱用、人格障害などの心の病が隠れている事が圧倒的に多いのが事実です。
ところが、生前に精神科を受診していた人はごく僅かなのです。
うつ病を例にとると、今では副作用も比較的少なく、効果的な抗うつ薬も開発されていますし、各種の心理療法も編み出されています。
怖いのは、心の病にかかったことではなく、それに気付かずに放置しておくことなのです。
最悪の場合は自殺さえ生じてしまいます。
そこで、働き盛りの人々の自殺に関連することの多い、うつ病に焦点を当てて、どのような時に自殺の危険が迫る可能性が高いのか考えて行きましょう。
| . | 項目 |
| その1 | うつ病の症状に気をつけよう!! |
| その2 | 原因不明の体の不調が長引く |
| その3 | 酒量が増す |
| その4 | 安全や健康が保てない |
| その5 | 仕事の負担が急に増える、大きな失敗をする、職を失う |
| その6 | 職場や家庭でサポートが得られない |
| その7 | 本人にとって価値あるもの(職、地位、家族、財産)を失う |
| その8 | 重症の身体の病気にかかる |
| その9 | 自殺を口にする |
| その10 | 自殺未遂に及ぶ |
うつ病は『心の風邪』と呼ばれるように、一生の間に多くの人がかかる可能性がある病気です。
しかし、いろいろな症状を示す為、悪化するまで気付かずに放置さえていることがあります。
気分が沈む、涙もろくなる、自分を責める、仕事の能率が落ちる、仕事が手につかない、大事な事を先延ばしにする、決断が下せない、これまで関心があったことにも興味が沸かない、不眠が続くといった典型的なうつ病の症状に注意しましょう。
一般人は、うつ病というと感情や思考の面に現れる症状に関心が向きがちです。
しかし、同時に、様々な身体の症状もしばしば現れてきます。
中高年では、実際に重症の身体疾患が隠れていることもあるので、ぜひ検査を受けてください。
しかし、検査をしても、明らかな異常が見当たらないのに、それでも身体の不調が続く場合は、うつ病の可能性を考えて、精神科を受診しましょう。
特に中高年の人で、これまでは付き合い程度であったのに、徐々に酒量が増していく場合は、背後にうつ病が潜んでいる可能性があります。
飲酒によって一時的に気分が晴れたり、よく眠れると思い込んでいる人がいますが、アルコールは長期的にはうつ病の症状をかえって悪化させてしまいます。
また、自己の行動をコントロールする力を失った酩酊状態で自殺を図る人も多いのです。
自殺はある日突然起こるというよりも、それに先立って安全や健康が保てなくなるといった形の行動の変化が出てくることが多いのです。
例えば、糖尿病であってもそれまではきちんと管理できていた人が、食餌療法も、薬物療法も、運動療法も突然やめてしまったりすることがあります。
また、腎不全の人が人工透析を突然受けなくなってしまうこともあります。
真面目な会社員が、借金をするようになったり、何の連絡もなく失踪してしまったり、いつもは温和な人が酒の上で大喧嘩をしたり、全財産をかけるような株式投資に打って出るといった行動の変化が出てくることもあります。
長時間労働が続いている時や、これまで仕事一筋の人生を送ってきた人が大きな失敗をしたり、職を失うといった場面に遭遇して自己の存在価値を見失うような状況に追い込まれた場合も注意が必要です。
自殺は『孤立の病』とも言われます。
職場でも家庭でも居場所がなく、問題を抱えているのに、サポートが得られないような場合は要注意です。
それぞれの人にとって特別な価値があるものを失うことについて十分に考えてみなければなりません。
家族の死や仕事上のスキャンダルに巻き込まれるといったことが、自己の存在の否定につながることがあります。
前記その2で取り上げたのは、うつ病に伴う身体症状ですが、働き盛りの人の場合、重症の身体疾患にかかることが、それまでの人生の意味を大きく変化させることもあります。
これまでに挙げてきたような項目を数多く満たす人が『自殺』をほのめかしたり、実際にはっきりと口にした場合は、自殺の危険が非常に高くなっています。
『死ぬ、死ぬ』と言う人は本当は死なないと広く信じられていますが、これは大きな誤解です。
自殺した人の大多数は、最後の行動を起こす前に自殺の意図を誰かに打ち明けています。
これを的確に捉えられるかどうかが自殺予防の重要な第1歩になります。
誰でも良いから『自殺したい』と打ち明けたのではなく、これまでの関係から、『この人ならば、絶望的な気持ちを受け止めてくれるはずだ』との思いから、死にたいという気持ちを話してきたという点を忘れないでください。
打ち明けられた人はまず徹底的に聞き役に回って下さい。
話をそらしたり、批判したり、安易な激励をするのは禁物です。
さらに、自殺未遂にまで及んだ場合は、緊急の危険が目前にまで迫っています。
その時は幸い救命されたとしても、再び同じような行動に出て、生命を失う危険が極めて高いのです。
この段階にまで至ったら、ただちに専門家による治療が必要です。
首をくくる、電車に飛び込むといった極めて危険な行為は誰もが真剣に受け止めます。
しかし、手首を浅く切る、薬を数錠余分に飲むといった、それ自体では死に至らない自傷行為でも、長期的には自殺に繋がる危険が高いことを忘れてはいけません。
自殺予防の10箇条の項目に思い当たる場合には、心の変調を来たしている可能性があります。
別のページの相談窓口を利用するなどして、早めに専門家に相談しましょう。
自殺予防の十箇条に数多く該当し、何らかの行動の変化が現れたなら、一層危険が忍び寄っていると判断する必要があります。
同僚、上司や家族の方々など周囲の人々が、このようなサインに気付いたら、専門家に相談したり、治療を受けるように本人に促して下さい。
今では効果的な薬や心理療法が各種開発されています。
怖いのは、心の病にかかったことではなくて、それと気付かずに放置し、適切な治療も受けない事なのです。