The connected hand
最近土方は何を燃えているんだか、ずっと稽古をしっぱなししだった。
いくら休みを取るのも大切、と言ってみても、忙しいの一点張りだったのだ。
ちょっと前まではあまり道場に顔すら見せなかった人物が、一体どうしたモノかと近藤も沖田も首を捻っているくらいだ。
しかし不思議ではあるが、土方が道場に顔を出してくれると言う事は沖田に取って嬉しい事でもある。
そう言うワケで、ここしばらく沖田と土方が顔を合わせる時と言えば稽古の時しかなかった。
夜も歳三はいつの間にか居なくなっているからだ。
沖田の予想では、何処かで独り稽古でもしてるのではないかと思う。
しかし、今日ようやく時間を取ってくれた。
「で、何処に行くんだ?」
時間を取ったのは良いが、何をするか思い浮かばない。
最初から何処何処に行こうと決めて土方を誘っていたのではなく、ただ単に一緒に居たいという心理が働いていただけだ。
煙管を咥えながら沖田に訊いて来る土方は一見すると態度が悪い。
でも咥えている煙管は、昔沖田が贈ったものというのが嬉しいところだ。
「美味しい菓子を売ってる店があるんですがね・・・」
「菓子ぃ?」
土方は思いっきり嫌そうな声を出した。
「ンなモン食いたかねぇよ。ガキくせぇー」
近藤が普段酒の変わりに饅頭を食べてる事は忘れているらしい。
「菓子だって立派な食べ物なんですから、そう言わずに。それともずっと部屋に居ます?」
「それも嫌だ」
「じゃぁ行きましょうよ」
渋い顔をしている土方を無視して沖田は早速立ちあがった。
「待てってば・・・!!」
慌てて土方も立ち上がってついてくる。
ばたばたついてくる土方を見て、こっちの方が余程子供くさいと思いながらも沖田は足を速めた。
途中、何人かの門人と擦れ違った。
その門人の顔を見ると沖田は少なからずも優越感を感じてしまう。
土方はその容姿から男女問わずお誘いがある。
当然道場の中にも土方に気のある人間が居た。
だから今こうして沖田と土方が2人並んで歩いているのを見て、悔しがっている門人が居るのを沖田には解った。
しかし門人達には悪いが、土方を手放すつもりは無い。
「おい・・・っ!!総司!」
わざと見せつけるように土方の手を取って歩く。
土方は慌てて振りほどこうとするけれど、力の差は歴然としているので振りほどけるわけが無かった。
「・・・ったく!今は良いけど、外に出たらちゃんと離せよな」
土方も諦めたようだが、結局手はそのまま外に出ても繋いだままだった。
少し抵抗されたが、無理矢理掴んだままで居るとその内何も言わなくなる。
存外、嫌でないのかもしれない。
2人で手を繋いだままずっと歩いていく。
道すがら、注目されたり野次を飛ばされたりする度に、土方が啖呵を切って相手に向かって行こうとするから沖田としては大変だ。
手を握ったまま向かって行くから沖田まで引きずられる。
「ほらもう!一々喧嘩売ってたら店に着かないじゃないですかぁ!!」
「うるせぇんだよ!お前は何とも思わないのか!?」
「思わなくも無いですけど、喧嘩売ろうとまでは思いません」
「俺が売ってるんじゃなくて向こうが売ってくるんだ!」
土方が勢い良く騒いでいるため、とても目立つ。
それが余計人々に注目される原因であるとは気付かないのだろうか。
「あんまり騒いでると手、離しますよ!」
いつの間にやら立場が逆転している。
「く、くそぉ・・・っ!!」
まだ何か言いたそうだか、一先ずは大人しくなった。
「そうそう。それで良いんですよ」
「ぁあ!?」
ちょっと強気な態度に出すぎたために、土方がまた不機嫌になるのを察して、文句を言われる前に沖田が言葉を続ける。
「もう少しですから早く歩きましょ」
「ちょ・・・っ!」
ぐい、と引っ張ってさらに歩く速度を速めた。
いくら速めたって足は土方の方が早いのだから大丈夫だろう。
時たま喧嘩を売ろうとする土方を引っ張って、なんとか沖田は目的の店に着いた。
店の前には人が目立つ。
比較的往来の多い道ではあるが、やはり人気があるのだろう。
沖田が以前に来た時も人が多かったため、買うのに相当時間が掛かった。
その時は独りだったから寂しく並んでいたが、今日は違う。
土方が居る。
でも果たしてこの男が大人しく菓子を買うのを待っているか、というところが疑問系だ。
心配になって横で大人しくしている土方を見ると、近くに居た女に目がいっている。
「何を見てるんですか。何を」
癪ではあるが、この様子なら大人しくしてくれそうだ。
―――どうせこんな所じゃ女になんか手が出せないでしょうし。まぁいっか。
それでも一層手に力を込めて、沖田は店の中を見渡した。
「あ・・・・・・」
すぐに菓子に目が行く。
今回の目当ての菓子もまだ売れてはいなかった。
菓子の近くに行くために足を1歩踏み出すと、後ろの方で小さな悲鳴があがる。
何だろう、と疑問に思って振りかえるとそこに土方の姿は無い。
「あ、あれ・・・???」
変わりに自分が握っていた手と言えば、さっき土方が見ていた女ではないか。
女の方もビックリしている。
互いに謝りながら手を離した。
―――土方さんは一体どこ行ったんだ!?
いつの間に入れ替わったのだろうか。
まったく気が付かなかった。
神業とはまさにこの事。
こういう所は凄いなぁ、と妙に感心しつつも沖田は土方を探した。
店内にはもう居ない。
どうして大人しくしていないんだ、と少々呆れつつも沖田は店を出ようと身体の向きを変えた。
その時だった。
何処からか、喧嘩だ、という叫び声が聞こえてきた。
―――まさか・・・
嫌な予感がする。
こういう嫌な予感は当たるもので、沖田が店の外に慌てて出て見ると、案の定台風の目になっているのは土方だった。
相手が一人だったら良かったが四、五人居る。
まさかこれを一人で相手しようと言うのだろうか。
土方よりも体格の良い男ばかりだ。
一体どこをどうしたらこんな短時間で面倒事に巻き込まれるのか。
沖田が取り巻きに紛れてハラハラしている間にもどんどん事が展開していく。
急いで助けなければ、と沖田が土方の方へ駆け寄ろうとした。
それを土方は目敏く見つけたらしい。
沖田のほうを見てニヤリと笑うと、また男達に視線を戻した。
笑ったと言う事は何か勝算があるのだろうか。
何だか、お前の出番は無いと言われている気分だ。
沖田が戸惑っている間にも、どんどん事は展開していく。
そしてついに男の一人が土方に殴りかかろうとした。
―――あっ!!
実際に土方が喧嘩をしているところは見た事無いのでつい目を反らしてしまった。
剣の事を考えるとあまり強そうには思えない。
しかしその沖田の心配とは全く逆であった。
沖田の耳に入ってきた悲鳴は土方のモノではなかった。
目をやると道に倒れていたのは相手の男の方だ。
―――もしや、弱い?
土方が強い、という考えより先に相手の方が弱いのでは無いかと思ってしまう。
だが、そういうワケでは無さそうだ。
見ていると、相手はそんなに強い方でもない。
かと言って弱いわけでもない。
そんな相手全員を土方は一人で片付けてしまった。
これには流石の沖田も感心せざるを得ない。
―――いつの間にこんな強くなって・・・
まるで年長者が幼子の成長を目の当たりにするような口ぶりだが、年長者は一応土方だ。
その土方は相手を全員のした事で、晴れ晴れしい表情をしていた。
普段はどんな時でももの静かなハズなのに、野次馬の歓声に気を良くして手まで振っている。
しかしそんな事をしている場合ではない。
「・・・って何してるんですかアナタは!!」
ようやく我に返った沖田が土方の傍に駆け寄って行った。
「総司、強くなっただろう?」
沖田は得意げにしている土方の腕を掴んで引きずって行く。
さっきの喧嘩の事で恨みでも買われたら、いや、もう買われているだろうがとりあえず面倒なので早いところ去るのが一番だ。
周りの人間に顔を覚えられて試衛館にまで辿りつかれても困るのはこっちである。
引きずっている間にも土方は得意げなセリフばかりを口にする。
「なぁ?お前だって見てただろう?」
「はいはい、強いです」
「ちゃんと聞けよ」
聞けよ、と言われても聞いている場合ではないのだ。
さっさと歩いて、例の場所から離れた茶屋へと入った。
通された部屋の障子をきっちりと閉める。
「どうしてああいう事をするんですか!!」
そう言うと土方は膨れて言い返してくる。
「良いじゃねぇか。怪我はしなかったし。それに俺の事馬鹿にして来やがった奴らが悪い」
「そういう問題じゃぁ無いんですよねぇ・・・」
普段はあまり起こらない沖田でも、こういう行動に出られると流石に腹立たしいものを感じてしまう。
「そんな事より、俺も強くなっただろう?」
「・・・強いのは解りましたから、もうああいう事はしないで下さい」
ろくに相手にしないまま沖田が畳に腰を落ちつけると、土方もその隣に座った。
「なぁ、俺だってお前に守られてばっかりじゃないんだぜ?」
そう言いながら、土方が沖田の顔を覗きこんでくる。
「総司が俺と遊べるように強くなったんだから、そこンとこ認めてくれよな」
「はい?」
沖田は急に自分の名前が出てきて少し驚いた。
何処を如何解釈すれば自分のためになるのかがよく解らない。
「それは如何いう・・・」
「お前の隣に居られるのは俺、って事だ」
土方の手が沖田の襟を掴んでぐっと顔を寄せた。
軽く唇に触れただけでまた離れる。
「はぁ・・・よく分からないんですけど・・・」
「それなら、それで良いさ」
意味は分からないが、土方が自分を好いてくれているという事実。
「僕も土方さんの隣に居たいです」
「そりゃそうだ。俺以外にお前と合う奴ぁ居ねーからな」
「言いますね」
今度は沖田から土方に啄むような接吻を仕掛けた。
「あ?昼間っからやるじゃねーか」
下から土方がからかうように言う。
「良いじゃ無いですか」
顔を上げた土方に、再度唇を重ねた。
軽くではなくて、深い口付け。
完全に畳の上に押し倒されている土方の体。
押し倒される時に支え代わりとしてあった沖田の腕が引き抜かれる。
その時に手が髪へと触れた。
髷も既に乱れていた。
また結わないと、と土方が思っている間に腹の辺りに沖田の手の感触を感じて目を閉じた。
沖田の唇が額、瞼、頬に戯れるように触れる。
その内、露出した肩にも口付けが施された。
口付けは、好きだ。
何故だかなんて解らないが、愛されていると言う気分に浸れる。
それを沖田も感じ取っているのか、いつも丹念にしてくれた。
沖田の手によって脱がされて行く。
白い肌に空気の流れを感じて、土方の頬が薄く桃色に染まった。
何度しても恥ずかしい事に変わりは無い。
露出した肌に沖田は手を這わせ、脇腹を撫でながら少しずつ上がっていく。
「・・・っぁ」
突起を摘まれ、小さく声が洩れた。
身体でも敏感な部分であるそこを指の腹で摘まれるだけで、馴らされた身体は反応してしまう。
最初の頃は触れられてもそんなに感じる事は無かったが、今ではちょっと触れられただけでも声が洩れるように変わっていた。
その事に少し恐怖もあるが、沖田となら、良いと思う。
沖田の指先が、さらに煽るように動いた。
尖った部分に爪がたてられる。
思わずぎゅっと目を強く瞑った。
痛みもあるが、痛みだけではない。
例えるならば甘いものに塩を混ぜるとさらに美味しさが引き出される、といった具合だ。
快感の中に痛みがある。
その痛みが土方を煽った。
「ん・・・んぅ・・・っぁあ・・・」
立ち上がった突起は刺激を与えられるたびに堅くなってしまった。
しかもその刺激は下肢まで直に伝わっていく。
まだ触れられていない足の間のモノまでが、既に形を変えている。
沖田には見えないだろうが、見なくても気付いているかもしれない。
いや、気付いているに違いない。
伊達に何度も身体を重ねているわけではないのだ。
恥ずかしさを感じていると、唇に沖田の感触を感じた。
薄く目を開くと、沖田の顔が間近にある。
誘うように唇も開いた。
唇の隙間から舌が差し入れられ、歯列をなぞる。
丹念に舐めてから、舌を絡めとられた。
夢中になって土方がそれに応えていると、口角から唾液が零れてしまう。
「・・・ん・・・はぁ・・・っ」
口付けを交わしながらも、沖田の手の動きは止まらない。
既に腰帯があるために辛うじて身体に引っ掛かっているという状態の衣服からは、脚のきわどい部分までもちらちらと見える。
太腿のきわどい部分を、触れるか触れないかの微妙な具合に撫で上げた。
ぞくぞくとしたモノが背筋を走りぬける。
足の間のモノを隠す布も取り払われ、ビクビクと震えるたびに体積を増して行くのが沖田にも見えていた。
ふいに額に沖田の額が当たった。
唇を離して、ギリギリの距離で沖田が土方に囁く。
「ココに・・・良いですか・・・?」
沖田の指が蕾の縁をなぞっている。
「ん・・・っく・・・」
綻んでいる蕾を指で押し広げ、中を掻き回す。
熟れた内壁はひくついて沖田の指に絡みついた。
土方の中心からとろり、と雫が零れる。
「あ・・・っぁあ・・・」
程なくしてそこから指は引き抜かれ、替わりに土方よりも熱くなった沖田のモノの先端が触れた。
「挿れますよ・・・」
先端を蕾が含む。
一番太い部分を含むと、太腿がびくりと震えた。
何度しても馴れない痛みがあるが、それでも気持ちが良い事に変わりは無い。
沖田の空いた手が土方の熱くなったそれに触れ、軽く扱く。
そこは扱く度にクチュ、と音を洩らした。
「・・・ん・・・ふぅ・・・っ」
沖田のものを深い部分まで受け入れる。
その熱を味わうように目を閉じ、土方は沖田の首筋にぎゅっとしがみ付いた。
「平気ですか」
「へ・・・いき・・・っ」
中の沖田が脈打っているのを感じる。
少し身じろぎすると土方の中心が沖田の身体に擦れた。
その感触がたまらなく、良い。
「ぁ、あ・・・っ」
ずっと繋がっていたいと思う。
自分の中に沖田が居る、と思えるこの瞬間が一番好きだ。
いっつも気恥ずかしいがために、意地ばっかり張って困らせて。
いつか沖田に愛想をつかされるのではないかと思うから尚更かもしれない。
しがみ付いた腕に力を込める。
「・・・ずっとこうしていたいのですが」
沖田も自分と同じなのかもしれない、と土方は思った。
「ぅん・・・っ」
「でも、そうはいきませんからね」
言い終わると同時に沖田が動き始める。
奥の方まで沖田の圧迫感を感じ、土方は息を呑む。
頭の芯までぼんやりしてきて、どうにかなってしまいそうだった。
堅いものが土方の一番敏感な部分を突き上げ、擦られる。
一旦ギリギリまで引き抜かれたかと、また突き上げてくる。
「・・・っあぁ・・・」
隙間なんて出来ないくらい、沖田のでいっぱいにして欲しい。
「――――――っ」
身体の中に熱い飛沫を感じて土方の背が撓った。
土方の下肢からも熱が弾ける。
荒い息を吐き出している間も沖田は中に居るままだ。
ここに居るのだ、と確認するように土方は沖田の背を撫でた。
好きだ、と朦朧とする意識の中で土方が呟くと、それに応えるかのように沖田の腕が土方の体を抱きすくめた。
「私も、好きですよ」
瞼に口付けをされる。
沖田の息を頬に感じた。
「好きだ・・・」
熱っぽい想いが胸を締める。
沖田の鼓動を感じながら、土方は息をついた。