LOVE CONCLUSION
池田屋の一件が広まった事により、武州から訪れて来る人間も増えたものである。
しかしその大概の者は隊士の前であるにも関わらず近藤や土方を呼び捨てにするので、正直悩みの種でしかなかった。
こうも礼儀知らずな奴が増えてくると、土方としても絶対誰一人として入れてやるものか、とムキになってくる。
そんな中、唯一土方の決意を覆した男が居た。
ある日、土方が仕事をしていると、小姓の隊士が自分を呼びに来た。
当時は頻繁にあった武州からの客人だ。
またか、と溜め息をつきながら腰をあげ、どうやって追い払おうか等と考えながら足を進める。
しかめ面で、なるべく無愛想に振舞おうと決意していた土方の口元が思わず緩んでしまったのは、その客人が土産として持って来た
あるモノを目にした時だった。
―――橋本家製沢庵。
橋本家は土方の祖母の実家でもある。
しかしそんな事実は土方にとってどうでも良い。重要なのはこの家で漬けた沢庵だ。
「これは・・・」
「ああ。歳さんが以前好きだと言っていたのを思い出してサ。持ってきたんだよ」
これで株を上げようと言う肚らしい。
土方の目の色が変わったのを見てニヤリとしたのだから、あからさまだ。
―――この男が隊に入りたいと言って来たらどうするか。
すぐさま土方の頭の中ではこの事について脳会議が催された――――議論するまでも無い。
「入れる」で満場一致だ。
そんな経緯で好物の沢庵を入手した土方は、早速自室に戻ってそれをどん、と机の上に置いた。
沢山貰ったわけではない。
もっと食べたいなぁと思わせるような量だ。
蓋を開けて中を覗き込んでは口角が緩む。
―――食べようかなぁ・・・?
中に手を伸ばしかけ、それを途中で止めた。
「・・・・・・・・・・」
そして彼は何を思ったか、その手で障子をがらりと開けると、丁度近くを通りかかった隊士に言いつけた。
「熱い茶を持って来てくれ」
突然そんな事を言われて驚いている隊士を無視して部屋の障子は再び閉まった。
ぴしゃりと閉まった障子の音を聞いて、ふと我に返った隊士が慌てて駆け出して行く。
その隊士の足音を聞きながら、土方がいそいそと沢庵の箱の周りを片付け始める。
書き途中の書簡も、机の上の沢庵以外のモノが容赦無くしまわれていく。
ようやく土方が片付け終わり、息を一つ吐いた頃、茶がやって来た。
失礼します、と廊下から声が掛かる。
「ああ」と返事をするが、頭の隅でふとある事に気付く。
今の声は先刻自分が頼んだ隊士の声ではない。
―――よもやこの声は・・・っ
静かに開かれた障子の向こうに膝を着いて茶の乗った盆を持っているのは斎藤だ。
思わず土方が「げ」と声を漏らしたのに気付いた筈だが、それに構わず部屋に入ってくる。
「何処に置きましょうか」
斎藤がちらりと片付けられた机上に目をやる。
箱が乗っているものの、いかにもここに置いてくれと言わんばかりに整然としていた。
「あ、あ・・・もう後は俺がやるから退がってくれ」
斎藤を追い出そうとするが、上手くはいかない。
「いえ、私がやりますよ」
と言って斎藤も退こうとはしない。
口元に質が良いとは言えない笑みをひっそりと漂わせている事から、何故土方が茶を所望したかは既にバレていそうだ。
それを判っていてしつこく留まっているのに違いない。
「だから良いって言ってるじゃねぇか!コレ以上しつこいと切腹だぞ!」
特権(?)濫用とはまさにこの事。
しかし斎藤の反応はそれをモノともしない反応であった。
「ンな横暴な。そんな事を言ったらあなたの方こそ士道不覚悟ですね!」
「何・・・っ!?」
斎藤の顔を見ると相変わらずの不敵な笑みを浮かべている。
そんな笑い方をされるとどこぞの悪党みたいだった。
「あなたはその沢庵につられて先刻一人の男を仮入隊させたでしょう?局長にも言わずに」
「そ・・・それは・・・あの男の熱意に押されて、だ」
「そうですか。まぁそれはそれとしてもですね、アナタは今その沢庵を独り占めしたいが為に私を追い出そうとしていますね!
なんともケチくさい!コレが男児のやる事ですか!?」
ケチくさい、という科白に土方は少なからずむっとする。
そして自分より背のある斎藤を下から覗きこむように睨み付けた。
「そう言うがな、良いか?アレをそこいらの沢庵と一緒にするんじゃねぇ!格が違うんだよ、格が。お前は食べた事無いから判らないだろうけどな」
「じゃぁ下さいよ」
「・・・お前にやるのは勿体無い」
「そんな・・・」
一切れもくれないのですか、と問うた斎藤に土方はにっこりと笑って返してやった。
「当たり前だ」
清々しいくらいに土方が言い切る。
しかし嫌と言われれば言われるほど、なんとしてでも、と思ってしまうのが人であった。
斎藤の場合も例外ではない。
もしこれが、相手が土方で無かったら程よく手を引いたかもしれない。
しかし彼の場合ならば、からかうと意外と面白い反応が返って来るのを斎藤は今までの経験上判っていたからついつい気合が入ってしまう。
「良いじゃないですか。貴方だって私と何か食べている時は容赦無く私の分をかっさらっていくでしょう?」
「あれとこれとは別だ!」
とても別とは思えないが、徹底抗戦の姿勢だけは感じられる。
ダメだ、と拒否しつづける土方との距離を、斎藤はより一層縮めていった。
勿論、茶が零れるといけないので、湯のみはすぐそこにある沢庵の隣に避難させてからである。
そこら辺はしっかりとした男だった。
それは置いておいて、斎藤が近寄ってくるにつれて土方も少し後退し、沢庵と茶の乗った机の真横まで追い詰められる。
「馬鹿!やめろって言ってるだろうが・・・っあ!沢庵が!箱が!落ちるじゃねぇか・・・」
「だから大人しく私に一切れ下されば良いんですってば」
沢庵のすぐ傍でぎゃぁぎゃぁと押問答を続ける二人。
迫り来る斎藤の体を土方が押しのけようとした時だった。
押しのけようとする腕の動きと共に袖も動き、その袖が茶の入った湯のみを掠めた。
と同時に湯のみが倒れ、土方の膝の辺りにばしゃっとかかった。
「ぅ――――――――――っ!!!!!???」
「!!」
思わぬ事態に土方があわあわとしていると、さらに悪い事に沢庵の入った箱までもがあわあわしている袖に引っ掛かり、ひっくり返った。
「げっ!」
ぼたぼたと落ちて行く沢庵の行き着く先は茶溜り、濡れた畳の上だ。
「旨味成分がぁ・・・・・・・!!!」
茶の中に溶け出して行く旨味成分を想って土方が悲痛な声をあげる。
それに比べて斎藤と言えば口元がひくひくとしている御様子だ。
笑いたいが、必死に笑いを堪えている。
そんな様子がバレバレだった。
とりあえず今のところ、責任の「せ」の字も感じていないのは確かなようである。
しかし余裕なのは今のうちだけだった。
衝撃のあまり、呆然と沢庵を見つめていた土方だったが、ようやく自我が戻り、事故の原因を生み出したとも言える人物の
胸倉をぐいと掴んで引き寄せた。
その目にはいつにも増して殺気が宿っている。
予想以上の土方の怒りっぷりに斎藤の笑いも流石に引っ込む。
「・・・っざけやがって!!」
大きい声で怒鳴るのではなくて、腹の底から搾り出したような声。
こういう声の方が恐ろしいものだ。
「もうお前は2度と俺の部屋に来るな!むしろもう俺の前に現れるな!今度俺の視界に入ったら斬り殺してやるからなっ」
さんざん恐怖の科白を聞かされた後、斎藤は反論する間も無いまま部屋を放り出されたのだった。
薄い筈の障子がこんなに厚く感じられたのは初めてかもしれない。
例の沢庵転落茶漬事件から既に三日が経っている。
今日は土方は非番だ。
どうも憂鬱なので気分転換がてら屯所をふらりと抜け出した。
憂鬱、と言うか気が晴れない原因は言うまでも無い。
斎藤のことが気がかりで仕方なかった。
あれ以来、彼の姿を屯所内で見かけた事は一度も無い。
土方が彼を見つける前に彼の方が先に土方を見付けて、避けているのかもしれなかった。
そうでなければこの広くは無い屯所内で三日間、出張でもないのに会わないなんて事は無いだろう。
土方の怒りは、本当はとうに収まっていた。
しかし、ここまで避けられるとそれに対して新たな怒りが込み上げてくる。
土方は斎藤を部屋から追い出してすぐに後悔しはじめたのだ。
茶まみれになった沢庵を試しに一切れ齧ってみた時、案外味が変わっていないのに気付いて、言いすぎてしまったと早くも後悔したのだった。
しかし謝ろうにも、生憎素直に謝れるような性格は持ち合わせていなかった。
―――アイツから謝ってくるなんて事はないかなぁ・・・
土方も悪いが斎藤もふざけ過ぎていた。
本人にその自覚があれば謝ってくる可能性はある。
しかし仮に彼が自覚していたとしても、土方の怒りを目の当たりにして訪れてくる勇気があるかと言う事が問題だ。
命の危機を感じて寄ってこない可能性が非常に高い。
土方は深い溜め息をついて頭を軽く振った。
あくまでも気分転換のつもりで出てきたのだ。
くだらない事を考えるのはよそうと土方は天下の公道を行く。
行く、と言っても目的地は無い。
ただふらふら歩いているだけだ。
その途中、いくつか寺社の前を通りすぎた。
人が居なくて閑散としている所もあれば、子供達が寒さにも負けず遊んでいる所もある。
風に乗って子供達のはしゃいでいる声が土方の耳にまで届いた。
そう言えば、あんなに素晴らしいくらいにくだらない事で他人と喧嘩をしたのは子供の時以来かもしれない。
昔は喧嘩をしたとしても子供の事だ、数日経てば謝らずともいつの間にか仲直りなんて業も出来た。
―――・・・・・・・・・・・・・・ありえねぇ。
今はそんなに都合よく行くわけが無かった。
一回不仲になった相手とは一生そのままなんて事も有り得る。
それだけは避けたいところだが、素直に謝る以外これと言って良い案が浮かぶわけでもなかった。
―――・・・・ていうか、大体なんで俺がこんなに悩まなきゃいけないんだ!?
発案に行き詰まった所で、また斎藤に対して怒りがこみ上げてきた。
最終的に、悪ノリしてきた斎藤が悪いという結論に至る。
きっと今斎藤に謝られたって許さない。許せない。
「くそ!」
憂さ晴らし、と称して足元の小石を思いきり蹴飛ばす事しかできない土方だった。
土方が一人でもやもやしたものを感じている頃、もう一人の当事者斎藤も迷っていた。
あの後すぐに謝ろうかと思ったが、もし自分が顔を出せば余計に怒りを煽るかもしれないと出来ずに居たのだ。
しかし、いつかは自分から行かないとずっとこのままな気もする。
土方の性格を考えると素直に謝ってくる可能性は非常に低かった。
怒りが冷めた頃に、と思わなくも無かったが、それではきっと遅い。
逆に今頃来たって遅いんだよと突っ撥ねられそうだ。
―――今からあの沢庵を武州から持って来てもらうわけにもいかないしな・・・
仮に持って来てもらおうとしても、その際にはあの男―――斎藤にとってはこの男こそ元凶と言える沢庵持参男―――を介して
でなくてはいけないだろう。
「ああ・・」
斎藤が小さくうめくと、前に居た隊士―――そう、斎藤は非番ではないのだ。前に居た隊士が斎藤の方を振り返ってどうしたのかと訊ねて来た。
「大した事では無いサ」
「そうですか。しかしそれにしても、この頃溜め息が多いようですね」
皆見ていないようで実は良く見ているものだ。
斎藤は苦笑する。
自覚しているよりも本当はもっと自分は気にしているらしかった。
これは早期解決しないと周りにも心配をかけてしまいそうだ。
やはり意を決して自分から謝るしかないと悟った斎藤だった。
決意した斎藤とは対照的に、小石を蹴飛ばすくらいしか出来ない土方は、寒さに耐え兼ねて手を擦った。
日は高いが、この時期は寒い。
どこか店にでも入ろうか、と考えた時。
道の先からいかにも悪党です、と言わんばかりの集団―――と言っても4、5人―――が歩いてきた。
なんとなく嫌な予感がしつつも、歩みを止めずにいると、やはりタチの良いモノでないのが分かる。
集団の横を通り過ぎようとした時、急に相手の一人の体が土方の方にぐっと近寄り、どんと肩からぶつかってきた。
嫌な予感が的中し、土方が面倒そうにそちらへ目をやる。
相手はどうやら自分で鬱憤を晴らしたいらしい事が土方には判った。
「何しやがる」
少々呂律の回らないところを見ると、昼間から酒でも飲んでいるのか、もしくは夜通し飲んでいた酒がまだ抜けないのか。
「当たってきたのはアンタの方だろう」
自分よりも背のある相手だが、土方も負けじと眼で応戦する。
当ててきた男以外はニヤニヤと品の無い笑いを浮かべ、土方の前へと立ちふさがった。
人数的にも体格的にも非常に土方が不利だったが、退くわけにはいかない。
「・・・俺を新選組の土方と知ってのことか?今なら見逃してやらないこともないぞ」
最近はコレがとっておきの台詞である。
小心な奴らなら、「新選組」の名前を出すだけで逃げて行くから便利なのだ。
が、残念な事にこの目の前の輩どもはそうはいかなかった。むしろ逆に煽ってしまっただけらしい。
「新選組だか何だか知らねぇが、ぶった斬ってやるぁ!!」
そう叫ぶやいなや、いきなり太刀を抜いて襲ってきたからたまらない。
ギリギリの所でソレを交わし、足払いをかけると頭から相手が倒れて行った。
そして今気付いたのだが、せめてもの救いは酔っている為に相手が実力の半分も出し切れていないらしいという事だった。
しかしそれでもまだ土方が不利な状況に変わり無い。
一人が抜刀した事によって他の全員も抜いたのだ。
ち、と舌打ちしながら土方が体を少し引いたところにまた一人斬りかかってくる。
土方も抜刀し、これは容易く斬り下げる。
血煙を立てて倒れて行く相手の体を視界の隅に捕らえた。
これでさらに相手を刺激してしまったという事は判ったが、かといってどうしようもない。
奇声を発しながらまた別の男が襲いかかってくる。
下手をしたら囲まれてしまう危険性が大だ。
いくら新選組副長と言えど、沖田や永倉、斎藤達のように剣の腕がずば抜けていると言う訳でもないので正直しんどい所であった。
退けないまま男たちの相手をしていると、相手の肩越しに見慣れた集団が見えた。
―――そう言えば!!
土方は思い出した。
丁度この地区は斎藤の隊が見回っている地区の筈だ。
日頃の行いが良いわけでもなく、信心深いワケでもないが、素晴らしいくらいに都合が良い。
見慣れた集団もこちらの騒ぎに気付いたようで、走り寄って来る。
「何をしている!?」
その声で相手の男たちも気付いたらしい。
流石に慌てて逃げ出そうとするが、そこはそれ、普段から鍛錬を怠っていない新選組なので、あっさりと捕まってしまった。
血刀を片手に握り締め、その始終を見ていた土方の元へ斎藤が歩み寄ってくる。
「血が付いてますよ」
言われてみると、袖の辺りや主に上半身に返り血を浴びていた。
黒系の羽織だからよく見ないと気付かないが、一旦気付くとやけに気になってくるものだ。
それを知ってか知らずか、斎藤は自分の着ていた羽織を脱いで土方に渡す。
「・・・申し訳ありませんでした・・・」
土方が斎藤の羽織を受け取った時、そう斎藤が言った。
「何がだ」
ぶすっとしかめ面をした土方は斎藤に問う。
「この間の事」
「ふん」
今更遅いんだよ、と言いつつも、土方は渡された羽織の袖にしっかりと腕を通した。
「だからこうして謝ってるじゃないですか」
許して下さいヨ、と必死に頭を下げる斎藤と、それを不て腐れながら見ている土方。
その間には本人達は気付かない程度に、桃色な空気が漂い始めていた。
だから、急に漂い始めた何とも言えない空気の所為で、傍らの隊士が天を仰いだり胸を掻き毟っている事など二人が気付くわけも無かった。
月が闇の中で輝いている頃、二人は既に屯所に在った。
あれから斎藤はずっと頭を下げっぱなしで、ようやく土方のお許しが出たのだ。
もう既に土方の責任が問われるわけが無かった。
そして。
土方の部屋からは二人分の声が時折漏れてくる。
「・・・・・・っぁ」
ぼんやりとした明りが一つ灯っているだけの部屋に敷かれた布団の中で戯れていた。
白い土方の肢体には斎藤の体が覆い被さり、その斎藤の手が忙しなく動いている。
「何だか久しぶりですね?」
「・・・っん、そうだな・・・すげぇ禁欲生活だったな・・・」
そう土方が言った途端、中心を握り込まれ、思わず腰が退いた。
「禁欲?貴方が遊郭に他の幹部達と繰り出して行ったのを私は知ってるんですから」
責めるように爪をギリギリと立てられる。
それを阻止するように土方は斎藤の手に自分の手を重ねるが、止められるわけが無かった。
「それでも禁欲と言いますか」
「お前だってそんなモンだろうが・・・っぁ・・・」
言い返す度にそこを責められる。
どうせ阻めないんだと土方は、諦めて重ねていた手をずらすと、指に濡れたものが付いていた。
斎藤の手に付いていたものが自分の手にも付いたのだろう。
充分に堅く、熱くなってしまったそこからは白濁の液が止めど無くこぼれていく。
体の芯が疼いて堪えられそうに無い。
「・・・なあ」
上から自分の体を思い通りに弄っている斎藤の頬に手を伸ばして添えた。
それだけで何を欲しているか判るだろうに、斎藤はあえて何も言わない。
土方がはっきりと言うまで与えないつもりらしかった。
「やはり、自分の思っている事を言うのは大変だって判ったでしょう?でも大変だからと言って言わないのはどうかと思いますね」
「・・・だから何だよ」
「何が欲しいのか言えば良いだけですよ」
強気な態度だ。
その態度に腹立たしいものを感じなくも無いが、やはり体の欲求は無視できない。
仕方なく土方は腕を斎藤の首に巻き付け、彼の耳元に唇を寄せた。
斎藤でさえ聞き取るのがやっとくらいの声で、自分の欲求を告げる。
それを聞いた斎藤は、土方の脚に手をかけ、大きく広げさせた。
曝された碑部に指を添え、中を充分にほぐす。
指を動かすたびに内壁が指に絡み付いてくるようで、濡れたいやらしい音までたてている。
耐えられないと言うように土方がぎゅっと目を瞑り、手がしっかりと布団を握り締めているのが見えた。
程無くして斎藤は指を引き抜き、変わりに怒張した自信を挿入する。
土方の口からは甘い悲鳴が漏れた。
ゆっくりと腰を進めて行くと、指の時と同様に絡み付いくる。
すぐにでも放ってしまいたいと思ったが、それをぐっと堪えて貫いた。
「・・・っんん・・・」
イイところに擦り付けようと揺れた土方の腰の動きを制し、悦ぶところを突いてやる。
土方の喉が仰け反った。
粟立っている彼の肌に目をやって、胸の突起に手を伸ばす。
「ココを弄るとね、よく締まるって知ってました?」
からかい口調でそれを摘み上げると、斎藤の言う通りに嬌声が洩れるだけではなかった。
「貴方も日頃からこれくらい素直だと良いんですけどね」
そう言ってから、最奥まで一気に貫く。
「―――――・・・・・あぁっ」
小さく声を洩らした土方に次いで、斎藤も欲望を吐き出したのだった。
隣で寝息を立てている土方を見て斎藤は思う。
もっと素直な方が良いと言ったけれど。
素直でないから彼であって、素直でないから逆に可愛いのだ。