散歩日和
「良い天気ですねー」
「そーだな」
ぽつりと呟いてみた言葉は、これ以上適当という言葉が似合うものはない!と断言出来そうな声で返された。
それでも
「散歩日和ですねー」
更に呟くと
「俺はこの天気の時には出歩きてぇとは思えん」
・・・変な所に引っ掛かりますね、土方さん
「何故ですか?」
「日射しが暑い」
そんな一言で会話を終わらせると、土方は軽く目を閉じた。
暑いって・・・冬の時もですか?
「それでは雨の日の方がお好きですか?」
かなり意外、と山崎が驚いていると
「雨も嫌いだ。わざわざ濡れに行くこたぁねぇ」
・・・濡れない為に傘と言うものがあるんですよ?土方さん
「では曇り・・・」
「鬱陶しいのは一番嫌いだ」
・・・我が儘ですね、土方さん・・・
「どうせ歩くなら」
「晴れた、夜の方が良い」
・・・ああ、そうか
確かに、暗闇の中。月明りに照らされて。
何の目的も持たず
何の意図も帯びず
ただ、思うままに
自分の意思に従って進むこの人は、どんなに美しく映えるだろう。
「邪魔なやつの掃除も一緒に出来るしな」
正に一石二鳥。
「・・・」
それでも良いんです。貴方はそれでも美しいのでしょうから。
「その時は、お供して宜しいですか」
「ダメだ。俺は一人が良い」
その日から、土方が夜中にふらりと出ていく時。
必ず、ちょうど三尺離れた所を人影が追って行ったと言う。