愛のままに我侭に
何をしていても蝉の鳴き声が耳につく。
この暑さと蝉のうるさすぎる鳴き声の所為で苛々する事が多かったけど、今日はそんな事は全然無い。
土方の少し前を歩いているのは新選組副長助勤の斉藤一だ。
斉藤が珍しく外で一緒に食事をしようと声を掛けてきたので屯所を抜け出し、炎天下の下を2人並んで歩いている。
久しく2人きりで出かける機会が無かった分、土方の心は弾んだ。
しかも今日は斉藤から声を掛けてきたのだ。
いつもならば土方が誘わないと2人で出かける事が無かったので、少し不安に感じていたところだった。
―――もしかしたら、俺の事もう好きじゃないのかって思ってたけど・・・
どうやらまだ好きで居てくれるらしい。
お互いを好き合ってから大分経つが、未だに斉藤が何を考えているかなんて分からない。
斉藤はいつもどこか冷めていて、あまり感情を見せる方ではなかった。
何を考えているのかを判断するのは難しい。
冷めているからあまり構わない方が良いのか、とさえ土方はたまに思う。
だからあまり2人でベタベタとくっつく事も無かった。
「なぁ、どこで食べるんだ?」
「もう少しですから」
答えになってない答えを返すと斉藤はまた歩みを早める。
どうやら斉藤はもう入る店を決めているらしかった。
何も言わずに店を目指してただひたすら歩く斉藤。
その後ろに続く土方。
そう言えばさき程から会話が無い事に土方は気付いた。
いつもなら自然と会話が弾むが、今日は話を振ってもすぐに終わってしまう。
暑いはずなのに水を掛けられたように一気に体が冷たくなるのを土方は感じた。
斉藤が食事に誘ってくれたという珍しい出来事と。
斉藤はいつもどこか冷めている事実。
―――まさか・・・まさかとは思うが・・・
今日斉藤が食事に誘ってくれたのは一緒に居たいとかそういう理由じゃなくて。
―――別れ話を切り出すため、とか・・・!?
それで何かとざわついている屯所を抜け出したのだろうか。
その可能性が否定できないだけに怖かった。
思わず斉藤の背中を見るが、見たところで何も分かるわけはない。
―――店に着かなければ良いのに・・・っ
そんな土方の思いとは裏腹に、店がずらりと並んだ通りに出てしまった。
斉藤がどの店を目指しているのか分からないから、ずっとドキドキしっぱなしだ。
多分聞いてもさっきみたいにまた曖昧な答えが帰ってくるに違いない。
そんな事を思いながら歩いているとふいに目の前の斉藤が止まった。
「ここの店に入りませんか」
「蕎麦屋・・・?」
土方は斉藤が蕎麦好きだった事を思い出した。
たまに2人で出かけて外で食事をする時は必ずと言って良いほど蕎麦屋に入る。
特に土方も入りたい店があると言うワケではないから全て斉藤に任せるのだ。
「嫌ですか?」
「嫌ではないが・・・」
むしろ蕎麦屋だろうが何だろうが嫌だ。
しかし嫌ではないと聞くとスグに斉藤は店の暖簾をくぐって中へと入って行ってしまった。
何か急いでいるような感じがする。
―――そんなに俺と早く別れたいのかよ・・・っ!
ここまで来るとむしろ腹立たしく思えてきた。
―――絶対別れる時は俺から切り出してやるからな!!
だばだばしつつも斉藤の後を追いかけ、用意された座敷へと入れられた。
襖を閉め、斉藤と向き合って座ると何やら気まずい空気が流れ始めるのが分かる。
「何食べます?」
言いながら置かれていたお品書きを渡してくれるのに優しさを感じて土方は嬉しくなった。
―――ってもしやこれは最後の優しさ!?
何でも無い事で嫌な事ばかり連想してしまう。
「何にしよっかなー・・・」
注文し終えてから蕎麦が来るまでがとても気まずくなるのは簡単に予想できる。
こうやって品書きを見ている間だけは斉藤を気にしなくて済むので、土方は軽口を叩きながらなるべく時間をかけて選ぼうとした。
「これはどうです?最近暑かったからあまり食べてないでしょう?これだったら栄養もですね・・・」
斉藤が身を乗り出して、店の人間の如く説明を始める。
こういう時だけ普段の冷静さは無くなるようだ。
結局、土方は勢いに気圧されて、あっさりと斉藤お勧めの一品を注文してしまう事となった。
―――早・・・
当初の予定より大分早く注文を終えてしまった。
はやく蕎麦が運ばれてこないだろうか。
それだけを願う。
この沈黙が嫌だった。
普段ならば気軽に話し掛けれるが、今日ばかりは話しかける気にもならない。
仮に場を盛り上げようと話しかけたとして、それは一体斉藤の目にどう映るのか。
―――滑稽、なんだろうなぁ・・・
土方の気分は沈む一方だ。
蕎麦はまだかと少し苛々しながら待っていると、ふいに斉藤が沈黙を破った。
「あの・・・」
「何だ?」
ついに来たか、と思って土方が体を強張らせる。
「襟、曲がってますけど」
何を言われるかと思いきや、そんなどうでも良い事を言われて思わずガックリきた土方だった。
「・・・・・・」
「いつもきちっとしてるのに・・・、今日は何か変ですよ?」
変なのはお前の方だ、と思わなくも無かったがそれは言わないでおく。
「別に。いつもと変わりねぇよ」
襟をびしっと正しながら土方が答える。
しかしいつもと変わり無いワケがない。
「お待たせ致しました」
ようやく蕎麦が運ばれてきた。
「ここの店は速いでしょう?」
斉藤が嬉しそうに言って来た。
「速いだけじゃないんですよ。美味いし安いし。最近発見した店なのですが、よく来るんです」
「そうかよ・・・」
この店に良く来ているとは知らなかった。
一人で来るのか、それとも他の人間と来るのだろうか。
他の人間と歩く斎藤の姿を連想しただけでとても嫌な感じがする。
そんな事を考えているとは知らない女は、土方の前に蕎麦を置いた。
「そう言えばこのお蕎麦、斉藤様がダンナに提案なさったものでしたよね」
女中が斉藤の名を知っていたのにも驚いたが、何よりそのセリフに驚いた。
「!?斉藤・・・ッ!?」
「・・・何度か足を運ぶうちにすっかり主人と親しくなりまして。それでですね・・・」
全く飽きれるくらいの蕎麦好きだと言う事を思い知らされて土方は溜め息が出た。
「でも斉藤様、本当の目的は蕎麦じゃなくて“千代”なのではないのですか?」
「全く何言ってるんですか。いつも違うって言ってるでしょう」
「千代・・・?」
斉藤をからかうような女の声に土方はぴくっと反応した。
土方が不審気にそう呟くと、女中は可笑しそうに教えてくれた。
「ええ、この店で働いている娘でして。そりゃぁもう斉藤様と仲が良く・・・」
「仲が良く・・・?」
土方は思わず尖った声を出してしまった。
「斉藤、そんな娘がいるのか」
店の人間の前だからなんとか必死に押さえているが、それでも声に怒気がにじみ出るのは仕方ない。
「居ますけど・・・」
「・・・・・・」
「私はこれで下がらせて頂きますので、ごゆるりとお寛ぎ下さいませ」
女中は急に険悪になった空気を感じてさっさと座敷を出て行った。
襖が閉まる。
それと同時に。
「ふざけるのもいい加減にしやがれッ!」
音を立てて土方が立ちあがった。
「もうお前とは金輪際仕事以外で関係は持ちたくねぇッ!もう俺ぁ帰るッ!」
「え・・・は・・・!?蕎麦が・・・ッ」
立ち上がる土方の足首を慌てて斉藤が掴んだ。
「うわ・・・ッ!」
そしていきなり掴まれたものだから土方の体が前につんのめる。
体を支えようと襖に手を付いたが襖はそんなに強いモノではない。
あっさりと枠を外れ、そのまま派手な音を立てて廊下へと倒れ込んだ。
「ぐ・・・ッ」
頭を軽く振って周りを見ると他の客全員がこっちを見ているのが分かった。
自然、土方の顔が朱に染まって行く。
「も・・・、申し訳ない・・・ッ」
それが精一杯の言葉だった。
しばらく沈黙が店を支配していたが、すぐに笑いが巻き起こる。
穴があったら入りたいとはまさにこの事だ。
後ろの斉藤も笑っているようで、くすくすと笑い声が聞こえた。
誰の所為だよ、と斉藤を睨み付けると足首をぐいっと引っ張られ土方を座敷に引っ張り込む。
座敷に引っ張りこまれた土方の替わりに斉藤は手際良く襖を元に戻した。
そして何事も無かったかのようにすすーっ、と襖を閉じてしまう。
「恥ずかしい人ですね・・・」
「おめぇが急に引っ張るからだよっ」
そのままべたっと倒れたままの土方の体を再度引っ張っていく、
そして斉藤があぐらを掻いて、その足の間に土方を座らせた。
後ろから抱き付かれているみたいな体勢だ。
「嫌だなんて言わないで、蕎麦一緒に食べましょ?」
「やだ」
「またそんな拗ねて・・・だから何も無いって言ってるじゃないですか」
「嘘だ・・・ッ!」
きっ、と斉藤を睨み付けて胸のもやもやを言葉にして吐き出した。
「お前、その女が好きになったから俺の事はもう捨てるんだろ・・・ッ!?だったらはっきりそう言えよッ!!
俺と別れたいって言えば良いじゃないか・・・ッ!」
「捨てるってそんな・・・俺が土方さんをですか?」
斉藤が目を細めて訊ねてくる。
土方がこくり、と頷くと斉藤がぷっと吹き出した。
「そんなワケないでしょうが。一体どうしてそういう事思いつくんですかねぇ・・・この頭は」
斉藤が土方の頭に顎を乗せる。
「だって・・・今日お前変だったじゃないか・・・いつもは食事になんて誘ってくれないのに・・・」
「それはこの蕎麦を食べて欲しかったからですよ。やっぱり自分の考えたものですから、すぐにでもあなたに食べて欲しかったんです」
「じゃぁどうして今日は来る途中口数少なかったんだよ・・・!・・・いや、いつも少ないけど・・・今日は比較的少なかった!」
「あぁ――――」
少し間をおいてから斉藤が言った。
「それはこの蕎麦を食べてからお話しする事にしましょうか」
思いっきりもったいぶってまた斉藤が蕎麦へと箸を伸ばす。
「・・・ってこの体勢のまま食べる気かよ。俺はともかくお前は食べにくそうだが・・・」
「むしろ俺はこのままが良いんです」
「・・・このくそ暑い日にようやるわ・・・」
土方は呆れながらも斉藤に続いて蕎麦を近くに寄せた。
斉藤が考案したものらしいが、今はゆっくり味わっている暇は無い。
早く食べて理由を聞きたい。
ろくに噛みもせずずるずると蕎麦を飲みこんでいった。
「・・・もう少し味わっていただけると嬉しいのですが」
「うるさいな。俺の事はイイからお前もさっさと食べろよ」
斉藤を急かしつつ土方も記録を打ち出せそうな速さで蕎麦を食す。
その結果あっと言う間に蕎麦を完食した土方。
斉藤はどれくらい食べたかと思って丼を覗きこむと、嫌味なくらいに沢山残っている。
「げッ!お前まだそんなに残ってるのかよッ!」
半分くらい残っている。
「あなたが食べるの早すぎるんですよ・・・」
折角急いで食べたのにあまり意味の無かった事を悟った土方は。
「俺も食ってやろっかー」
斉藤が良いとも悪いとも言わないうちに、箸で丼の中を引っ掻き回し始める。
「!!やめて下さいって・・・ッ!」
慌てて斉藤が蕎麦を死守しようとするが、既に数本土方に掻っ攫われていた。
「お前が早く食べないのが悪いんだろ!?」
蕎麦の攻防戦は続く。
「俺が食べながら話しますからやめて下さい!」
攻防戦の果て、ついに斉藤がそう叫んだ。
「最初からそうしてりゃぁ良いのによ」
土方は丼から箸を引っ込め、口に咥えながら斎藤に体を預ける。
「で、何?」
「実はですね・・・」
斉藤が箸で蕎麦を掬いながら続けた。
「コレ、買ったんですよ」
懐から何かを取り出して土方の手に握らせる。
「何コレ?」
「自分で見て下さいよ」
手を開き、包を取って中を見ると。
「煙管?」
「本当はもっと気の利いたものにしたかったのですが。どうもこういう事には慣れてなくて」
「俺にくれるのか?」
「どうぞ」
斉藤の顔を見るとちょっと目元が赤くなっているのが見える。
「お前これだけの事で照れてたんだ!?」
斉藤はそれに対して何も答えず汁を啜っているだけだ。
しかしその態度が何よりの答えに思える。
―――つまり渡すだけでうろたえてたって事か・・・!!
確かに斉藤はあまりそういう事はしなさそうだ。
それだけ免疫が無いと言う事だろう。
「斉藤・・・っ」
正面から土方ががばっと抱きついた。
同時に汁が跳ねるがそんな事は気にしない。
「何ですか突然」
「お前って結構可愛いとこあるんだなー。いつも年齢ごまかしてるんじゃないかってくらい落ち着いてるけどやっぱりまだまだお坊ちゃんだな」
「・・・あなたに言われたく無いですよ」
そう言い返しては来るが、斎藤の鼓動が激しくなっているのが伝わってくる。
「お前の心臓バクバクしてらぁ・・・」
しばらくはそうやって斉藤の胸に耳を当てていると、ふいに丼を置く音がした。
「食べ終わったのか」
丼を見れば汁が残っている。
外で乱闘が起きようと、過激尊攘派浪士がうろついていても、いつもならば全部飲んでいるのに。
「まだ残ってるぞ?」
「もう良いんです」
ちょっと心残りのありそうな響きを副んだ声で言うと、斉藤は土方の体を抱き締めた。
「こうやってると、蕎麦より土方さんって感じになってきますよね」
蕎麦と比べられて微妙な感じはするが、斉藤が自分を欲していると知ると土方は嬉しくてたまらなくなる。
「蕎麦より美味いって事は保証するぜ?」
「それなら遠慮無くいただきましょうか」
斉藤の手が土方の髪を優しく撫でる。
まだ何をされているわけでもないのに、土方の頬が火照って行く。
触られているだけでも幸せだった。
圧し掛かってくる斉藤の圧迫感が心地よい。
土方の衣服はほとんど剥ぎ取られてしまっていて、辛うじて腰のあたりの解けかけた帯に引っ掛かっているという状態だ。
首筋に顔を埋めながらも斉藤の指が土方の肌の上で滑り、弱い箇所を確実に攻めていく。
首筋にちり、と痛みが走って痕を付けられたのが分かった。
多分角度によっては人に見えてしまうようなところだ。
目敏い人間が新選組には多いから屯所にすぐにバレてしまうかもしれない。
―――それでも良いや・・・
自分が斎藤のものだという印を付けて欲しかった。
「さいと・・・っ」
唇で印をつけながらも、指は胸の突起に触れる。
しばらくは触れるか触れないかの微妙な具合に指を動かしていたが、突然きゅっと摘まれた。
「っぁ・・・あ・・・」
摘まれて爪を立てられると体がビクリと震えた。
潰すように弄られる度に腰まで甘い刺激が走りぬける。
「ここ、好きですよね・・・」
斉藤は可笑しそうに言いながら、執拗にそこを刺激した。
「や・・・っぁ、あ・・・っんん」
逃れようと体を捻るが上から圧し掛かられているためにそれは叶わない。
早くも土方の足の間のモノが反応し始めている。
熱がそこに集まり、頭を擡げ始めていた。
「両方可愛がってあげないと寂しいでしょう?」
そう言って首から顔を上げ、唇で突起に吸いついた。
「あ・・・っぅ、んん・・・っ」
思いっきり吸われたために上げてしまった声を聞き、斉藤はますます調子付く。
「声、もっと聞かせてくださいよ・・・」
「ん・・・馬鹿、喋らな・・・っ」
斉藤が喋る度に歯が当たり、それがまた新たな刺激を生んだ。
この男の事だからそれを承知の上で喋っているに違いない。
「も・・・っやだ・・・」
突起を舐められるたびに濡れた音が耳をくすぐる。
そこを執拗に嬲られ、土方は悲鳴とも嬌声ともつかない声を洩らしてしまう。
斉藤は突起を弄っていた指をずらし、下へと這わせて行った。
脇腹の弱い部分を撫で脚を優しく撫で上げる。
「ぅ、ん・・・んん・・・っ」
きわどい部分をなぞられ震えがくる。
気持ち良い事は気持ちよいが、もっと強い刺激が欲しい。
欲求は強くなる一方だ。
そんな土方の心の内を読んだかのように、熱くなった中心をゆっくりなぞる。
反射的に腰をひねると、それをとがめるかのように胸の突起に歯を立てられた。
すでに硬いそこにさらに熱が流れこんで行く。
「もう濡れてるじゃないですか・・・」
「ん・・・ん・・・っ」
さっきから斉藤は軽くそこに触れるだけだ。
いつもならばすぐにでもイってしまいそうな刺激を与えてくれるが、今日はそうではない。
触られているのに全然物足りない刺激しか与えてくれなかった。
「っゃ、・・・ぁ、さいと・・・っ」
―――もっと強く扱いて欲しい・・・
しかしそれを口にするのには抵抗があった。
いくら何度も肌を重ねたと言っても恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
斉藤は弱い刺激しか与えず、わざと土方をイかせないようにしているようだった。
「ぁ・・っぁあ、ん・・・もっと・・・っ」
腰の熱い塊を放ってしまいたくて途中まで言うが、やはり最後までは言えない。
「もっと何ですか・・・?」
「・・・っぁ・・・や・・・っ」
「啼いてばかりじゃ分からないじゃないですよ」
そう言うと斉藤はそこからすらも手を離してしまった。
「ぁ・・・っ」
土方は思わず物欲しげな声を洩らしてしまう。
「で、もっと何ですか?言いたい事ははっきり言え、ってあなたいつも自分で言ってるでしょう?」
はっきり言え、と言われてもそんなはっきり言えるような内容ではない。
しかしこのままの状態で放って置かれるのも辛い。
「ん・・・さいと、う・・・っ」
「はい?」
意を決して斉藤の耳に口を寄せて囁いた。
「強く・・・扱いて?」
恥ずかしくて頬を朱に染めながら囁くと、斉藤がくすと笑った気配を感じた。
「何・・・?」
「いえ、いつもの副長からは想像出来ない恥じらいっぷりなのでつい」
「うるさい・・・っ」
反論しようとすると、ぎゅっとそこを強く握りこまれた。
「御要望通りにさせて頂きます」
「っぁ・・・・あぁ・・・んっ」
先端を扱かれるたびにくちゅくちゅという音が熱い吐息と共に部屋に響く。
「あ・・・ぅ、ん・・・や・・・っ」
そこはますます硬くなり、限界まで張り詰めていった。
しかしあと少し、と言うところで斉藤に塞き止められる。
「や・・・っやだ・・・っ」
「一緒にイきましょうよ?」
「・・う、ん・・・」
斉藤は何か紐のようなモノを取り出して根元を縛った。
「・・・っゃ・・・あ」
そして土方の脚を掴み広げさせ、その脚の間に顔を埋める。
舌先が柔らかい蕾をつつき、出し入れを繰り返させられる。
ずっと舌での愛撫が続いた後、硬い指が侵入してきた。
中を指で引っ掻きまわされる。
指の動きを封じようと締め付けるが、指の動きが止められるわけも無い。
すでに知っている弱い部分に何度も触れられた。
縛られている中心もさっき散々弄られた乳首もじんじんする。
「やぁ・・・だ、さいと・・・は・・・ぁあっ、ん」
徐々に指の本数が増やされ、全部バラバラに動かされる。
頭がどうにかなりそうなくらいだった。
ようやく指が抜かれて息をついた途端、今度はもっと硬いものが縁に押し当てられた。
斉藤が感じてくれていたのが分かり、土方はホッとする。
そこから伝わる熱に、期待で体の芯が疼いた。
「さい・・・と、早く・・・っん・・・」
「力、抜いててください」
言われて体の力を抜くと、ぐっとそこに圧力が掛かった。
「っぁ・・・ぁあ・・・や・・・っ」
大きいものが体を割り開いて侵入してくる感覚。
斉藤の存在を感じる。
息を吐くたびに斉藤が奥へと入りこみ、粘膜が焼けているような感じがした。
少し抜いては埋められながら奥までぎっちりと斉藤が埋まる。
「大丈夫ですか?」
「ぅ・・・ん、へいき・・・っ」
斉藤は土方が慣れるまで待っていてくれるようだ。
すぐには動きはじめない。
そのかわりに唇を寄せてきて深い口付けを交わした。
「ん・・・っは、ふぅ・・・」
舌を絡めて互いを貪る。
飲みきれなかった唾液が口角から流れていった。
「土方さん・・・っ」
薄く目を開くと、斉藤の目とあった。
「俺はあなたが好きですから・・・」
「俺も・・・っ」
「今日は何かよく分からないけど不安にさせてしまったようで・・・ごめんなさい」
「もう言わないでくれ・・・」
単なる早とちりだったので、思い出すだけで恥ずかしい。
行為より余程恥ずかしかった。
それが分かったのか斉藤は唇の端をくっと上げて可笑しそうな素振りをした。
「やっぱり可愛いなぁ・・・」
「馬鹿っ」
「俺は何があったってあなたから離れないつもりですから、安心して良いですよ」
斉藤がちゅ、と土方の目じりに唇を押し付ける。
「絶対に離れやしないから」
その言葉を聞いて土方は斉藤の背に腕を回して抱きついた。
「あなたが嫌だって言っても傍に居ますから・・・っ」
「うん・・・」
斉藤が動き始めた。
「あ・・・・ぁあ・・・っん」
貫かれてかき混ぜられる。
突き上げられるたびにそこからはちゅぷちゅぷと淫らな音がした。
締め付けても濡れているのでは斉藤の動きは止められない。
「・・・っぁあ・・・ひ・・・あぁ・・・っあ・・・」
脳まで犯されているかのように頭がぼんやりとしてくる。
分かるのは斉藤に快楽を与えられているという事だけだ。
斉藤にしがみついて動きに合わせていくしか出来ない。
「っゃ・・・あぁ・・・ぁっん・・・ん・・・」
斉藤のモノで最奥まで貫かれる。
「く・・・きつい・・・っ」
「・・・っひ、あっ、ぁ・・・あ―――――っ」
頭の中が真っ白になる。
土方はきつく締めつけ、収縮を繰り返す蕾の中に斉藤の吐き出したモノを叩き付けられて意識を手放してしまった。
「もう良いですよ。あまりされるとこっちまで恥ずかしくなってきますから・・・」
濡れた斉藤のモノを舌で綺麗に拭っている途中で引き剥がされた。
「なんだよ」
不満に思う土方をよそに斎藤はさっさと衣服を身につけていく。
それにつられて土方も体を起こして着替えようとするがどうにも体に力が入らなかった。
「着せて」
まだ途中の斉藤に下から覗きこむように頼んでみた。
「全く我侭なんだから・・・」
不平を言いながらも斉藤は自分の着替えが済んだ後に土方の着替えを手伝い始める。
「なんか喉渇いた」
着替えが済むと今度はねだるように土方が斉藤に言った。
「・・・それは用意しろと遠まわしに言ってるわけですか?」
「そ」
さらっと言われて、斉藤は苦々しく笑うしかなくなる。
「ちょっと待ってて下さいね」
「やっぱ良いや」
「・・・は?」
立ちあがろうとしていた斉藤に土方が寄って来て、ぎゅ、と抱きついた。
「言い忘れてたけど煙管ありがとうな」
「いえ・・・そんな・・・」
我侭放題にしていてもちゃんと礼を言ってくるところに斉藤はまた愛しさを感じる。
「それとさ」
抱きついたまま土方は言葉を続けた。
「お前俺から離れないって言ったな?」
「はぁ・・・まぁ言いましたね・・・」
何やら良からぬ事を考えていそうな土方に曖昧な答えで斉藤は返す。
「何しても嫌にならない?離れない?捨てない?」
「ええ」
それだけは自信を持って言える。
「じゃぁ俺、もう我慢しなくて良いんだよな」
「・・・・・・?」
土方は斉藤の目を見ながらはっきり告げた。
「ほら、今まではお前がホントに俺の事好きだって自信無かったからさ。あんまり甘えるとか我侭言うとか出来なかったじゃん」
「自信無かったってそんな事あるわけ無いじゃないですか、全く。・・・それにしても、甘えたりしたいんですか?」
「・・・ちょっとしたい」
少し照れたような響きを含みながら土方は小さく呟いた。
「ま、良いですけどね」
斉藤が土方の頬に手を当て、ゆっくりと顔を近づける。
「あなたなら何をしたって許してあげます・・・」
「斉藤・・・っ」
そしてまた深く唇を重ねる2人だった。