今日は、ナクル湖に移動だ。早朝のサファリでは木々の間からバキバキと枝を折りながら雄ぞうがでてきたりして、十分楽しんだが、アンボセリを去らなければならない寂しさが胸を締め付けていた。 すでに名残惜しくなったシルバヌス君ともおそらく今生の別れとなるかもしれない、さよならを告げ、サファリカーはロッジをでた。どんどんサファリが遠ざかる。キリマンジャロが遠ざかっていく。我々は少しでもその景色を目に焼き付けようと必死に外を見つづけた。次々とアンボセリの動物たちが別れを告げにくるかのように道のそばに現れてくれた。
ナクル湖までの道のりは、まずナイロビからきた道を引き返すことになる。長い道のりだ。途中で同じおみやげやさんで休憩をとった。おみやげには目もくれず、パトリックがいないのをいいことにまたもや道にでた。向かいのトタン屋根の小屋のあたりを探すが、だれもいない。あきらめかけた時に、右奥の藪ががさがさと音を立て、そこからマサイの子供たち、「みずくみ隊」が再び現れた。今日も小さい子供たちが1列にならんでやってくる。各自が重そうに、しかししっかりとポリタンクを抱えて歩いてくる。
我々は、再会にうれしくなって 「JUMBO!」と声をかけた。彼らは最初、不思議そうに見ていたが、やはり恥ずかしそうに「Jumbo」と返してきた。言葉が通じないのがこれほどもどかしく感じたことがあっただろうか。数日前に出会った我々の顔を覚えてくれているのであろうか。彼らと少しでもコミュニケーションができたらなあ...。
彼らの親とおぼしき大人がやってきた。みずくみ隊が帰ってこないからか、それとも変な外国人と話しているから心配したのか、緊張した面もちである。こちらも少し緊張した。しかし彼は片言ながら英語を話したので、コミュニケーションがとれた。彼に数日前にも子供たちにあったこと。また会いたくてきたことを告げた。彼は、彼らの信じる教えに従えば、この子供たちにとって、他の人が覚えてくれたこと、そしてまた会いに来てくれたことはとてもいいことなんだよと言った。
一人一人にそれぞれ違う表情があり、それぞれに個性が感じられる。彼らも普通の子供なんだ。一生懸命働いて、一生懸命生きている。あんなに小さい子も、ポリタンクの方が大きいようなあの子も一緒に文句も言わずにきっと毎日、水をくみに行くんだ。そうしているとパトリックがむこうで、叫んでいる。戻ってこいと言っているようだ。きっと危ない目にあうと思ったのだろう。あるいは単に出発の時間が迫っただけなのかもしれない。とても去りがたい気持ちだったが、やむをえずその場を離れた。もう2度と会えないのかもしれないと思うからか、知らない内にみずくみ隊と離れがたくなっていた。我々にとって彼らとの出会いは決して忘れられないものとなった。
彼らは今も元気にしているのだろうか。また、会いたい。そのときは、絶対この写真を渡すんだ。
6/09その2へ続く