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沼レ コード 2005ぉぉぉぉぉおおおお


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  高校一年生 (1)〜始まり〜

 局長にとって今居るクラスは言ってしまえば、凄く居心地の悪い空間だった。
 中学生の時とにかく嫌いだったヤツや、話が合わなさ過ぎて苦手だったヤツばかりで構成された クラス。挙句の果てには、担任の先生までまったく「そり」が合わないと言うなんとも言えない 絶望感。正直、学校に行くのが憂鬱で仕方がなかった。
 高校デビューとまでは行かないが局長なりに、中学の時に比べ バリバリに髪を固め、ガクランのボタンも常に2つ開け、悪ぶったそぶりをして見せていた。 そのお陰かどうかは分からないが、周りの女の子からはよく声をかけられていた。 ・・・がしかし中学自分、周りの女子から「汚物」のような扱いを受け半径1m以内に女の子が入って 来る事すらほとんど無かった局長にとって、その対応は何よりも難しい問題だった。 結果「ああ・・・。」とか「うん・・・。」としゃべるだけで精一杯。 それがまた逆に「クール」ととられ、さらによく声がかかるようになり、それはそれで嬉しいやら 困ったやら、どうしたものかと言う毎日をただ何の目的も無く、のんべんだらりんと過ごしていた。
 元々人見知りだった局長は、高校で新しい友達を作る事も出来ずにクラスではよく一人 机に突っ伏して寝たフリばかりしてた。「ピクッ」と動いた時だけ、周りの皆が相手にしてくれたので 嘘でもピクピク動いていた。と言ってもそんなもの無視される事の方が多かったんだけど・・・
 授業中は良い。勉強がかったるいフリをしていれば良かったから。でも、休み時間になる度 途方に暮れていた。だって、相手にしてくれる人も居ないし、自分から声をかけれるほどの勇気も 無かったから・・・唯一の救いは、1日に1回来るかどうかの浦沢タクヤだけだった。元々地黒だった タクヤは幼い頃「お前黒いんじゃ〜」とか言って泣かしてた頃からの付き合いで、中学時代に仲が 良かった奴らで同じ高校に進学した数少ない気の許せるヤツの一人だった。・・・と言っても、 それはあくまでも局長がそう思ってただけで、タクヤ自身はそんなに局長に気を許してはいなかった。 でも、局長と同じでとにかく回りに知り合いが居なくて、取り合えず行っとけ〜みたいなノリだった 事など、局長の知る由もない話だった。局長は、自分が欠点だらけの人間だと言う事をあまり理解 していない。それが原因で孤立を深めている事も分からなかった。ただ、周りのせいにする事で 何とか自分のアイデンティティを保っていた。

 タクヤと2人で話す内容は決まっていた。当時2人がやっていた「パズー」というバンドの事だ。 元々中学の文化祭のために結成したバンド。メンバーのほとんどが卓球部に所属していた事から 「ピンポンズ」と呼ばれていた。その名前を本人たちは良しとしなかったが、実際そのライブでは 当時の友達「宮上」をオブジェと称してステージに座らせたり、20秒ほどの前奏の後に「エ?終わり?」 って言うだけの「スーパーフィニッシュ」と言うオリジナル曲をしたりと、名前に負けないライブ を行っていた。まさに、ナゴムレコードの「人生」を知らずに地で行くようなものだ。う〜ん ・・・凄いセンス。「パズー」は5人組のバンド。局長は曲作りとキーボード担当。タクヤはベース を担当していた。あまりやる気の無い他のメンバーを2人で引っ張っているような状態だった。 と言っても、高校に入りメンバーが離れ離れになりつつあったので、2人の会話の内容は専ら「パズー の活動について」と言うより、「まだ続けるのか?」についての話し合いばかりだった。
 もうひとつ。2人が良く話していた内容があった。それは「何の部活動に入るか」。 高校時代を如何に有意義な青春にするかを決定付ける重要事項だ。
 ただ、2人ともあんまりメンド臭い事はしたくなく、また、体育会系のノリに付いて行けるはずも 無かった。局長の考えはひとつ。つまり「楽で簡単だけどおいしい部活」。典型的ダメ人間の発想だ。 頑張りたくは無いけど、目立ちたい。大層に扱ってもらいたいと言うどうしようもない名誉欲にかられ ていたのだろう。あ〜ほんと情けない。それでも、局長は真剣に考えた。クラスが居心地が悪い以上 部活動で失敗したら、一度しかない高校生活を棒に振る結果になりかねないからだ。
 結局2人が選んだのは、練習もきつくなくて、割と誰にでも出来そうで、文化祭とかでは目立てそうな 「演劇部」だった。
 2人だけでは心細いので、取り合えずバンドのメンバー「ウルオ」と「ムラヤン」を誘って 見学に行く事にした。誘うと言うにはあまりにも無理やりだった気がしないでもないが・・・ 育館のステージでいつも練習していると言う話は聞いていたので、いざ体育館に。
 ステージには誰も居なかった。仕方なく「帰るか〜」って話をしていると、ゾロゾロと何人かの 女の子が体育館に入ってきた。そして、モソモソしている局長達4人に恐る恐る声をかけてきた。
 「あの・・・見学ですか?」
 女と言う生き物と会話する事が出来ない局長に代わってタクヤが答えた。
 「僕ら、演劇部をチョッと見せてもらおうかなぁ〜って思いました・・・」
 それだけ言うと相手がざわざわし始めた。「すご〜い」とか「男子が来たよ」みたいな声が聞こえた。 この時局長は心の中でこっそりガッツポーズをした。なぜならここは「ハーレム」。ここなら、 オレみたいなヤツでも女の子と仲良くなれると思ったからだ。何と邪で不純な動機か・・・
 タクヤの返事に一人の女の子が答えた。
 「え・・・と新入部員に説明する日って言うのを決めてるの。だから、その日にあそこの 教室に来てくれる?」
 その日はそれで終わった。帰りの道の上で4人で悩んでいた。行くか辞めるか。4人といったけど、 実際には3人だった。何でかというと局長の中では「ハーレムだ」と言う言葉がズ〜っとクルクルと 回っていて自分ひとりの中で決定していたから・・・

 数日後
 悩んでいた3人を説き伏せ、指定の教室に赴いた。すでに何人か座っている。全員女の子だ。局長は、 思惑通りの展開に心躍らせながら同時に、どうしようもない不安にも取り付かれていた。
「うまくこの子達とやっていけるんだろうか?」
 しばらくして「そろそろ始めよ」と口々に言い始め、一人の女の子が教壇に立ち手で胸を抑え前後に体を 揺らしながらしゃべり始めた。
 「え・・・と。私が今部長の『守山明美』です。」

 高校生活は本当の意味で始まりを告げた。
11月9日 完成



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