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a b c d 沼レ コード 2005ぉぉぉぉぉおおおお |
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高校一年生 (4)〜部長「守山明美」〜 チャンスは思いのほか早くにやってきた。 局長達が始めて部活動に顔を出してから一週間。タクヤ達が少しずつ馴染ん できたのとは対照的に、相変わらず局長は馴染め切れずに居た。どの位かと言うと、 まだ、ほとんどの部員の名前と顔が一致しない。あの初日に挨拶してきた子・・・ 確か・・・黒崎・・・なんだっけ?部長は・・・分かんないから部長と呼んどけば いいか。と言う体たらくぶりだ。 元々、局長は人の顔や名前を覚えるのが苦手で、 どちらかと言うと、人をその人が纏っている「空気」で判断していた。だから、 髪を切ったとか、どんな服を着てたとかにまるで関心がなく、それで非難される 事もしばしばだった。 その日、ウルオとムラヤンは「新作のゲーム」をムラヤンの家でやると言う理由で 始めて部活をサボった。タクヤは、クラスの用事で部活に顔を出すのは大分遅くなる とか何とか・・・つまりは、局長一人の日。あの「あいつ等が居なくて 自分一人ならちゃんとオレでも相手にしてくれる。」と思いなおった日から 早一週間。しかしまだ一週間。早くもチャンスがやってきた。 ドキドキしながら、体育館のステージのドアを開けた。 いつもの様に、何人かの先輩がステージの中央でしゃべっている。 どうも例の「黒崎何とか」もいるようだ。局長は、勇気を出して声をかけた。 「ち〜っす」 それがただのあいさつである事を未だ知らない局長にとって、限界に近い一言だった。 「おはよ〜」 部長が言った。 そして、またそれぞれの会話に戻っていった。 局長は呆然とした。皆が話している。今日はオレしかいない。しかも、 オレから声までかけた。これ以上オレに何が出来ると言うのだ?これでも、 やっぱりオレは「女」からは相手にされないのか・・・ まだまだたくさん仲良くなるために出来る事はあるように思うのだが、 女性経験皆無の局長にそんな事が思いつくはずもなかった。 途方に暮れながら、一人ステージの袖に座りこけた。 どんどんと暗い気持ちが局長を覆い尽くしていく。 何が自分に足りないのか。 何が自分に出来るのか。 どうすれば女の子を話しが出来るのか。 出来る事は全部やったんだ。もうオレは生涯女の子と仲良く出来ないんだ。 「やる」事なんか絶対出来ないんだ だって、この空間でさえもオレは誰からも相手にされない どんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどん・・・・暗い方向へ、そして 本能の方向へと思考は回転していった。その全てが自分本位な考え方である事にすら、 まだ局長には分からなかった。相手がどんな気持ちなのかを考えるよりも、 自分の気持ちを分かってくれない事への憤りだけが先行していた。 その空気をいち早く察知したのは、部長の守山だった。と言うか、ただの 気遣いと言ってしまえばそれまでなのだが・・・ 「高津君?今、皆で話してたんだけど、今日集まり悪いから、前集まってもらった 教室で、今度の公演でする『すてふぁにー』を別の人が実際にやっているのを見る?」 と声をかけてきた。 どす黒い気持ちが全身を覆っているネガティブな局長にとって、それは「チャンス」ではなく、 「この疎外感しかない空間の延長」でしかなかった。 「はぁ・・・でも、今日・・・オレはあんまりやる気無いんすよ。」 搾り出すように、それだけ言って局長は下を向いてしまった。部長は、その どうしようもない後輩に業を煮やし 「じゃあ・・・もう今日は終わりにしよっか。」 と言って、また戻っていった。 「みんな。今日は集まり悪いし、終わりにするから、家でゆっくり休んでください。」 と言った。 「高津君。もういいよ。」 とも言った。 その日の帰り道、局長は更なる絶望感と疎外感と少しだけの喜びを抱え ながら帰路に着いた。その喜びは「部長に声をかけられた〜」と言う とてつもなくしょうもない事だったが、それでも、それが、他の誰でもなく 局長に向けられた言葉だった事が嬉しかった。 でも、そんなささやかな喜びは強力な疎外感にあっという間に消し去られていったのだった。 12月16日 完成 |