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a b c d 沼レ コード 2005ぉぉぉぉぉおおおお |
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高校一年生 (5)〜マリオネット〜 こんな事があった。 それは何の事はない日常会話。体育の授業で、体操服に着替えている時の出来事だ。 局長のクラスメート西山が他の数人と話をしていた。局長と距離が近かったため、 その会話の内容は弥が上にも耳をつんざいた。会話の内容は、その日たまたま学校を 休んでいた真也と言う奴の事だった。どうも、昨日西山と真也は些細な喧嘩をしたらしい。 「ホント、オレあいつにはついていけないって・・・。何であいつあんなに自分勝手なんだよ。 アレだよな。あいつ絶対優しさとか思いやりが無いわ〜。それって、オレ思うんやけどさ〜。 あいつが女の子とエッチした事無いからやと思うんやって。」 そう言って、周りの何人かと笑い転げた。 西山には、物凄く仲のいい彼女がいた。佐山里香というその彼女は、休み時間になる度 隣のクラスから西山を訪ねてきて、西山のひざの上に小さなお尻を乗っけていちゃついていた。 時々、周りの目をはばからずにキスをしたりもしていた。 耳に入ってきたその言葉に局長は別の思考を巡らせていた。真也に思いやりが無いと言う話題など どうでも良かった。つまりは、「あの話題で笑い転げれるって事は、あの連中はみんな 「やった」事があるんだなぁ〜」と言うことである。 もちろん、言うまでも無く局長は童貞街道まっしぐらだ。このままのペースでいけば、 かなりの高確率で敬虔なキリスト教の神父さんと同じ人生を歩む事になるだろう。高津家は、 局長の代で途絶える事になる。 そんな局長が目の当たりにしたどうしようもない現実。 「あの連中はみんなやった事がある」 そこに途轍もない劣等感を感じていた。「何を些細な事で」と思うかもしれない。しかし、 それは局長にとって触れてはならないパンドラの箱だったのだ。考える事が恐くて仕方がない 未来。そこにズカズカと裸足で踏み込まれた気分だった。 そんな局長も一度だけ女の子と付き合った事があった。大槻ケンヂ風に言うのならば、 女子との総合計会話時間が10分にも満たない暗黒の中学時代を過ごした局長を、クラスの女子たちは もう、その辺に落ちている石ころどころか、普段はその存在に気付きもしない砂場の中の砂鉄位にしか 見ていなかった。そんなある日、局長は告白される。相手は違う学校の「遠山美智子」と言う女の子だ。 局長は思った。「そうか、確かに学校の中でいる限りオレはあんな扱いだけど、外に出れば オレがあんな扱いをされてる事なんか誰も知らないんだ。だったら、オレの事を好きになってくれる子 だっていてもおかしくはないさ。」・・・と。 その子は一回目のデートの時に「勘違いしてました。」と言う名言を残して、局長のもとを去った。 結局自分に問題がある以上、先入観を持ってなくても同じか・・・そう考え、酷く局長は傷付いた。 と言っても、デートが自分の読みたい本を探しての古本屋巡りではそれも当然の結果なのだが、デート の仕方を知らない局長にとって、そんな事は分からなかった。 現在の局長の彼女がいた時間の合計21時間41分3秒。一日にも満たなかった。 放課後、いつも以上に重い足を引き釣りながら部活に向かった。 ステージでは、部長が書いてきた創作台本「南国」を来ている皆で廻し読みしていた。口々に、 「面白〜い。さすが部長だよ。」と惜しみない賛辞を送っている。少し照れながらも、局長に 気が付いた部長は、局長の所にやってきて 「高津君。何か・・・え〜と・・・浦沢君に聞いたんだけど、中学校の時に台本書いた ことあるんだって?」 と聞いてきた。 「はぁ・・・あるけ・・・ますけど・・・」 局長が通っていた中学校では学校主催で「人権劇公演」と言うものを行っていた。その劇で、局長は 台本を書いた事があったのだ。 「さっき・・・ふーちゃんを話してて、『すてふぁにー』もいいけど、今年の文化祭は創作台本で 行こうって話になったの。んで、・・・え〜と・・・皆で台本を書こうってことになって。だから、 高津君もひとつ書いてきてくれない?」 そう言うと、局長の返事を待った。 「・・・いいっすよ」 確かに、話作りが好きな局長はそれを承知した。 「すごーい。やった〜。浦沢君とか栗山君とかにはもう断られたの。さすが、高津君だね。 んで、何か構想はあるの?」 部長に褒められた局長は少し照れながら 「はぁ・・・一応、『マリオネット』っていう話があります・・・けど・・・」 とだけ言った。 「じゃあ、それ。近いうちに書いてきてね。ふふふ〜ん。マリオネットか〜勇気ある題名つけるね」 そう言ってまた皆が集まっているステージの中央に戻っていった。 その日の夜。局長はドキドキしながら、真っ白なルーズリーフに向かっていた。 そのルーズリーフの一番上には「マリオネット」とだけ書かれてあった。 12月21日 完成 |