【参考資料 国際法−5】
占領の条件

 


 

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 占領の条件
■「戦時国際法論」 立作太郎 日本評論社 1931年 P235
實際上一定の地方が占領軍の權力内に歸したる時期如何、又は占領軍の權力を樹立し且 之を行使し得る一定の地域如何は、各場合につき判斷せらるべき事實上の問題である。 唯占領は單純なる敵地侵入と異にして、一地方を占領せりと言ふを得るには、占領が該地方 に於て實効的に行はるるを要するのである。占領が一地方に於て實効的に行はれたりと言ふ を得るには、領土所屬國が既に之を占有せざるに至り、住民が兵器を操りて敵對を行ふこと なきに至り、侵入軍に於て生命財産を保護し、秩序の維持を確保する措置を爲し、且必要あれば 相當の時間内に占領軍の權力を行ふ爲に部隊を送り得ることをもって足れりとする。


■「戦時国際法提要(上)」 信夫淳平 照林堂書店 1943年 P691〜692
六五八 占領とは敵國の領土(租借地、或種の受任統治地、その他敵國の領土に准ずる土地を含む) に侵入したる軍が侵入地を防守する敵軍を撃攘し、そこに存在する敵國の政治的權力を驅逐し、そこに 行はるる敵國の主權を侵入軍が代つて行ふに至れる事態である。故に侵入軍が侵入地の敵軍を 單に撃攘しただけは、未だ以て占領と稱するにたらず、之に加ふるに侵入地に於ける敵國の政治的 權力を驅逐して主權行使を不可能ならしめ、侵入軍が代つて敵國の主權を行ふの事實あるに及んで 、に始めて占領の觀念を認むべきである。占領軍の行使する主權は敵國の主權で、自國の主權 ではない。敵國の主權は、その土地が占領地たることより一歩進んで征服地又は割讓地となつたに 非ざる限り、依然そこに存在する。その存在し而して正當主權者に依るその行使不可能となれる敵國 の主權をば、占領軍は軍自身の必要と住民の利益のために代行する。それが占領である。この敵國 主權代行説に對しては國際法學者の間に異見もあるが、之に關して更に別語にて云へば、占領は 單なる敵地侵入と明らかに區別を要する。侵入は軍を敵の領土に(將た軍用航空機を敵の領空に) 單に進み入れたに過ぎない。敵地への侵入期間は敵軍の抵抗期間である。その抵抗が刀折れ彈盡 きて止み、遂に戰地を侵入軍の手に委棄して退却するに至り、に舞臺は一轉して占領に入るのである。 侵入軍はその未だ占領期間に入らざる以前にありても、例へば戰線の敵國住民を強制して或は物資を 運搬せしめ、死傷者を處理せしめ、その他目前必要とする所の諸般の勞役に從事せしむるの權利 を有する。けれども、その權利は侵入地の一般行政の上にや及ばず、行政機能は依然として敵國に 存する。敵國の行政機能が侵入軍の手に移るのは、侵入が化して占領となつた上のことである。


■国際法講義案(戦時) 前原光雄 初版1951年5月25日 印刷1975年5月30日 慶応通信 P296
ハーグの陸戰法規第四二條は「一地方ニシテ事實上敵軍ノ權力内ニ歸シタトキハ占領セラレタモノトス」と既定している。この 「權力内に歸す」というのはいかなる状態の實現せられた場合であるか。權力内に歸すというからには、相手國の權力は排除 せられた状態でなければならないのは當然である。のみならず、進んで侵入軍がそこにある種の統治權を確立した場合において 、初めて占領が行われたものと解すべきである(ホール、前掲書、一六一節)。それ故に、侵入國の權力が樹立せられ、 かつその權力が行使せられる地域のみが有效に占領せられた地域であつて、それ以外の地域は、たとえ敵軍を掃討していても 占領地でないと解すべきである。




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