| 計画のあらまし |
卓越した性能と流麗なフォルム、そして数字には表せない、走り出したときの胸の高鳴り。1991年
から1996年まで生産された稀代のGTカー、スバル・アルシオーネSVXは、さまざまな要因から、その
魅力を広く知らしめることもかなわず、国内登録台数わずか6,000台弱という不遇の生涯を送りました。
しかしその1台1台は今もなお、日本の各地で志あるオーナーに深い喜びを与えています。
バブル絶頂期に計画されたSVXは、各種のアメニティがふんだんに盛り込まれました。しかし、その
オーナーの多くが不満に感じるのが、インテリアの質感不足、わけてもウッド調パネルのおよそ
400万円になんなんとする新車価格にふさわしからぬ安っぽさ。私がお世話になっているネット上の
オーナー連絡会、SVXメーリングリスト(以下SVX-ML)でも、度々この話題が取り上げられていました。
さらに我が愛車(93年式のバージョンL)は前オーナー氏の不始末でシフトゲートにタバコを3発被弾
しており、何とかその質感を向上する術はないものか日々申吟しておりました。
そんなとき、私が購読している米”Road&Track”誌に、貼り付け式ウッドトリム専門のメーカーの宣伝が
掲載されていました。数社あるメーカーのホームページを覗きましたが、その中で私が注目したのが
”Joshua Tree Wood Trim”というメーカー。質感が高いのもさることながら、私が注目したのは
左ハンドルの北米仕様SVXのトリムが通常の商品リストにラインアップされているところ。国内でも
アフターパーツの不足に泣き、何から何まで規格外の構造で各種ショップでも門前払いがしばしばの
SVXにとって、取り扱い経験があることは何より心強いことです。さらにCADデータによりNCレーザー
カッターを操作、木材を切り出す工法のため、量産しやすく、鏡像反転で容易に左ハンドル用のデータを
流用可能と思われたことも私を引きつけました。
E-mailにて問い合わせたところ、数がまとまれば特注OKとの返事。早速交渉を開始、純正トリムパーツ
の送付等の作業を経て、99年の4月、SVX-MLの皆様に正式にご紹介できることになりました。
この間、MLメンバーの坂本さん、寺嶋さんに特にお世話になりました。坂本さんにはMLステッカー製作
の実績から注文集計、配送まで辛い作業を殆どお任せしてしまいました。寺嶋さんには、ご自分の
ホームページで計画をご紹介頂き、さまざまな方に紹介していただきました。こうして現物が存在する
今でこそ、多数の方の目に触れ、お問い合わせ頂けますが、まだ実体のないころから皆様に情報を
発信し、何とか最低注文数を確保できたのは寺嶋さんのおかげです。深く感謝申し上げております。
それ以来、55,000円という価格にもかかわらず多くのMLメンバーのご賛同を頂き、第1ロット、32セットの
注文で製作開始。8月に皆様の元にお届けでき、ご好評を頂きました。
こうして一応の結実を見たパネル計画ですが、有難いことにその後も引き合いが絶えず、相談の上、新タイプを
加えて再度ご紹介できることになりました。 今回はMLメンバーの小口さんを新たに配送担当にお迎えし、
ホームページからの注文受け付けなどという分不相応にシャレた手段を講じての頒布です。
こうして2000年4月初旬に締めきられた第2ロットでも、第1ロットとほぼ同じ30セットのご注文を頂きました。
続いて6月、現物が到着。折良く開催された第6回MLオフラインミーティングで一部をお引渡しすると同時に、
第1ロットでご購入の皆様の車で実装例をご覧頂くことができました。
残る22セットについても、小口さんのご尽力で頒布を完了し、ここにMLトリムパネルは実に62セットを数えるに
至った訳です。国内全登録台数5,800台、現存数はおそらくその何割かに過ぎないSVXにとって、これはかなりの
比率であると、いささか悦に入っている次第であります。
(追記)
2000年に一旦は終了したパネル計画は、その後も引き合いが時折あり、その都度心苦しくもお断りすることが続き
ました。本計画とは別に、より安価なメーカーの品物が紹介されたこともありました。一時期話題になりましたが、
安易な左ハンドル用の鏡像反転で一部に食い違いが生じたせいもありましょうか、あまり広がることなく終息しました。
その後、米メーカーの経営者が本計画に意欲的だった方から少々腰の重い方に代わり、計画者の私、田中が体調を崩したこともあり、動きのないまま年月だけが過ぎました。そして話題にも上ることがなくなった2005年秋。
体調が戻りつつあった私が、長年放置してきた本計画の整理をしようと、Joshua
Tree Wood Trimに再度連絡。過去の
データを提示して作成は可能か再度尋ねました。するとそれまでの悶着がウソのように作製は可能との返事。
10個以上の発注があれば製造するとのことで、一応確認のため私の持ち出しで10セットを製造、12月初頭に到着しました。
MLメンバーの渡辺さんのご協力を頂きテストフィットを行ったところ、幸いなことにかつての製品そのままの仕上がりに
なっておりました。そのような経緯で、試作品の提供と新規受注の再開が可能となったのであります。