『加賀風雲録 前田家の幕末維新』
2001.10.15.中央公論社刊、中公文庫所収。著:戸部新十郎。
百万石の石高を誇りつつ、幕末維新において殆ど表舞台に立つ事の無かった加賀藩の隠された幕末維新史を資料に基いて描き出した歴史教養書。
内容は、江戸後期の前田斉泰の襲封から始まり、寺島蔵人・上田作之丞らの改革、「梅鉢海軍」の創設、加賀藩世子慶寧による勤王活動とその崩壊、天狗党との対戦、加賀出身の二人の新選組隊士・田中寅蔵と山野八十八、北越戦線への出兵、そして最後に石川県士族に依る「紀尾井坂の変」事情の詳細で終了。
小説家の手に成る作品であり信憑性は低いかも知れないが、歴史小説を多数手掛けて来た戸田センセイだけあって、加賀藩史と歴史上の出来事や有名人と上手くリンクさせて飽きさせない作りになっているのは流石。これが地方史家の作品になると、信憑性は上がるけど本当に地方の事、「○○村における幕末維新期の農業行政権力の移行について」とかになっちゃうからなぁ。それはそれで必要な研究だとは思うけど、取り敢えず拙者の如きライトな歴史ファンにはこの本がしっくり来るって事で。